性感染症との関連

バイアグラにはこうした疾患をブロックする作用はありません。



バイアグラの運用上の注意」

本剤使用時も性感染症の予防には気を付けましょう。


<当ページの項目リスト>

  1. 【バイアグラと性感染症】
  2. 【性感染症とは】
  3. 【予防効果の誤解】
  4. 【インポテンスの改善に伴うリスク】
  5. 【バイアグラとセーフセックス】

1.【バイアグラと性感染症】

バイアグラと性感染症;sexually transmitted diseaseは、 互いに無縁とは言えない関連があります。 そこにはセックスを共通項として派生するさまざまなリレーションがあり、 HIV(エイズ)など完治が難しく、 その後の生活を左右する重大な疾患が性感染症の中に含まれる事を考えると、 バイアグラユーザーは性感染症に関して、その危険さを把握される事が望ましいです。 なぜならば本剤は、その存在を還元して考えるとまさに 「セックスの為の薬剤」だからです。


性感染症は、通常の疾患とは一線を画していると言えます。 本疾患は端的にはセックスを契機として移る微生物疾患の総称に過ぎませんが、 実は性感染症にはこうした移る経路の違いだけでは無い、個人に付属して発生する問題が多数ある疾患でもあります。 例えば、性感染症であるエイズは1983年に発見された比較的新規のものです。 本疾患はレトロウィルスであるHIVが移る事で免疫、つまり細菌やウィルス、 異物から我々の体を防御している存在に重大な作用不全を引き起こし、 これが進行する事によって、さまざまな他の疾病にかかりやすくなります。 この状態においては真菌類、つまりカビの仲間ですが、通常の免疫状態であれば、 特にこれらの影響を受けないはずが、 エイズの進行によって一般の人には影響しないような真菌にも重大な影響を受けるようになってしまう、 その上こうした状態がどんどん進行して行きます。 ただ性感染症であるエイズに関しては、発生以降の研究の積み重ねによって、 非常に優秀な薬剤がどんどん出現し、その罹患してからの寿命に関しては、 かなり長期に及ぶようになったと報告されています。


しかし、こうした性感染症はそれ以外の微生物による病気との差異として、 人との接触に関してその内容や形式を考えなければならないという必要度が高く、 こうした内容や形式が就労など社会生活上で差別に進展する事もしばしばあります。 このように性感染症には、その健康自体を損なうだけでなく、 個人の社会生活に重大な悪影響を及ぼすケースもあり、 そうした意味合いでは、罹患者自身の対応も通常の疾患とは変わらざるを得ない所があります。 また、しばしば性感染症とは、特に御婦人にとっては社会的名誉に関わるものであり、 個人情報としても非常にナイーブに扱う必要があります。 一方、セックスという共通項で性感染症と関連しているバイアグラですが、 このバイアグラという薬剤は端的に言えば、 (インポテンスによって)セックスの頻度が低下している状態を改善させる事を目的とした薬です。 逆に言えばバイアグラの効果によってセックスの頻度が増え得ると言う事ですが、 これはセックスパートナーが単独で、かつ性感染症のリスクが少ない状態であれば大きな問題はありませんが、 パートナーが不特定多数の状況においては、 バイアグラによってセックスの頻度が増える事により、 性感染症に罹患するリスクも上昇するとも捉えられます。


性感染症の制御の本質はセックスの対象者の選別と防御デバイスであり、バイアグラ自体の問題ではないのですが、 タイやアフリカなどにおけるエイズなどの感染爆発を考えるとセックスに関連した薬剤である、 バイアグラも性感染症との関わりを多角的に検討する必要はあると思われます。 本稿では性感染症と本剤に関してのそれぞれの解説、 また性感染症と本剤に関する誤解などに関して、 またバイアグラ処方と性感染症罹患頻度の増加などに関して記載しております。ご参照くださいませ。


2.【性感染症とは】

性感染症;STD;sexually transmitted diseaseという医学用語は、 従来の類語に比較してなかなかとっつきにくい感じかと思われますが、 セックスを契機として微生物が移る事によって発症する疾病は 現在は、この性感染症という言葉に統合されています。 本稿では正確さに配慮し「性感染症」で記載を統一しております。
この性感染症とは上記にダイジェストで説明してますが、 詳細にはセックスを介して、 人から人にウィルスや細菌などの病原微生物が直接的に移行していき、 それによって被移行側の身体に悪影響が及ぼされる疾病の総称です。


