かぜ薬の影響

EDとはどのような関連がある?



EDとの関連」

かぜ薬と勃起不全をテーマに記載しております


<当ページの項目リスト>

     
  1. 【かぜ薬とED】
  2. 【かぜ薬とED治療剤の飲み合わせは】
  3. 【その他の飲み合わせの悪いものは】
  4. 【勃起不全発症に関連する風邪治療剤】
  5. 【感冒時のセックスの注意点】

かぜ薬とEDの関連

EDとかぜ薬との関連


1.【かぜ薬とED】

【要約】 「かぜ薬とED(勃起不全)の関連について」
かぜ薬とは市販のものでは総合感冒に該当するもので、 病院処方では主に鎮咳や抗生物質など原因や症状に合わせた複数種の取り合わせを示します。 これらかぜ薬として使用されるもののほとんどは、ED治療剤との飲み合わせは問題ありませんが、 稀にかぜ薬における抗生物質として使用される事のあるマクロライド系は、ED治療剤との飲み合わせが悪いと報告されているので注意が必要です。 またかぜ薬として使用される事のあるNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤、ならびに抗ヒスタミン剤はED発症の関連性が示唆されていますので、こちらも注意が必要です。



風邪の季節は嫌なものですね。 風邪の流行する冬季はだいたいの仕事が忙しくなる傾向にあると思われますが、 忙しいにも関わらず、風邪を引く事で仕事のパフォーマンスが低下してしまうのはとてもつらいものです。 また冬季はイベントも豊富なので、性行為の機会も増える傾向にあるかと存じます。 そうした冬季には、仕事による忙しさの中でタイミングを選ぶ事が出来ず、 止む無く風邪をひきながらセックスをせざるを得ない時もあるのではないでしょうか?


こうした場合、時に皆さまが心配になるのは、
「かぜ薬とED治療剤の併用は大丈夫だろうか?」
「かぜ薬によってEDが増悪する事はないだろうか?」
といったかぜ薬とEDとの関連についてではないでしょうか?


いわゆるED治療剤はセックスのタイミングで使用するもので、これらを運用されている方の中には、 かぜ薬とED治療剤との飲み合わせを心配された事のある方も実は多いのではないかと存じます。 セックスが日常の一コマである限り、 日常の中で使用する事のあるかぜ薬とED改善剤との併用は時に心配になるものでしょう。


またEDの発生原因の中には服用内容によるものがリスクファクターとして明確にあり、 病院で処方された多くのかぜ薬を前にすると、 これらのいずれかがEDに悪影響を与えないか心配になる方もいらっしゃるのではないかと存じます。


そうした状況を勘案し、日本性機能学会専門医の主宰するED専門クリニック、 新宿ライフクリニックから今回は、かぜ薬とEDの関連について、その詳細を記載させて頂きます。 宜しければ、どうぞご参考にされて下さい。


2.【かぜ薬とED治療剤の飲み合わせは】

こちらではかぜ薬とED/勃起不全治療剤の飲み合わせに関して記載させて頂いておりますが、 まずこの「かぜ薬」とは何なのか解説したいと思います。 これは日常的に使用されているものだと思いますが、 実は「かぜ薬」は医学的には定義されていないようです。


かぜ薬と一言にいっても、それには市販のもの、また病院で処方されるものとが有り、 またそれぞれにたくさんの種類があります。 市販のかぜ薬は基本的には総合感冒と言って、 咳や痰、熱、のどの痛み等のそれぞれの症状に作用する様々な成分を複合的に内包しているものが主体です。 その一方、病院で処方されるかぜ薬は、複数配合のものもありますが、 基本的には感冒の各種症状や各原因に応じてオーダーメイド的に組み合わされる、 幾つかの種類の組み合わせです。


これらかぜ薬の特徴は、抗生物質・抗ウィルス剤を除いては、 基本的に風邪の原因をやっつけるものではなく、その症状を抑え込むものが主体です。 近年では原因に明確な指向性が無い限り、 病院からかぜ薬として抗生物質・抗ウィルス剤を処方する事は減ってきています。 (インフルエンザ流行期で、検査上確定ではないけれど疑わしい場合は、 周囲流行阻止の意味合いも込めて、抗インフルエンザ剤を早々に処方する事はあります。)


つまりかぜ薬は言ってしまえば、その作用のほとんどは症状を抑える「対症療法」であって、 かぜは基本的には自身の免疫を主体に治しているのです。 いわゆる「かぜ薬」とは風邪を「治す」というより「抑える」というニュアンスの方が近いものかも知れませんね。


それではかぜ治療剤と勃起不全改善薬との実際の飲み合わせはどうでしょうか?


