精巣上体嚢胞腺腫の臨床像



精巣上体嚢胞腺腫の原因と治療


精巣上体嚢胞腺腫cystadenoma of epididymisとは陰嚢内にできる無痛性の嚢胞状腫瘤です。
精巣上体嚢胞腺腫は、神経皮膚症候群の一病型であるフォン・ヒッペル・リンダウ病von Hippel-Lindau病 と関連するとも言われています。


嚢胞腺腫とは、内腔に液体などを含む袋状の構造物である嚢胞が、 増殖する事によって特徴づけられる良性腫瘍を指します。
嚢胞内部は腫瘍性の分泌上皮によって覆われており、 嚢胞腺腫は、分泌上皮とその分泌物から、漿液性嚢胞腺腫と粘液性嚢胞腺腫に分類されます。


フォン・ヒッペル・リンダウ病とは、神経皮膚症候群の一病型であり、常染色体優性遺伝を示す遺伝性疾患です。
フォン・ヒッペル・リンダウ病は、脳幹部に血管芽腫、網膜に血管腫、皮膚に色素性母斑、 腎・膵・肝・副腎等に嚢胞を合併いたします。
小脳半球に発生した血管芽腫は、脳圧亢進症状や小脳症状を呈する事があり、 臨床的に対応が重要な合併症です。
フォン・ヒッペル・リンダウ病は、30歳代の男性に多く、 脳圧亢進症状や小脳症状の他にも、緑内障や網膜剥離などの眼症状を示す事があります。
フォン・ヒッペル・リンダウ病と精巣上体嚢胞腺腫の発生には相関があると言われています。


精巣上体嚢胞腺腫もまた、フォン・ヒッペル・リンダウ病と同様に成壮年期に多く発生する疾患になります。
腫瘤をふれる他には顕著な症状を示す事はありません。
30%近くの例においては、両側の睾丸に精巣上体嚢胞腺腫を発生すると言われています。
精巣上体嚢胞腺腫は、脂肪とグリコーゲンの多い、淡明細胞によって構成された良性腫瘍とされており、 良性上皮過形成によって発生すると考えられています。


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