『PDE5阻害薬って何の薬なの? ホスホジエステラーゼ5阻害薬のED、肺高血圧症、前立腺肥大症への効果を日本性機能学会専門医が解説』

ホスホジエステラーゼ5阻害薬は身体局所の血管拡張薬です

  • PDE5阻害薬:ホスホジエステラーゼ5阻害薬は何の薬かと言うと、身体局所の血管拡張薬です
  • PDE5阻害薬はペニス、肺、前立腺などで作用する事で様々な疾患の改善効果を示します
  • ペニスではED(勃起不全)の改善効果を示します
  • 肺では肺高血圧症の改善効果を示します
  • 前立腺では肥大症に伴う排尿障害の改善効果を示します

PDE5阻害薬って何の薬なの?
シンプルに言うと、体の局所の血管を広げる事でED(勃起不全症)、肺高血圧症、前立腺肥大症の改善効果を示す薬剤です。



PDE5阻害薬は略称で、正式にはホスホジエステラーゼ5阻害薬(phosphodiesterase 5 inhibitor)と言います。 ホスホジエステラーゼとは酵素の一種で、その11種類中5番目のものがホスホジエステラーゼ 『5』 (PDE5) になります。 このPDE5はcGMP(サイクリックGMP)という、血管の平滑筋を弛緩させる(ゆるめる)物質を分解してしまう作用が有ります。


そこでPDE5阻害薬という薬剤は、そのPDE5による分解を 『阻害』 してしまう事で、 cGMPをどんどん増やして、血管を覆っている平滑筋という筋肉をゆるめる事で、血管を拡張させる事が出来るのです。


このPDE5は、全身の血管どこにでも豊富に存在している訳ではないので、 ホスホジエステラーゼ5阻害薬は全身の血管を区別なく広げてしまう事は有りません。


PDE5は主に、ペニスの海綿体、肺動脈、前立腺や膀胱などに豊富に存在しているので、 ホスホジエステラーゼ5阻害薬による血管拡張効果は、これらの器官に限定されます。 こうした身体局所に限定された血管拡張作用が、ED(勃起不全症)、肺高血圧、前立腺肥大症などの疾患を改善させているのです。


本稿ではこのPDE5阻害薬がED(勃起不全症)、肺高血圧、前立腺肥大症に対してどのようにして効果を示すのか、 日本性機能学会専門医がわかりやすく解説をさせて頂いております。
宜しければご一読下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【ホスホジエステラーゼ5阻害薬のEDへの効果】
  2. 【ホスホジエステラーゼ5阻害薬の肺高血圧症への効果】
  3. 【ホスホジエステラーゼ5阻害薬の前立腺肥大への効果】

1.【ホスホジエステラーゼ5阻害薬のEDへの効果】

ホスホジエステラーゼ5阻害薬は陰茎海綿体の血流を増やしてEDを改善させます

PDE5阻害薬 (ホスホジエステラーゼ5阻害薬) とは何の効果が有る薬剤なのかと言うと、 代表的にはEDの改善効果が有ります。


ED:勃起不全症とは、勃起におけるペニスの硬さに問題があって、 性行為が上手くいかなくなる病態の事になります。


PDE5阻害薬には、このEDの改善効果が認められています。 こうした薬剤で有名なものとしては【商】バイアグラ(成分名:シルデナフィルクエン酸塩)などが有ります。


PDE5阻害薬はペニスの中の 『海綿体』 という、血管が集合してできている組織にて、ホスホジエステラーゼ5を阻害する事で、 cGMPをどんどん増やし、血管を緩める事で拡張させ、その結果、海綿体に流れ込む血液の量を増加させる事ができます。


海綿体に流れ込む血液の量が増加すると、海綿体に貯まった血液でペニスがだんだんと膨らんでいき、 勃起不全症の改善効果が示されるという訳なのです。


なお、この作用は性欲有りきで作動しますので、なんら性欲を喚起しない状況では勃起不全症の改善効果は示されません。


2.【ホスホジエステラーゼ5阻害薬の肺高血圧症への効果】

ホスホジエステラーゼ5阻害薬は肺動脈圧を下げる事で肺高血圧症を改善させます

PDE5阻害薬:ホスホジエステラーゼ5阻害薬とは何に効果のある薬剤なのか? 本剤は実は肺高血圧症の改善効果がある薬剤でも有ります。


肺高血圧症とは、異常な血管収縮などによって肺動脈圧が持続的に上昇して、 呼吸不全などを症状として示す、肺の難治性のお病気です。
本疾患は厚生労働省の指定難病医療費助成対象疾患でも有ります。


PDE5阻害薬には、この肺高血圧症の改善効果が認められています。
こうした薬剤で有名なものとしては【商】レバチオ(成分名:シルデナフィルクエン酸塩)が有ります。


PDE5阻害薬は、肺の動脈に豊富に存在するホスホジエステラーゼ5を阻害する事で、cGMPをどんどん増やし、 血管平滑筋を緩める事で肺動脈を拡張させます。 肺動脈が拡張すると、肺動脈の圧を下げる事ができるので、 結果、肺高血圧症の改善効果が示されます。


3.【ホスホジエステラーゼ5阻害薬の前立腺肥大への効果】

PDE5阻害薬は前立腺肥大症に伴う排尿障害を血流の増加によって改善させます

PDE5阻害薬:ホスホジエステラーゼ5阻害薬って何の薬剤なのか? 本剤は前立腺肥大症に伴う排尿障害に改善効果のある薬剤でも有ります。


前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺の内腺が段々と膨らんでいき、 その結果おしっこの通り道が圧迫される事で排尿障害を示す、男性特有の慢性疾患です。


PDE5阻害薬には、この前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善効果が認められています。 こうした薬剤で有名なものとしては【商】ザルティア(成分名:タダラフィル)が有ります。


PDE5阻害薬は、前立腺、膀胱、下部尿路に豊富に存在するホスホジエステラーゼ5を阻害する事で、cGMPをどんどん増加させ、 これらの器官の動脈を緩め、拡張させる事で、血流を増加する事ができます。 前立腺、膀胱、下部尿路における血流増加は、結果として前立腺肥大症に伴う排尿障害の改善効果をもたらします。



以上 PDE5阻害薬:ホスホジエステラーゼ5阻害薬が何の薬なのか? その基本的な薬効動態、そしてED(勃起不全症)、肺高血圧症、前立腺肥大症への改善効果をそれぞれ解説させて頂きました。


PDE5阻害薬は使用禁忌の疾患や併用禁忌の薬剤がある 『処方箋医薬品』 。 すなわち医師が処方する薬剤になります。処方を希望される場合、まずはそれぞれの専門医へご相談下さいませ。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-02-23)

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