前立腺がん処置

本疾患の治療によってEDが発症する可能性が高いとされています。



EDを推定で年間1万名発生させると報告されています。」

 

前立腺がん処置は勃起不全発症のリスクを伴います。


<当ページの項目リスト>

  1. 【EDと前立腺がん処置の関連について】
  2. 【代表的な前立腺がん処置】
  3. 【どのようにED発症に影響するのでしょう?】
  4. 【勃起不全発症予防のためにされる工夫】
  5. 【勃起不全発症後のマネジメント】

1.【EDと前立腺がん処置の関連について】

前立腺がん処置は、ED/勃起不全を発症させるリスクが有ります。 例えば前立腺がん処置として標準的に行われている根治的摘除術という手術によって、 年間1万名のED患者さんが発生している可能性があると推測されており、 罹病者数自体の増大にともない、 その加療の結果発生したED患者さんへのマネジメントケースが増加して来ている状況です。 しかし現在、 ED予防を主眼とした前立腺がん処置中もしくは前立腺がん処置後の様々な医学的工夫が検討されており、 、これらが段々と臨床に応用されてきています。


前立腺がん処置(prostate cancer treatment)における手術、放射線、 アンドロゲン除去療法のいずれの治療が、 ED(erectile dysfunction)/勃起不全/インポテンツを発症するリスクがあり、 特に前立腺がん処置における根治的摘除術はED発症リスクが最も大きいと認識されています。 当新宿ライフクリニックでも前立腺がん処置後に発症したEDに関して、 ご相談を頂くケースは少なくありません。
このED発症にかかわる前立腺がん処置は、 本疾患の症例が少ない過去の日本においてはあまり施行されておらず、 相対的に欧米人に施行される事が多いものと認識されていました。 しかし食生活の欧米化など、われわれの暮らしのスタイルが欧米的になるにしたがって、 本疾患の発症率がどんどんと上昇し、 1998年には日本人における悪性腫瘍の死亡原因第6位に浮上してきているような状況の中、 前立腺がん処置は以前より、かなり広範に行われるようになってきています。


そして、なおその罹病率は上昇を重ねているとの事で、 現在前立腺がん処置として年間16000件もの根治的摘除術が行われているとされています。 こうした前立腺がん処置の目的はもちろん救命です。 つまりあくまでも悪性腫瘍に対する命を優先した前立腺がん処置の戦略が優先されます。 しかし前立腺がん処置の場合、 他の悪性腫瘍に比較すると加療の反応性が良いので5年生存率が高い傾向があり、 その結果、治療後のQOL=生活の質を考える必要性が他の癌よりも髙いとされています。
QOL(quality of life)=生活の質とは端的には、 命をつなぐだけの生活でなく、性行為なども含めて生活を楽しむ事が出来ているか、 そうした事を指標にしたもので、EDなどの存在はこのQOLを極端に下げると各研究で報告されています。


前立腺がん処置はその技術の発達によって救命という課題に関しては良い成果を上げていると言えますが、 それに伴う合併症、特にEDなどに関しては今だ課題を残している状況と言えます。
EDは同じ前立腺がん処置による合併症でも排便や排尿の障害などに比較すると、 基本的生活動作に影響するものではないですが、 上記のようにEDは本人のQOLを大幅に下げる事、 また妻などパートナーのQOLにも連鎖的に悪影響を及ぼす事もあって、 EDは解決を望まれる事が多い前立腺がん処置の合併症と言えます。
現在、日本泌尿器学会ならびに日本性機能学会などEDと前立腺がん処置に関連性の深い各学会では、 こうした事態を重く受け止めており、 日夜この前立腺がん処置に関連して発症するEDの予防的対策に関して研究が進められています。


本稿ではこうした前立腺がん処置とEDの関連に関して詳細に解説しております。 宜しければご参考にされてください。 なお前立腺がん処置だけでなく肥大症への加療もED発症リスクに関わります。 これに関しては別項にてまとめてありますので、 宜しければご参照くださいませ。⇒EDリスクとしての肥大症

≪前立腺がん処置は救命が優先されます≫

本稿では前立腺がん処置によってED/勃起不全/インポテンツが発症するリスクに関して記載しておりますが、 これは前立腺がん処置をおろそかにしてEDを回避する事をお勧めしているわけでは在りません。 文中にも記載しておりますが、 前立腺がん処置は日本の癌の死亡原因の第六位の疾患に対応した大切な治療です。 EDに関しては、あくまで前立腺がん処置を全うした上でマネジメントが必要になるものと、 新宿ライフクリニックでは考えています。