まず非常に一般的かつ典型的な市販の総合感冒と勃起不全改善薬との飲み合わせを検証します。 基本的に市販のかぜ治療剤は以下のような成分と効果になっています。

  • ・ジヒドロコデインリン酸塩:鎮咳効果
  • ・dl-メチルエフェドリン塩酸塩:鎮咳・去痰効果
  • ・グアイフェネシン:去痰効果
  • ・アセトアミノフェン:消炎鎮痛効果
  • ・リゾチーム塩酸塩:去痰効果
  • ・ビスイブチアミン(ビタミンB1誘導体)
  • ・リボフラビン(ビタミンB2)

このかぜ治療剤の効果は御覧の通り、おもに熱を冷まし、咳を鎮め、痰を出し易くして、 ビタミンを補充するのが目的です。 これらすべての成分に関して、 ED治療剤との併用に問題が有ると報告されているものは有りません。


一方、病院から「かぜ薬」として一般的に処方される内容ですが、 これは上記した通り、症状・原因に応じて複数種が組み合わされたものが主体です。 主に組み合わされるものとしては、

  • ・複数種配合(PL配合顆粒など)
  • ・漢方(葛根湯など)
  • ・消炎鎮痛(カロナール、ロキソニンなど)
  • ・鎮咳(メジコン、アストミンなど)
  • ・去痰(ムコダイン、ムコソルバンなど)
  • ・抗生物質(たくさんの種類があります。)
  • ・抗ウィルス(抗インフルエンザなど)

これらが代表的です。 これらとED治療剤との飲み合わせですが、そのほとんどが問題ないと言えます。 しかし例外として、抗生物質の内、マクロライド系と呼ばれるもの(クラリス、ジスロマックなど) はED治療剤の代謝を阻害し、その血中濃度を不必要に上昇させてしまう可能性があり、 ほとんどのED治療剤と「併用注意」の扱いになっています。 最近ではかぜ薬として病院から抗生物質が出る事はほとんどなくなって来ました。 ほとんどの感冒がウィルス性なのであまりが意味ない上に、 指向性の低い抗生物質の運用は多剤耐性菌を生み出す素地となってしまう可能性が指摘されているからです ただし細菌性を疑わせる根拠が強くあるものに関して抗生物質を使用する事は今だにありますし、 その中では上記マクロライド系はかぜ薬として処方される事が相対的に多い抗生物質なので、 ED治療剤を運用されている方は十分な注意が必要です。


3.【その他の飲み合わせの悪いものは】

かぜ薬として市販されているもの、またかぜ薬として病院で処方される事があるものと、 ED/勃起不全治療剤との飲み合わせに関して実例を交えて上記に解説させて頂きました。


こうしたかぜ薬の中ではマクロライド系抗生物質がED改善剤との飲み合わせが悪い事を説明させて頂きましたが、 実はかぜ薬以外では、この他にも勃起不全改善薬と飲み合わせが悪いものはとてもたくさんあります。 その一部を紹介させて頂きますと、

  1. 硝酸系およびNO供与系の全般
  2. 抗不整脈剤の一部
  3. 抗真菌剤の一部
  4. 抗HIV剤の一部
  5. 降圧剤
  6. 抗結核剤の一部(リファンピシンなど)
  7. 抗てんかん剤の一部(フェニトイン、フェノバルビタールなど)

これらが代表的です。
ED治療剤との飲み合わせの悪いものは大別すると2種あり、 「禁忌」と言って健康や生命への重大な悪影響があり、その併用が禁じられているものと、 「併用注意」といって併用は可能だけれども十分な注意を必要とするものとが有ります。


