『生活習慣の悪化で精子の質が低下したり、EDになったりする? 生活習慣の悪化が男性不妊症に関わる2つの理由を日本性機能学会専門医が解説』

生活習慣の悪化が男性不妊症の原因になる。

  • 男性が原因となる不妊症を 『男性不妊症』 と言います
  • 生活習慣の悪化 (肥満・喫煙・飲酒の増大など) は精子の質を低下させます
  • 精子の質の低下(運動能低下・正常形態率低下など) は男性不妊症原因の一つです
  • また生活習慣の悪化 (肥満・喫煙の増大など) はEDを引き起こします
  • EDの発症もまた、男性不妊症原因の一つです


生活習慣の悪化で精子の質は低下します。 また生活習慣の悪化はEDの原因にもなります。


そして精子の質の低下、ED:勃起不全症は、どちらも不妊症の原因になります。 こうした男性側の要因で不妊症になる事を 『男性不妊症』 と言います。 男性不妊症は不妊症原因の約半分を占めていると言われています。


本稿では生活習慣の悪化が男性不妊症の原因となる、 その二つの理由に関して日本性機能学会専門医がわかりやすく解説をさせて頂いております。
よろしければご一読下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【生活習慣の悪化で、精子の質が低下する】
  2. 【生活習慣の悪化で、EDになりやすくなる】

1.【生活習慣の悪化で、精子の質が低下する】

生活習慣の悪化で精子の質が低下する

生活習慣の悪化が男性不妊症の発症に関わる、その一つ目の理由は 『精子の質の低下』 です。 実は生活習慣の悪化は、精子の質を低下させる事から男性不妊症の発生に関わります。


妊娠をする上で、精子側にとって大切な要因がいくつか有ります。 そのうち 『精子の運動能』 :動きの良い精子はどれだけいるのか? また 『精子の正常形態率』 :正常な形態の精子がどれだけいるのか? この二つは非常に重要です。


1回に射出される3億もの精子の中で、受精の領域である女性の卵管膨大部までたどり着けるのは、たった100個ほどです。 人間で例えるならば、全アメリカ人が参加して、たった100人しかゴールまでたどり着けないレベルの、非常に厳しいレースと言えます。


こんな厳しいレースですので、全体の精子の中で、形態が正常でないもの、動きの悪いもの、これらの割合が増えてしまうと、 ただでさえゴールまでたどり着ける精子が少ないのに、更に少なくなってしまいます。 つまり 『精子の運動能』 や 『精子の正常形態率』 が低下すると、男性不妊症になりやすくなってしまうと言う事なのです。


一方、近年の研究では、肥満、喫煙、飲酒などの増加、つまり生活習慣の悪化が、 精子の正常形態率の低下、また精子の運動能の低下と相関関係にあると報告されています。


これは、肥満が増悪したり、喫煙や飲酒量が増えるなど、 生活習慣が悪化するほど、正常形態率や運動能力などの精子の質が低下してしまい、 その結果、男性不妊症が引き起こされてしまうという事を示しています。


2.【生活習慣の悪化で、EDになりやすくなる】

生活習慣の悪化でEDになりやすくなる

生活習慣の悪化が男性不妊症の発症に関わる、その理由の二つ目は 『ED:勃起不全症の発症』 です。 実は生活習慣の悪化は、EDを発症させる事でも、男性不妊症の発生に関わります。


EDは男性不妊症原因の一角を占めている疾患です。 性行為において有効な勃起が見られない状態は、直接的に妊娠の成立を阻害します。


一方、EDには12種に及ぶリスクファクターがあり、上記にて精子の質を下げるとご紹介した 『肥満』 ならびに 『喫煙』 は、 このEDリスクファクターにも含まれています。


つまり肥満の増悪、喫煙の増加などの生活習慣の悪化は、 精子の質を低下させるだけでなく、 EDを発症させる事でも、男性不妊症を引き起こしてしまうのです。



以上、生活習慣の悪化が、2つの理由、『精子の質の低下』 ならびに 『EDの発症』 から、 男性不妊症の発症に深く関わる事を解説させて頂きました。


こうした生活習慣の悪化は、男性不妊症だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの発症にも関わります。 妊活中の方も、そうで無い方も、肥満の増悪や喫煙の増加など、 生活習慣の悪化には何卒お気をつけ下さいませ。



(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-08-03)


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