『勃起不全の自己診断・原因・治療。専門医がEDについてシンプルに解説』

勃起不全について知りたい

「勃起不全について知りたい、EDってどんな病気?」
皆さんがEDのわかりやすく正確な情報が欲しいと思って検索しても、 お薬の宣伝ばかりが出て来て、 欲しい情報に中々たどり着けないのではないかと思われます。


そこで、こちらのページでは日本に数百人しかいない日本性機能学会専門医が、 『自分がインポテンツなのか悩んでいる方』 に向けて、 これをわかりやすく、詳細に説明をさせて頂きます。


<当ページのもくじ>

  1. 【勃起不全はどう自己診断するの?】
  2. 【どんな原因があるの?】
  3. 【どんな治療があるの?】

1.【勃起不全はどう自己診断するの?】

「自分が勃起不全なのか、どう自己診断するの?」
これは EDを思わせる状況に遭遇して、最初に皆さんが抱かれる疑問ですよね?


この疾患のための専門的検査はいくつか有ります。 しかし、こうした検査の出番は、どんなタイプの病型なのかを鑑別する為であったり、 または手術治療を検討する為に必要であったり、 あるいは労災認定や離婚訴訟において客観的証拠が必要であったりというケースが主体で、 実はほとんどの方にはあまり関係がないものなのです。


それでは、端的には勃起不全なのかどうか、どのように自分で判断するのでしょう?


実はこの 『自己診断』 はとてもシンプルです。 この病気の定義は 『満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持出来ない状態が持続または再発する事』 と国際的に学会で定められています。


小難しいですよね。 これをもっとわかりやすく表現しますと、
「ペニスの 『かたさの不足』 が理由となって、セックスが出来ない、もしくはセックスが途中で終わってしまう事が、 続いている、あるいは2回以上ある。」
となります。


この内容に合致する方は、医学的な定義上、 『勃起不全』 と自己診断できます


様々なサイトに 「IIEF-5」 など、 この疾患に関連した 『スコアリング』 などが表示されていると思われますが、 これらは疾患の 『程度・目安』 を主体に示すもので、 煩雑な割に、EDかどうか把握する為に絶対に必要という訳では有りません。


上記の内容に合致されて、 「自分はインポテンツだ!」 とがっかりされる方もいらっしゃるかと思われます。 しかし、このお病気は実はとても一般的です。本当にたくさんの患者さんがいます。


推定ですが、なんと日本人男性に1130万人いると報告されています。 つまり男性のほぼ5人に1人です。 実はこの病気はかなりの多数派疾患なのです。 きっと貴方の周りにもたくさんいるはずです。


悩んでいるのは貴方だけでは有りませんよ。 みんな悩んでます。 決して一人では有りません!


2.【どんな原因があるの?】

「自分の何が勃起不全を引き起こしたのだろう?」
ご自身がインポテンツだと自己診断された方が、最初に抱く疑問の一つだと思われます。


最初に前提を申し上げると、男性はほとんどの方が年齢を重ねて行くにつれ、 自然に勃起不全になって行きます。 加齢に伴って性機能が低下する事は、人間だけでなくあらゆる生物に共通した自然な事なのです。 この 『年齢を重ねる事』 つまり 『加齢』 もEDの原因の一つに含まれます。


こうした 『原因』 として学会で認識されているもの、 これはリスクファクターと表現されていますが、 これは数え上げると、上記の 『加齢』 も含めて、なんと16種類も有ります。


順番に挙げていきますと、

  1. 加齢
  2. 糖尿病
  3. 肥満
  4. 運動不足
  5. 心血管疾患
  6. 高血圧
  7. 喫煙
  8. テストステロン低下
  9. 慢性腎臓病
  10. 下部尿路症状
  11. 神経疾患
  12. 外傷
  13. 手術
  14. 心理的および精神疾患的要素
  15. 薬剤
  16. 睡眠時無呼吸症候群

こんなにたくさんあるんです。 なお、 太字 で書かれているのは、頻度の高いものです。


これらに若干の補足説明をすると、

  • 1.加齢は、 『高齢者が該当する』 という意味ではなく、相対的な意味合いになります。 例えば20歳の方が40歳になれば、20年分の加齢的影響が加わります。
  • 5.心血管疾患は、狭心症や心筋梗塞などの心臓の血行の障害を中心としたお病気の事です。 ただ、これは原因というより、これをお持ちの方にEDが多いという、言わば傾向を示したものです。
  • 8.テストステロン低下とは、男性ホルモンの分泌が少なくなっている状態です。
  • 10.下部尿路症状とは、前立腺肥大に伴う事が多い、おしっこが出づらくなる状態です。
  • 12.外傷は骨盤や脊髄の怪我などが中心です。
  • 13.手術は前立腺癌・膀胱癌・直腸癌等の手術が中心です。
  • 14.心理的および精神的疾患的要素はプレッシャー・ストレス・抑うつ状態などが代表的です。
  • 16.睡眠時無呼吸症候群とは主にいびきをかく人で、呼吸が睡眠中に一時的に止まるお病気です。