実はセックスという言葉は時代が進むにつれ、 より広大で、より曖昧な概念なってきている状況は否めず、 いわゆる男女間のセックスだけがこれに内包されるのではなく、 同性間でのセックスやペニス以外を使用した疑似的行為もその範囲に内包されつつあります。 このセックスによって移りうる性感染症のバリエーションは非常に膨大で、 メジャーな性感染症だけを挙げても、梅毒、淋病、 鼠径部肉芽腫、ヘルペス、疥癬、毛じらみ、赤痢、クラミジア、尖圭コンジローマ、ランブル鞭毛虫下痢、尿道炎など無数にあります。 これら性感染症の問題は、

  • ・性感染症自体からの健康被害
  • ・セックスによる性感染症の二次的罹患者の出現
  • ・性感染症に罹患した人の名誉の棄損

など多岐に渡ります。 昨今は何かと不倫がテーマのドラマ・映画・書籍が多くありますが、 不倫時のセックスによって罹患した性感染症の典型的な悲劇としては、 性感染症を自宅に持ち帰る事です。 実際の臨床において妻帯している夫が不倫の挙句に、 外から持ってきたものを最終的に妻に移してしまうような状況を仕事柄、 多数目にしてきましたが、この場合の奥さんは全く純然たる被害者であり、 この状況を目のあたりにする子供達にとって、 性感染症のキャリアーである父親がどのようなイメージに変化するのか、 考えただけでも本当に恐ろしいです。 ※別項にて家庭内でのバイアグラの運用に関して記載しております。
ご参考にどうぞ➡妻との使用ケース


ちなみに後述のテーマの一つでもありますが、 バイアグラにはこれら性感染症を予防する効果は全くありません。 また、その一方で本剤にはこれらの移り易さを増加させる等の悪い効果も報告されてません。 しかしバイアグラによる改善で不特定多数の方とのセックス頻度が上昇する状況においては、 本剤が性感染症に罹患するリスクを引き上げてしまう可能性はあります。


3.【予防効果の誤解】

じつはバイアグラのファイザー社が監修する添付文書 (薬剤、この場合はバイアグラともにパッケージに入っている臨床関係者用の説明書きの事になります) には「バイアグラ使用上の注意」の10番目の項目である 「バイアグラ・その他の注意」という項目に「バイアグラには性感染症を防ぐ効果はない」 と言った内容が明確に記載されています。 バイアグラという製剤はPDE5という物質を体内で阻害する事によってサイクリックGMPの分解を抑制し、 その結果として血管拡張物質である一酸化窒素の作用を促進する事で勃起を進める薬剤です。 つまり客観的には本剤は血管拡張薬というカテゴリーに属するので、 大きな意味合いでは本剤は高血圧の改善のために飲む降圧薬などや、 バイアグラとの併用の絶対禁忌であるニトロ製剤などと同じリーグにある薬剤と言えます。 このカテゴリー分類や薬物動態を見ても本剤が性感染症をブロックする要素はほぼ皆無です。


しかしニトロ製剤や降圧薬の添付文書にバイアグラのように「性感染症を防ぐ効果はない」 という記載を見た事がありません。 バイアグラの添付文書にこのような文言が乗っているのか以前から不思議でしたが、 新宿ライフクリニックにて2万人超の患者登録を頂いている現在の状況においては、 この文言がバイアグラの添付文書に乗っている事は必然であると感じられるようになりました。 それは何故かというと、セックスに関連した薬剤(バイアグラなど以外にも漢方薬など) はユーザーの誤解が発生しやすい傾向があるからなのです。


