『EDの検査にはどんなものがあるの?日本性機能学会専門医が勃起不全の4種類の臨床検査に関して解説』

EDの検査にはどんなものがあるの?

EDに特化した臨床検査は、代表的には 『夜間勃起現象の評価』 『陰茎海綿体注射』 『造影検査』 『採血検査』 の4種類になります。 しかしこれらの専門検査は実はあまり行われていません。 それは検査が高額になる事と適応が少ない事が原因です



EDは実はそのほとんどが問診だけで診断可能です。 それは疾患の定義自体が「EDとは満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持出来ない状態が持続または再発すること」 と、このように患者さんの主観に基づいたものとなっているので、実は客観的な臨床検査が必要な状況はさほど多くはありません。


勃起不全は6割の患者さんが問診だけで診断可能とされており、 『夜間勃起現象の評価』 『陰茎海綿体注射』 『造影検査』 『採血検査』 などの専門検査が必要になるのは全体の約2割程度と言われています。


こうした臨床検査が必要なケースは、 『労災によるEDの厳密な証明』、 『離婚訴訟などにおけるEDの厳密な証明』、 『投薬でなく手術的な解決が必要な場合の術前検査』、 『ホルモン補充療法が必要な場合の投与前検査』 などが主体です。


このように、これらの専門検査は、それを必要とするケースが特殊なのと、 そのほとんどが公的医療保険の適応外となる事から高額請求になる場合が多いので、 あまり行われていません。


本稿では、こうしたEDに特化した臨床検査について日本性機能学会専門医が優しく解説させて頂いております。 よろしければご一読くださいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【夜間勃起現象の評価】
  2. 【陰茎海綿体注射】
  3. 【造影検査】
  4. 【採血検査】

1.【夜間勃起現象の評価】

夜間勃起現象の評価

まずご紹介させて頂く勃起不全の臨床検査は、 『夜間勃起現象の評価』 についてです。


夜間勃起現象とは男性にはおなじみの 『朝立ち』 がきちんとあるかを評価するものです。
実はこの 『朝立ち』 は朝だけでなく睡眠中に何回も起きます。


この検査は、リジスキャンプラスと呼ばれる機材などを使用して、この 『朝立ち』 (夜もありますが…) が、 持続時間、硬度、頻度が正常の基準を満たすかをチェックするものです。


この検査で問題が無い場合は、ペニスが大きく・硬くなるために関わる、神経や血管などの体のシステムは健全である可能性が高く、 ストレスやプレッシャーなどの心因がインポテンツの主要な原因である可能性を示唆します。


前提として、このリジスキャンプラスという機器が高価なので、公的医療保険の適応外であるこの検査も高額な自己負担になります。 しかし、この検査が必要な状況は、 『労災によるEDの厳密な証明』 、 あるいは 『離婚訴訟などにおけるEDの厳密な証明』 が必要な場合などが主体で、 ほとんどの患者さんにおいては必要不可欠ではありません。


2.【陰茎海綿体注射】

陰茎海綿体注射

続いてご紹介させて頂くEDの臨床検査ですが、 『陰茎海綿体注射』 に関して説明させて頂きます。


陰茎海綿体注射とは、血管が拡張する物質を直接ペニスに針で注射して、ペニスが硬く・大きくなるかを調べるものです 主にプロスタグランジンE1という物質を使い、腫脹があるか、硬度や持続時間は十分かなど、複数の項目をもってチェックします。


これは神経による指令なしで、勃起に関わる血管の機能を調べる検査になるので、 この検査で問題がある場合は、

『ペニスに流れ込む血液が少ない』 → 関連した動脈の狭窄や閉塞による
『ペニスに血液を留めておけない』 → 静脈の閉鎖機構の障害による

など動脈や静脈など、 『血管』 に異常がある事を示唆します。 なお、この検査は超音波を利用して、さらに詳細に血流を調べる事もできます。


この検査はペニスに直接針を刺すなど侵襲性が高く、また持続勃起症などの検査合併症も高頻度です。 しかし、この検査が必要な状況は、上記の 『夜間勃起現象の評価』 と一緒で、 『労災によるEDの厳密な証明』 、あるいは 『離婚訴訟などにおけるEDの厳密な証明』 が必要な場合が主体で、 ほとんどの患者さんにおいて必要不可欠ではありません。


3.【造影検査】

造影検査

続いてご紹介させて頂く勃起不全の臨床検査ですが、 『造影検査』 に関して説明させて頂きます。


造影検査とはX線など画像上で視認できる物質を血管内に投与する事で、体の問題点を探す検査の事で、 腫瘍のチェックなど一般臨床でも広範に利用されています。


EDに特化した造影検査の場合は、 ペニスが硬く・大きくなるのに関連した血管に異常があるかを詳細にチェックする検査になります。


上記の 『陰茎海綿体注射』 も動脈や静脈などの血管に問題がある事をチェックする検査ですが、 造影検査を使用した場合は、どの血管のどの部位に問題があるのかなど、より詳細に調べる事が出来ます。


ただ、造影検査もインポテンツの精査の場合において公的医療保険の適応外となるので、 CTを利用した造影検査などの場合、自己負担額は相当の金額になる恐れが有ります。


しかし、この検査が必要な状況は、ペニスの血行再建術など血管の手術を考慮している場合が主体で (だから問題のある血管の正確な同定が必要なのですね) 、 ほとんどの患者さんには施行される事は有りません。


4.【採血検査】

採血検査

最後にご紹介させていただく勃起不全の臨床検査ですが、 『採血検査』 に関して説明させて頂きます。


採血検査自体はみなさんもよくご存じと思われますが、 EDに特化した採血検査の場合、チェックする項目が皆さんの健康診断などの採血とは違ってきます。


もちろん糖尿の値や腎機能・肝機能などの値はインポテンツの発症に関連が有りますが、 逆に言えば、これらの項目は健康診断でチェックできますので、 所属企業や自治体の検診を受けて頂く事でフォローできます。


そうなると、EDに特化した採血検査の項目はどういったものになるかと言うと、基本的にはホルモンのチェックが主体です。 性ホルモンなどの分泌異常は、勃起不全の原因になるので、所見によってはこうした項目のチェックが必要になります。


ただ、これも勃起不全に行う場合、公的医療保険の適応外になってしまい、 自己負担額は上記の 『造影検査』 ほどでは無いにしても、決して安くは有りません。


しかしホルモン障害をベースとしたインポテンツは全体から見るとごく少数派なので、 日本性機能学会でもED患者全例への施行は推奨しておらず、 性ホルモンの障害を疑わせる所見がある場合にのみ行うよう明言している事もあり、 これもまた施行される頻度が少ない検査となっています。



以上、勃起不全の代表的な検査4つに関して解説をさせて頂きました。 それぞれの説明に記載させて頂いたとおり、これらの検査は前提として高額な事が多く、 またモノによっては合併症や侵襲性が危惧されるものも有ります。


ただ、これらの検査の適応はあくまで狭い範囲で、ほとんどのED患者さんには必要有りません。 基本的にEDは問診で診断され、 バイアグラなどの勃起改善薬の服薬をもって診断的加療がされる場合がほとんどです。 必ずこうした検査をしなければ、勃起改善薬を処方できない訳では有りませんので、 ご安心頂きたく存じます。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-12-24)


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