2.【代表的な前立腺がん処置】

ED(erectile dysfunction)/勃起不全/インポテンツ発症にいずれも関連するとされる、 前立腺がん処置(prostate cancer treatment)ですが、 これら前立腺がん処置は疾患の病勢や生命また基本的な身体機能の維持を考慮して選択、 また組み合わされる加療です。 これらの前立腺がん処置の代表的なものとしては

  1. 手術的療法:根治的摘除術など
  2. 放射線療法:放射線外照射ならびに小線源療法など
  3. 内分泌療法:アンドロゲン除去療法など

が有り。リスクの大小は有れど、これら前立腺がん処置のいずれもがED発症に関連する事が有ります。


  1. 手術療法
    手術は一般的に期待余命10年以上で重い合併症が無い状況に適応される前立腺がん処置です。 方法としては恥骨後式もしくは会陰式の全摘除術が主体で、 最近では認定施設での前立腺がん処置ですが、腹腔鏡を使用したもの、 またロボット支援下(スコープとロボットアームを組み合わせた治療法)のもの等、 従来の前立腺がん処置としての手術的処置に比較して低侵襲な手技も選択が出来るようになってきました。 これらの前立腺がん処置の合併症は尿失禁やEDが主体です。
  2. 放射線療法
    これは放射線を使用した前立腺がん処置で、癌を縮小させたり無力化させる事が主眼です。 これには放射線外照射ならびに小線源などの放射線内照射が有ります。 最近では放射線外照射は三次元原体照射などの強度変調型放射線という、 極力疾患本体にだけ放射線を投与する前立腺がん処置が主流となってきており、 EDなどの合併症は以前に比較すると少なくなっているとも報告されています。
  3. 内分泌療法
    本疾患の体内における増殖には、 人間の体の中で作用している男性ホルモン:アンドロゲン(テストステロン) が深く関わっているとされており、 この男性ホルモン:アンドロゲンの活動を押さえる事でその増殖をブロックしたり、 縮小させたりする前立腺がん処置が有ります。これを総じてアンドロゲン除去療法と言うのですが、 男性ホルモンは男性の性欲、勃起機能、射精機能、 妊孕性などほぼ全ての男性性機能に重要な役割を持つとされているので、 この前立腺がん処置によりEDを始めとするバリアブルな性機能障害が発生する事があるとされています。

以上が代表的な前立腺がん処置です。 この加療のいずれもがED/勃起不全の発症に関連します。 これらの前立腺がん処置以外には待機療法といって、 具体的な加療をせず、主に腫瘍マーカーを監視しながら経過観察する方法もあり。 この前立腺がん処置はあくまで生検結果から判断して進行が緩徐な、 低リスクなものが対象となるので一般的な治療とは言い難いです。 無論この前立腺がん処置に関してはEDなどの合併症の発生はほぼ無いです。 こうした待機療法は患者さんの社会背景も重要なポイントと言え慎重かつ継続的な経過観察が必要です。


3.【どのようにED発症に影響するのでしょう?】

上記に代表的かつ、 ED(erectile dysfunction)/勃起不全/インポテンツの発症に関わる前立腺がん処置(prostate cancer treatment) を解説しました。 これらの前立腺がん処置ではどのくらいの頻度でEDが引き起こされるのでしょうか?


まず前立腺がん処置としての手術:根治的摘除術ですが、この治療の直後はほぼ全例が一時的なEDになり、 その後、EDが改善してくる頻度は約34%とされております。 残りの66%に及ぶこの前立腺がん処置後の症例はED患者化すると報告されていて、 総じて前立腺がん処置前の性機能の32%しかEDが回復しないとされています。


次に前立腺がん処置としての放射線療法ですが、 この加療によって30~70%の方がEDを発症すると報告されています。 この報告はED発症頻度の幅が大きいですが、より詳細な検討では 前立腺がん処置としての放射線照射1年後に27%が、 2年後には36%が、3年後には38%がEDを発症するとも報告しています。 根治的摘除術の場合は前立腺がん処置直後のED発生率が一番高く、 その後段々とEDの改善者が増してくる傾向ですが、 放射線療法による前立腺がん処置の場合は逆で治療後の時間経過に従ってEDが増悪していく傾向が有ります。


最後に前立腺がん処置としての内分泌療法であるアンドロゲン除去療法ですが、 この前立腺がん処置はEDの発症率が69から91%と報告されており、 一見、根治的摘除術よりも高い頻度でのEDの発症が有りそうですが、 統計データ採取上の問題があり、 この前立腺がん処置によるED発症頻度のデータは若干不正確とも指摘されています。 と申しますのも、前立腺がん処置としての抗アンドロゲン療法の場合、 ED発症のみならず性欲も低下させてしまう事が多いので、 EDの発生自体を問題と感じないようになってしまう方が多いからと推測されています。


