『性交疼痛症は男性にこそ知って欲しい病気。女性がセックスに痛みを感じる性交疼痛症の4つの原因』

女性パートナー

性交疼痛症(性交痛、coital pain)は、主に女性がセックスの時に痛みを感じる病態で、その潜在的な頻度はとても多いとも言われています。 この病態には 『不十分な刺激』 『不十分な潤滑』 『緊張など心理的影響』 『婦人科疾患の影響』 など4つの原因が有ります。


恋人との楽しいセックス、しかしパートナーの女性は、貴方とのセックスをひょっとしたら痛がっているかも知れません。 膣へのペニスの挿入により痛みを感じる方は、実はとても多いとも報告されています。 言いたくても言えない、そんなご婦人が多い為に、この疾患は 『陰の多数派疾患』 となってます。 それ故に、本疾患は 『男性にこそ知っておいて欲しいお病気』 と言えます。


もし心あたりが有るようでしたら、まずは勇気を持ってパートナーの方に聞いてみましょう。 その上で 『実は今まで痛かった』 と打ち明けられたら、 以下の内容がお役に立ちます。


日本性機能学会専門医が男性の為に、女性の性交疼痛症の原因、またその対策に関して記載しております。 宜しければご一読下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【不十分な刺激】
  2. 【不十分な潤滑】
  3. 【緊張など心理的影響】
  4. 【婦人科疾患の影響】

1.【不十分な刺激】

不十分な性的刺激

不十分な性的刺激は性交疼痛症の代表的原因です。


男性は勃起さえすれば、挿入の準備は完了です。 勃起不全でなければ、ほぼ数秒から数十秒で挿入の準備ができます。 一方、女性はそうは行きません。男性よりも挿入の準備に時間がかかります。


女性は時間をかけた十分な性的刺激によって心身をリラックスさせて、 ペニスの入る 『膣』 、そして 『膣の周囲の筋肉』 、また 『骨盤底の筋肉』 の緊張をほぐさねばなりません。 こうした緊張がほぐれていない状態でのペニスの挿入は強い痛みを感じさせてしまいます。


つまり性的刺激が時間的にとても短かったり、雑だったりと 『不十分』 な場合、 これらの器官の緊張がうまくほぐれず、結果として性交疼痛症を引き起してしまうと言う事なのです。


自分も男性が逸ってしまう気持ちは大変良く分ります。 しかしここは男性と違う 『女性の体のシステム』 を尊重し、 相手の方の反応を伺いつつ時間をかけて十分な性的刺激を加えてあげて下さい。


2.【不十分な潤滑】

女性器の不十分な潤滑

不十分な女性器の潤滑もまた性交疼痛症の代表的な原因です。


女性器の潤滑はバルトリン腺からの粘液の分泌(いわゆる 『愛液』 です。)によってなされます。 この粘液の分泌が足りない状態は、ペニスの挿入時に摩擦を増してしまうので、女性側に強い痛みを感じさせます。 つまり 『不十分な潤滑』 は性交疼痛症の原因になると言う訳です。


バルトリン腺からの粘液の分泌不足の原因は、上記の 『1.不十分な刺激』 や、 下記の 『3.緊張など心理的影響』 など複数あります。 しかし、その対策の方は他の原因に比較するとシンプルです。


女性が精神的にリラックスしており、その上で男性が十分な性的刺激を加えているのに、 潤滑が不十分な状態ならば、 潤滑にさせる為の専用のゼリーやローションを利用する事で現実的な対策になります。


ただ、注意点として、そうしたアイテムの利用に気が進まない女性もいます。 こうしたアイテムは突然、男性側が性行為時に持ち出すよりも、 事前に二人でゆっくりと話し合いながら使用するものを選択した方が、 上手くいく場合が多いかと存じます。


3.【緊張など心理的影響】

緊張など心理的影響

緊張などのネガティブな心理状態もまた性交疼痛症の原因になります。


女性のネガティブな心理状態は、上記したバルトリン腺からの粘液分泌を低下させたり、 膣周囲の骨盤底の筋肉を防御的に緊張させてしまう事で、ペニス挿入時の痛みを引き起してしまいます。 つまり 『緊張などの心理的影響』 は複合的な性交疼痛症を引き起す事が有ります。


本疾患の発生に関わるネガティブな心理状態としては 『緊張』 以外にも、 『セックスに対する心理的嫌悪』 、 『夫婦感の心理的軋轢』 など複数有り、中には一朝一夕に解決できないものも有ります。


しかし、ほとんどの状況において、こうした心理的原因は 『緊張』 が主体で、 その対策としては『時間をかけたコミュニケーション』 が有効と思われます。


こうしたケースにおいて男性側は
『性行為は挿入から始まるのでは無く、その前段階、会話などのコミュニケーションから始まる』
と考えた方が上手くいきやすいです。
焦らず、ゆとりのあるコミュニケーションをセックスの前に置くことで、 こうした緊張などのネガティブな心理を解きほぐせるケースは多いです。 是非ともお試し下さい。


4.【婦人科疾患の影響】

婦人科

『現存する婦人科疾患』 や 『過去の婦人科疾患に対する処置』 が性交疼痛症の原因になる事も有ります。


『現存する婦人科疾患』 としては、機能的に発生する骨盤底の筋肉の緊張 、子宮内膜症、外陰萎縮症、卵巣や卵管などの炎症、 出産を契機としたアレン-マスターズ症候群 、 また処女膜強靭症などの処女膜の形態上の問題などが有ります。


男性側が十分な性的刺激をしている、また十分な湿潤もある、特にネガティブな心理状態では無い、 それなのにペニスの挿入時に激しい痛みを女性が感じる。 こうした状況においては、現存する婦人科疾患が性交疼痛症の原因となっている場合が有ります。


こうしたケースでは婦人科でのご相談が望ましいですが、女性の中には婦人科への受診に抵抗感のある方も少なくありません。 その場合、男性側が女性医師対応のクリニックを選んであげたり、 また受診の際に付き添ってあげると、こうした受診時の抵抗感を減らす事が出来ます。



一方 『過去の婦人科疾患に対する処置』 としては、帝王切開など産科的な手術、腫瘍への放射線治療などが有り、 こうした以前に受けた処置が原因となって性交疼痛症を引き起しているケースも有ります。


こうした過去の婦人科疾患に対する処置に心当たりのある場合は、以前にこれらの処置をしてもらった婦人科でのご相談がベストです。 詳細な医療記録が残っているので、他の病院に受診するよりも原因特定がしやすい場合が多いです。 男性側は是非とも受診に付き添ってあげて下さいませ。



実の所、セックスの時に痛みがあっても、相手の男性に黙っている女性が多いので、 男性側が気がついていない場合が多いです。


この疾患に関しては、男性が性交疼痛症について知る事と、男性側から 「痛みはないかい?」 と聞く勇気、 これが一番大切なのかも知れません。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-07-15)


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