薬剤性

服用した製剤によって発症するEDとは



ED発症リスクの一つ」

 

「薬剤性」は勃起不全リスクファクターの一つです。


<当ページの項目リスト>

  1. 【薬剤性原因のED発症】
  2. 【薬剤性EDを発症させる報告のあるもの】
  3. 【なぜに引き起こされるのか】
  4. 【改善のためには】
  5. 【高齢化につれて】

1.【薬剤性原因のED発症】

薬剤性はED発症のリスクファクターの一つで、 これはホルモン剤や降圧薬等の製剤の中に、勃起不全を引き起こすものがあるという事です。 中には高血圧と降圧薬のように治療製剤と疾患どちらもがED発症リスクファクターであるものもあり、 その調整は難しい傾向です。 また薬剤性のED発症はその製剤のカテゴリー毎に勃起不全が引き起こされるロジックが違います。


何らかの疾患加療のために恒常的に内服をされている方は多くいらっしゃいますが、 わりとポピュラーな系統の製剤で薬剤性EDの発症が引き起こされる事はあまり知られていません。 研究の中には新規にEDを発症される方の25%つまり1/4が薬剤性と報告しているものもあります。
当、新宿ライフクリニックに来院されるEDを発症された患者さんの中にも、 特定の製剤を飲むようになってからED発症に至った、 つまりエピソード上薬剤性を示唆する主訴を訴える方は少なくありません。
しかし発症したEDが薬剤性が主たる原因かどうか特定する事は実はとても難しいです。 と申しますのもED発症は多因子による事が多く、 どれが主体となって勃起不全が引き起こされたかを明確に判別し難いケースが多いからです。


例えばED発症されている方に、加齢・喫煙・肥満・運動不足・高血圧・高血圧に対する降圧薬と 薬剤性原因の降圧薬を含めて6種のリスクファクターが存在するケースが有ったとします。 こんなにリスクファクターが多い方は稀だと思いますか? じつはED発症されている中高年の方においては、 多重するリスクファクターをお持ちの方はむしろ多数派だと思われます。
この6種のED発症リスクファクターが同時にある方において、 最もそれを引き起こす寄与度の高いものはどれかと聞かれても、 それを正確に回答する事は難しいと言わざるを得ません。 ただリスクファクターの間でも特に強力な因子とされるものはあります。 例えば高血圧・糖尿病のような生活習慣病そして加齢です。
一方、薬剤性はどうかと言うと、製剤によってED発症に至るロジックが変わってくるので、 その製剤によって因子として強力かどうかは可変的と言えるでしょう。
たとえば薬剤性の原因の内、前立腺癌などに使用されるホルモン剤の抗アンドロゲン薬などは、 きわめて強力なリスクファクターと言えるでしょう。


本稿ではED発症リスクファクターの内、この薬剤性にスポットを当てて、 製剤内服によるED発症について、その製剤の種類や、引き起こされるロジックなど詳細に記載しております。 なお薬剤性ED発症など勃起不全自体の種類に関しては別項にて詳細に記載しております ⇒ED発症の分類

≪内服薬は自己中断・自己調整されませんようお願い申し上げます≫

*本稿では薬剤性ED発症に関して記載しておりますが、 これは薬剤性のED発症リスクのある内服製剤の自己中断・自己調整をする事を推奨するものでは全く有りません。 ED発症が薬剤性に発生しているかどうかは、 厳密な調査にのっとって医師によって判定されるものですので、 患者さん自身では判断されませんよう、固くお願い申し上げます。
また医師によって処方されている製剤の自己中断や自己調整は、 原疾患の増悪など、思わぬ大きな事故を招く危険があります。 薬剤性ED発症の可能性のある内服をされているからと言って、 自己中断・自己調整はくれぐれもされませんよう重ねてお願い申しあげます。


2.【薬剤性EDを発症させる報告のあるもの】

薬剤性EDを発症させる報告のある製剤は大きく7カテゴリーに分かれます。 これは全てが同様のリスクを持つわけではなく、 製剤によってその寄与度は大きく変動します。 また全てが同じロジックによって薬剤性EDの発症を引き起こすわけはなく、 そのロジックは製剤のカテゴリーによって大きく変わります。 以下にこの7カテゴリーに関して記載します