おそらくですが、バイアグラの添付文書に「性感染症を防ぐ効果はない」という表現が入ったのは、 一般のバイアグラユーザーにおいてそうした誤解が頻繁にあったか、 もしくはそうした質問がバイアグラの販売元であるファイザー社に、 多数寄せられていたかという状況があっての事と思われます。 その他にも本剤に関しての誤解は多く、 当新宿ライフクリニックにいらしゃるインポテンスの患者さんの中には、 バイアグラを回春薬もしくは媚薬的なものと考えている方もいます。 また、これは厳重にとめさせて頂いておりますが、時に「御婦人にバイアグラを使用すると媚薬的効果があるのか?」 という質問をいただく事もあります。 (バイアグラは完全に男専用の薬剤であり、 本剤は御婦人に対する健康被害など十分な検討がされていません。 御婦人への本剤の使用は絶対にやめましょう。)
ちなみに性感染症の話とセットでよく患者さんからお伺いする質問として、 「バイアグラは精液への影響があるのか?」という質問が有りますが、 添付文書より詳細な記載があるインタビューフォームという資料によると、 その影響はほぼ無いと記載されています。詳しい内容を別項に記載しておりますので、
宜しければご参考にどうぞ➡精液への影響


4.【インポテンスの改善に伴うリスク】

上述しましたがバイアグラによってインポテンスが改善する事によって不特定多数の方とのセックス頻度が増え、 それが結果として性感染症に罹患する機会を増加させてしまう事は本剤に危惧されるリスクの一つです。 こうした状況に限定すればバイアグラはこれらの罹患頻度を上げるとも言えるかも知れません。 しかしこれはバイアグラが微生物を移しやすくする、もしくは直接的に性感染症に罹患する頻度を上げるという事ではなく、 あくまでセックスの対象者と頻度を軸とすればというお話です。


例えば、強盗に鉄砲を使用するのと、狩猟に鉄砲を使用するのは同じツールであったとしても、 その使用の意味合いは全く違うものになります。これを別の表現で表すと、 「鉄砲により犯罪が発生している」、または「鉄砲により食料を確保する事ができている」、 といった感じで全く違うものになってきます。 バイアグラも同様で、ツールとしてのバイアグラに罪はなく、 問題は本剤をどのような用途に使用するかです。 バイアグラを不特定多数の方とのセックスに使用する場合には、 その方はある意味バイアグラを使用せずインポテンスが改善しなかった時のほうが、 性感染症のリスクが低かったとも言えるのかも知れません。


ただ性感染症予防にコンドームを使用している場合においては、 バイアグラを使用した方がインポテンスの患者さんにとって性感染症を防ぎやすくなる事も想定されます。 それはどういった事かと言うと、セックスの最中に陰茎の萎縮つまりインポテンスが発生した場合、 セックスの最中にコンドームが外れやすくなってしまう事になり、これが実際に外れてしまった場合は、 当然、性感染症に罹患しやすい状況になってしまうからです。 一方バイアグラを使用する事で「中折れ」の発生を防げれば、 コンドームも外れにくくなるので性感染症の罹患リスクを下げられる可能性があります。 バイアグラはあくまでセックスの薬物的ツールなので、問題は常にバイアグラをどのように運用するか、 という所につきます。


5.【バイアグラとセーフセックス】

上記にバイアグラと性感染症の予防に関して記載させて頂きましたが、 セーフセックスにおけるバイアグラと性感染症は、 全世界における微生物疾病の爆発的増加を考えた場合、非常に大事なテーマです。 こちらでは性感染症予防を目的としたセーフセックスを前提に、 バイアグラの運用に関しての注意点を箇条書きにしてみました。

  1. バイアグラを利用する際に、本剤には性感染症をブロックする作用はありませんので、 コンドームなどの対策ツールをきちんと準備しましょう。
  2. 「中折れ」がある方は、セックスの途中でコンドームが途中ではずれないように、 年齢や罹病背景、服薬など総合的に勘案された十分な用量のバイアグラを使用するようにしましょう。 状態からみて低用量のバイアグラを使用される場合には、 本剤の効果が弱く出る場合があるので注意しましょう。
  3. バイアグラの使用によってインポテンスが改善し、不特定多数の方とのセックス頻度が増えた場合、 そのこと自体が性感染症のリスクを上昇させてしまう事を認識しましょう。
  4. バイアグラを利用されている特に妻帯者に方においては、 性感染症のリスクである不特定多数の方とのセックスはしないようにしましょう。 家庭への性感染症の流布は大きな悲劇です。

以上、バイアグラと性感染症に関して新宿トップクラスのバイアグラ処方頻度、 新宿ライフクリニックからレポートさせて頂きました。 当院ではインポテンスに関して多角的な質問に対応可能です。どうぞ御気軽に質問してくださいませ。