4.【勃起不全発症予防のためにされる工夫】

上記に各前立腺がん処置(prostate cancer treatment)における、 ED(erectile dysfunction)/勃起不全/インポテンツの発症頻度など記載させて頂きました。 日本性機能学会ならびに日本泌尿器科学会では、 前立腺がん処置によるEDの発症頻度を削減させるための工夫に関して日夜研究を進めており、 中には実際にED発症頻度の低下に成功しているものも有ります。


まず前立腺がん処置としての根治的摘除術に関してのED予防の工夫ですが、 勃起にかかわる重要な神経を内包した神経血管束(NVB)の温存は、 ED発症予防に関して、すでにある程度確立された手法です。 またその他の前立腺がん処置の神経温存にかかわる工夫としては被膜下神経温存術、 神経移植術もED予防に対して検討されていますが、 これらに関しては神経血管束温存ほどのED予防効果に関する学術的根拠がいまだ有りません。 神経以外にも前立腺がん処置における血管の温存、 特に副陰部動脈の温存がED予防に望ましいという意見もあり、 こちらに関しては大きな調査によるED予防効果の検証が待たれている状態です。


その他、前立腺がん処置としての根治的摘除術後には、陰圧式勃起補助具・陰茎海綿体注射・ PDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ5阻害薬)などを使用した、 陰茎のリハビリテーションを術後早期に行う事で最終的にED化する患者さんを削減する事が期待されています。 ただこの中で最有力候補であった、 PDE5阻害薬によるED予防を目的としたリハビリテーションの効果に関しては先行する大きな研究にて、 EDの予防効果が希薄という結果が出てしまった事で、この方法に関しては再検証が待たれています。


次に前立腺がん処置としての放射線療法におけるED予防の工夫ですが、 これは上記でも触れた既存の骨盤全照射に対して、 照射される放射線量を疾患本体に限定した、 三次元原体照射などの強度変調型放射線照射がED発症率を削減させると期待されています。 またこれら外照射に対して、 小線源という放射性物質を体内に埋め込むタイプの前立腺がん処置は、 ED発症の頻度が外照射に比較して少ないとも報告されています。 ただこの外照射と内照射は並列に並び立つ前立腺がん処置という訳ではなく、 それぞれに適した症例があるので、 ED予防を前提にシンプルにどちらかを必ず選択可能という訳では無いようです。


5.【勃起不全発症後のマネジメント】

以上、前立腺がん処置(prostate cancer treatment)とED(erectile dysfunction)/勃起不全/インポテンツとの関連、 そしてそれらのED発症予防などに関して概説しました。 いずれの前立腺がん処置のケースにおいてもED発症以降の加療にはまずPDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ5阻害薬) が第一選択として検討されます。


ただ前立腺がん処置としての根治的摘除術で神経血管束など勃起に関わる神経を温存できなかった場合、 こうした勃起改善薬はEDに対して効かなくなる可能性が高いです。 これはPDE5阻害薬は血管性EDに対しての効果が主体がゆえに、 前立腺がん処置による神経障害が主体のEDには効かない事が多いからです。


また前立腺がん処置としての放射線療法後にEDが発症するケースにおいては、 これらPDE5阻害薬は70~90%のEDの改善に有効とされています。 しかし前立腺がん処置としての放射線療法後に発症するEDは、 時間経過に従って段々と悪化していく事が多いので、 これらPDE5阻害薬の効果もだんだんとEDに対する効果が低下する可能性が指摘されています。


前立腺がん処置としてのアンドロゲン除去療法においてもPDE5阻害薬は、 ED改善の第一選択です。 しかしアンドロゲン除去療法の場合は性欲も抑えてしまう関係上、 EDの発生を問題視しない傾向が患者さんにあり、 この前立腺がん処置に対するED改善薬の評価は難しいです。 またアンドロゲン除去療法は前立腺がん治療としての放射線療法と同様に、 経年的にPDE5阻害薬のEDに対する改善反応が低下するとも報告されています。


以上前立腺がん処置によって発生したEDへのマネジメントに関して記載させて頂きました。 当新宿ライフクリニックは新宿でトップクラスの保健所認可ED専門施設にて、 これまでも前立腺がん処置後を含む様々なEDケースに対応して来ました。 正規国産の勃起改善薬によるED治療をご希望されるようでしたら、 是非とも当院へご来院をご検討下さいませ。 スタッフ一同ご来院を皆様のご来院を心よりお待ちしております。