  1. 降圧剤:
    降圧剤は主に高血圧に使用される、血圧を下げることを主務とする製剤です。
    薬剤性ED発症を報告されている主なものとしては、 利尿剤(サイアザイド系、スピロノラクトン系)、Ca拮抗剤、交感神経抑制剤、β遮断剤です。 ACE阻害剤やアンジオテンシン受容体拮抗剤も海外の研究ではED発症に関連があると報告されています。
  2. 精神神経用剤:
    メンタルヘルス領域で使用される製剤の中には薬剤性ED発症が示唆されているものが有ります。 この主なものとしては抗うつ剤(三環系抗うつ剤、SSRI、MAO阻害剤)、 抗精神病剤(フェノチアジン系、ブチロフェノン系、スルピリド、その他) 催眠鎮静剤(バルビツール系)などです。
  3. ホルモン剤:
    ホルモン剤は癌治療や、AGAなどに使用されているものの中に、 薬剤性ED発症が示唆されているものが有ります。 主なものとしてエストロゲン製剤、抗アンドロゲン、LH-RHアナログ、5α還元酵素阻害剤などです。
  4. 抗潰瘍剤:
    抗潰瘍剤は胃潰瘍、十二指腸潰瘍などに使用されるものの中に、 薬剤性ED発症が示唆されているものが有ります。 主なものとしてスルピリド、メトクロプラミド、シメチジン等です。
  5. 脂質異常症治療剤:
    脂質異常症治療剤はコレステロールや中性脂肪を低下させるものの中に、 薬剤性ED発症が示唆されているものが有ります。 主なものとしてはスタチン系、フィブラート系です。
  6. 呼吸器官・アレルギー用剤:
    呼吸器官・アレルギー用剤は気管支喘息やアレルギー症状を緩和させるものの中に、 薬剤性ED発症が示唆されているものが有ります。 主なものとしてステロイド、テオフィリン、β刺激剤、抗コリン、抗ヒスタミンなどです。
  7. 消炎鎮痛剤:
    消炎鎮痛剤は痛み止め、熱さましを主務とする製剤です。 この中ではNSAIDs:非ステロイド系消炎鎮痛剤が薬剤性ED発症が示唆されています。

以上7種のカテゴリーの製剤が薬剤性ED発症に関わると主に報告されているものです。


3.【なぜに引き起こされるのか】

上記2.【薬剤性EDを発症させる報告のあるもの】 にて薬剤性ED発症の可能性のある製剤カテゴリーを報告させて頂きましたが、 なぜにこれらの製剤は勃起不全を引き起こすリスクがあるのでしょうか? その推定されるロジックに関してここでは記載させて頂いておりますが、 実はロジックが不明なものがほとんどです。


前項で記載したカテゴリー1.の降圧剤に関しては、 治療対象疾患の高血圧によって作られた動脈硬化によって陰茎への血流が低下している所に、 降圧剤による血圧低下が作用してさらに陰茎血流が低下する事が、 本カテゴリーが薬剤性ED発症に関与する主要なロジックとされています。 このロジックは降圧剤の種類によってED発症の頻度が可変的である事を説明しきれていないとも言われてますが、 降圧剤の種類ごとの降圧力の違いでそのギャップを説明できるかも知れません。


カテゴリー2.の精神神経用剤に関してですが、、 いわゆる情欲はあらゆる勃起という生理現象のエンジンたる情動ですが、 その「情欲」をつかさどる大脳辺縁系など中枢神経への精神神経用剤による抑制が、 薬剤性ED発症に関与するロジックとして示唆されています。


カテゴリー3.のホルモン剤に関しては、 薬剤性ED発症の原因は割と明確で、勃起機能に重要な役割を担うテストステロンを、 これらのホルモン剤が抑制する事で薬剤性ED発症に関与していると示唆されています。


以降のカテゴリー4.5.6.7.に関しては、 薬剤性ED発症に関与する薬理的ロジックに明確な報告は希薄な状況です。


ちなみにこれら薬剤性ED発症に関連する報告がある薬剤では、 決して忘れてはいけない事として、 これらの製剤自体が勃起不全発症に関連している時もあれば、 これらの製剤を投与している対象疾患の方が勃起不全を主に引き起こしている時もある事です。
例えば降圧薬が適応される高血圧は強力な勃起不全リスクです。 上記した降圧薬による薬剤性ED発症のロジックも高血圧による動脈硬化が母体になっているので、 いわばこれも高血圧によって作られた事態とも言えます。


4.【改善のためには】

薬剤性が主因たるED発症と判明した場合、これはどのように改善したら良いのでしょうか?