【かぜ薬とED治療剤の飲み合わせは】にかぜ薬として処方される事がある抗生物質のマクロライド系について記載しましたが、 これは実はED治療剤の「併用注意」に該当するものです。 一方、上記の1.2.3.4.に関してはED治療剤との併用が「禁忌」になる可能性が高く、 特に1.硝酸系およびNO供与系の全般、 つまり「ニトロ」系と通称されるものに関しては100%ED治療剤との併用は禁忌であり、 絶対に併用してはいけません。


4.【勃起不全発症に関連する風邪治療剤】

ここまではED/勃起不全治療剤と飲み合わせの悪い薬剤に関して解説をさせて頂きましたが、 この「かぜ薬」自体はEDの発症に関連が有るのでしょうか?


かぜ薬として処方される事のあるほとんどの薬剤はED発症には関連がありませんが、 じつは例外として、 NSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤と抗ヒスタミン剤はED発症との関与が指摘されており、 特にNSAIDsはED発症との関連を示唆する統計学的検討は豊富です。
その一例として、8万人の男性の前向きコホート試験があるのですが、 この報告ではNSAIDsの使用による重症ED発症のオッズ比は約1.38倍とされており、 これは他の報告における高血圧のED発症に対するオッズ比に匹敵する髙いレベルと言えます。


ただ、かぜ薬はあくまで一過性に使用するものですし、 降圧薬のように継続的に使用するものでは有りません。 そうした意味合いではかぜ薬によるED発症への影響は一時的なものと言えますので、 ご安心くださいませ。


このNSAIDsの代表的な商標名としては有名な「ロキソニン」などが有ります。 一時的にしろEDの増悪が気になる方は、市販のものであれば調剤師さんに、 また病院処方であれば担当医にその旨を説明し、 NSAIDsや抗ヒスタミン剤を使用するメリット・デメリットについてお話しを詳しくお話しをお伺いになるのも良いでしょう。


5.【感冒時のセックスの注意点】

以上、かぜ薬とED/勃起不全の関連に関して詳細に記載させて頂きました。


まとめると、病院処方の抗生物質にさえ気を付ければ、ほとんどのかぜ薬として運用されているものは、 ED治療剤との併用は問題なさそうと言う事と、 かぜ薬におけるNSAIDsと抗ヒスタミン剤以外はED発症には関連が希薄であると言う事になります。


ただ医学的には、やはり感冒時は出来るだけ性行為はされない方が望ましいです。
その理由はやはり相手の方に風邪をうつしてしまうしまう可能性が非常に高い事が有ります。 ほとんどの感冒は飛沫感染という感染形態をとりますが、これは至近距離であるほうが、 感染がうつり易い感染形態と言えます。性行為の相手は、基本的に大切なパートナーだと思われます。 むしろ風邪がうつらないような配慮を加えるべきかと存じます。


また風邪を引いている時には、子づくりを目的にした性行為はしない方が望ましいです。 これは妊娠初期の絶対過敏期に妊婦が風邪を引いている場合、 かぜ治療剤などを使用する事が非常に難しくなる事、 また妊婦の感染症的影響はもちろん胎児にも及ぶ事がある事など、 複数の理由があっての事です。


そしてED治療剤とほとんどのかぜ薬との併用が問題ないと報告させて頂いておりますが、 動悸やほてり感などED治療剤の典型的な副作用に関しては、 感冒時には前面に出やすくなる可能性があるので注意しましょう。 日頃からED治療剤の副作用が出やすい方はより注意が必要です。


最後に、ご自身についてですが、性行為は基本的に半裸もしくは裸で行うものだと思いますが、 冬のような寒い季節には、半裸もしくは裸でいる事で身体を寒冷状況においてしまう事になりかねません。 こうした状況はもちろん風邪を悪化させる事があるので、やはり風邪を引いて居る時には、 無理して性行為はしない方が望ましいでしょう。


新宿ライフクリニックではこのように患者さんの様々な相談に対応させて頂いております。 今回のような、かぜ薬とEDの関連などの御質問にも随時対応できますので、 東京は新宿駅の目の前、新宿ライフクリニックへどうぞお越しくださいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)