これらのリスクファクターに該当する方は、すでにEDになる理由があると言えます


こうしたリスクファクターの中で、自分自身で対策しやすいものとしては、 『肥満』 『運動不足』 『喫煙』 が代表的です。 また食事内容の調整、過食の是正、定期的運動の導入、適切なダイエットによって、 ほとんどの糖尿病・高血圧が改善可能です。


ちなみに勃起不全における、主要な 『原因』 を一つに特定する事は、ごく一部の症例を除いては難しいです。 なぜならば、ほとんどの患者さんで、この 『原因』 は複数が混合しているのと (例えば、 『加齢+運動不足+高血圧』 のように。) 、 また原因によって、その症状に大きな違いが無いからです。 (例えば、肥満によるものと、運動不足によるものとでは、特に症状に違いはありません。) こうした理由で、原因を一つに特定し難いです。


上記した 『肥満』 『運動不足』 『喫煙』 は、 この中ではお医者さん無しで自分でアプローチできる数少ないものです。 お心当たりのある方は、これらの改善から取りかかるのはとても良いと思います。


ただし、 『肥満』 『運動不足』 『喫煙』 いずれもお持ちの方は、 いずれが原因になっているか? あるいは全てが原因になっているか? もしくはどれが主要な原因になっているか? こうした疑問はたとえ専門施設に受診したとしても、あまり明確にはならないでしょう (程度差からの推測は出来るかも知れませんが) 。


3.【どんな治療があるの?】

「インポテンツにはどんな治療があるのだろう?」
これも自分がEDだと判断された方が、最初に抱く疑問の一つだと思います。


世の中、 『回春』 『精力増強』 などを謳う薬剤や加療方法は山ほどあって、 皆さんもさぞ混乱されると思われます。 しかし、学会が認識している、勃起の障害に科学的に有効とされるものは、 実は限定的で、とても少ないです。


日本性機能学会の 『治療アルゴリズム』 に含まれているものは以下のものだけです。

  1. 生活習慣の変更・リスクファクターの排除
  2. PDE5阻害薬
  3. 陰圧式勃起補助具
  4. 海綿体注射
  5. プロステーシス挿入術

これに若干の補足を致しますと、

  • 1.は加療の前提的なポジションですね。上記の【どんな原因があるの?】で記載した、 肥満、運動不足、喫煙はこうしたアプローチの中心です。
  • 2.のPDE5阻害薬とは有名なファイザー社のバイアグラ等に代表される飲み薬です。 これらは、飲んでいる間だけ、一過性に症状を改善させます。
  • 3.の陰圧式勃起補助具は、吸引する器具でペニスを擬似的に勃起させるものです。
  • 4.の海綿体注射はペニスに血管拡張薬を直接注射する方法です。
  • 5.のプロステーシス挿入術は、手術的に膨らませる事のできる器物をペニスに挿入する方法です。

ただ上記3.4.5.は、2.のPDE5阻害薬が全く効果が無い、 もしくはお持ちのお病気などの関係でこれを使用する事ができない (使用禁忌と言います)、 そうした状況で選択される道具もしくは方法になりますが、 実はこれらはだいぶ一般的では有りません。


勃起不全の方は2.のPDE5阻害薬で加療されている方が圧倒的な多数派です。 なぜならば上記の3.4.5.は、患者満足度が低い、危険な副作用が出やすい、外科的手術になってしまうなど、 それぞれに一般性を欠く理由があるからです。


当院で扱っている正規国産のPDE5阻害薬
《こちらは当院で扱っている正規国産のPDE5阻害薬の写真です》


ちなみに、薬剤による 『EDの原因治療』 が上記のリストに入っていない事に気がつきましたでしょうか? 1.の 『生活習慣の変更・リスクファクターの排除』 は、こうした原因治療に入ると言えますが、 これは、ごく部分的なものにならざるを得ません。 例えば 『加齢+喫煙』 のリスクファクターがある人が、 禁煙に成功したとしても、改善ができないものとして一方の 『加齢』 が残ってしまいます。 また、 『糖尿病』 や 『高血圧』 などの生活習慣病の完全排除は、 全く容易な事では有りません。


そして内服や注射によるEDの直接の原因治療、 つまり薬剤による直接的な 『根治的加療』 が出来るのかと言うと、 これはハッキリ言って、現在の人類の医学テクノロジーでは出来ません。 もし、こうしたものが存在したとすれば、言わば 『加齢や糖尿病を含む16種もの病因を根治させる薬』 になります。 まさしく夢のテクノロジーです。


「現状、薬剤による勃起不全の根治的加療は無い」 と申し上げると皆さん、一様にがっかりします。 気持ちはよく分ります。わたくしもPDE5阻害薬を使っている身なので、 薬剤で根治的加療ができればどれだけ良いかと思います。


しかし現在は、実はまだ良い時代なのです。 ファイザー社から最初のPDE5阻害薬が出たのが1998年になりますが、 それ以前の世界では、効果が一過性にしても、具体的かつ満足度・安全性が高い勃起不全治療は無かったのですから。


また、現状どういった形になるか、まだ具体性を欠きますが、 将来的には再生医療がEDにも関わってくると思われ、 その際には、この疾患の治療アルゴリズムが根底から変わってくる可能性もあります。
先々には明るいニュースがあると思われます。 それを楽しみに待ちましょう。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-03-11)
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