薬剤性が主因であると医師によって判定される場合には、それぞれの原因製剤によって、 その改善のための対処法が変わってきます。
カテゴリー①の降圧剤が薬剤性ED発症の主因の場合、 そのまま降圧剤を中止したら血圧が上昇して動脈硬化が進行し、 さらに勃起不全が増悪していくので、ただ製剤の中止だけをする事は出来ません。 しかし原因と思われる製剤をより勃起不全リスクの少ないものに交換する事を勘案する事が出来ます。 また高血圧の場合、薬剤以外でもコントロールは可能です。 例えば肥満ベースの高血圧の場合、 現体重から5%体重が減るだけでもかなりの降圧効果が見込まれるとされていますし、 減塩や持久力運動の定期導入も降圧効果が高いです。このような生活習慣改善による降圧をもって、 原因製剤からの脱却を目指すのは高血圧のコントロール上も望ましいと言えます。


カテゴリー⑤の脂質異常症治療剤が薬剤性ED発症の主因の場合、、 その内服対象疾患たる脂質異常症については明確な遺伝原因以外のものは、 抜本的な食事療法の導入、体重コントロール、持久力運動の導入などで大きな改善が見込めます。 こちらも高血圧同様に生活習慣改善をもって原因製剤からの脱却を目指すのは、 原疾患のコントロール上も望ましいと言えますし、脱却まで至らなくても、 より弱い力の製剤もしくは、より勃起不全リスクの少ない製剤に交換する事も可能になります。


このように原疾患のコントロールが能動的に可能なものについて、 自助努力による原因製剤からの脱却は現実的な対処法と言え、 一方原疾患のコントロールが能動的に出来ない、もしくはし難い、 精神神経用剤・ホルモン剤・抗潰瘍剤・呼吸器官/アレルギー用剤・消炎鎮痛剤に関しては、 より勃起不全リスクの少ないものへの交換を担当医に検討してもらうのも宜しいかと存じます。 ただ製剤の中にはその力価や作用動態等の関係上、他の製剤と交換出来ないものもあります。
またこのような薬剤性ED発症の場合、PDE5阻害薬に代表される勃起改善薬は髙い効果が期待できると報告されているので、 原疾患のコントロールが難しく、かつ原因製剤の他の製剤への交換が難しい場合には、 これら勃起改善薬の導入も現実的と言えます。


5.【高齢化につれて】

薬剤性ED発症は高齢化につれて、増加しやすい傾向にあると思われます。 何故ならば、高齢化に応じてEDは発症し易くなりますし、 また高齢化に応じて、内服適応となる疾患有病率も上がるからです。 薬剤性ED発症に関わる製剤のカテゴリーは上記のように広範ですので、 内服が増えれば、その中にこれらのカテゴリーの製剤が入り込む確率はどんどん上昇します。


PDE5阻害薬に代表される勃起改善薬の登場で、 勃起不全の治療はとても進歩したと言えますが、 今後どんどん増大する多数の疾患、 多数の内服が影響する高齢層の難治な勃起不全に十全に対応できてるとは言い切れない状況です。
やはりこうした高齢層の中にはこれら勃起改善薬がうまく奏功しない方もいます。 今後どんどん進行する高齢化社会を考えると とくに薬剤性ED発症に関しては、より診断や治療のメソッドを明確にしていく必要があると思われます。 具体的には薬剤性ED発症の原因製剤に関して、その勃起不全発症寄与の明確化、 またそうしたケースでの代換製剤のリスト化など、いわばガイドライン的整備が必要なように思われます。


薬剤性ED発症を含めて考えると、 今後の高齢者勃起不全の治療はオーダーメイド的なものに展開していくと思われ、 今後の勃起不全関連学会の動向から目を離せない状況です。
薬剤性ED発症に関して、お悩みの方は東京は新宿駅前の保健所認可 勃起不全治療施設である、 新宿ライフクリニックにご来院くださいませ。 当院は様々な専門医がその運営に関与している高度なスペシャリティを誇る医療施設です。 皆様のご来院を是非ともお待ち申し上げます。