食事内容について

EDのコントロール上、非常に大切な要素です



EDにはどんな食べ方が望ましいか」

勃起不全に適した食事内容に対する認識は専門家と一般の方で大きく食い違っている事が多いです。


<当ページの項目リスト>

     
  1. 【食事内容とED】
  2. 【EDに良いという誤解】
  3. 【良い食事内容とは】
  4. 【リスクファクター別の解説】
  5. 【足し算よりも引き算です】

食事内容

食事内容とEDの関係


1.【食事内容とED】

【要約】
「食事内容はEDの予防や改善に非常に重要な要素です」

  • ―「どのような食事内容」を「どのくらい摂るか」はEDの予防や改善に重要です。
  • ―EDに良いと一般で認識される食事内容は誤解が多いです。
  • ―それぞれのEDリスクファクターに対応したものが良い食事内容と言えます。
  • ―具体的には高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満等の予防・改善に適した食事内容が望ましいです。
  • ―食餌療法は足し算というより引き算です。

何を食べるか、どのくらい食べるか、 つまり食事内容はEDの予防や改善にとても大切です。 しかし、この「EDに良い食事内容」と言うのは、 一般の方と専門家との間で大きな認識のかい離が有ります。


例えば、EDになって食事内容に気を付けようと思った場合、 皆さんはどうされますか?
こうした質問に際して、当新宿ライフクリニックの外来でお伺いするのは、 一般に精力が付くと言われる食材を追加するという意見が多いです。 つまり具体的には、自然薯、すっぽん、 またスタミナをつけるためのお肉、 もしくは高カロリーな食事内容を多めにとるようにするという意見ですね。 例えば、デートにおける料理の選択に焼肉屋さんを選ぶ理由にはこうした認識が背景にある事は否めません。
しかしこれらの食事内容にはEDを改善するという根拠はありません。 それどころかスタミナをつけるために摂取される高カロリーな料理や過剰な動物性脂肪は、 長期的にはEDを予防・改善するどころか、悪化させてしまう可能性すら危惧されます。


実はEDに良いとされる食事内容に関しては、日本性機能学会専門医などの専門家と、 一般の方との間で大きな認識の隔たりが有る事が多いです。
EDを改善しようと工夫している事がかえって逆効果になっている…
これは新宿ライフクリニックの外来で折々に御見掛けする状況ですが、 こうした状況はみなさんが悪い訳では全く有りません。 EDは保険外診療の疾患項目なので、 病院や厚生労働省から発信される一般の方に対する予防や改善の啓発活動が非常に希薄です。 現状、そうした構造的問題がEDに対する食事内容の誤解を増長させて、 ED患者さんを増やしてしまっている状況も否めないと思われます。
しかしEDは少子高齢化にあえぐ本邦の出生率をさらに下げ得る悪化要因の一つでもあり、 本当はEDは社会的にも介入を必要とする疾患なのです。


本項ではこうした状況を鑑みて、 新宿ライフクリニックより、 EDと食事内容に関して、 日本性機能学会専門医の知見をもって詳細に解説をさせて頂いております。 宜しければどうぞご閲覧くださいませ。


2.【EDに良いという誤解】

「自然薯」「うなぎ」「すっぽん」「にんにく」「肉類」、 これらは内包される栄養分の組成は全然違うものなのになぜか同様に精力が付くと古来から言われています。 ある程度、これらに関して共通しているのは、比較的希少で高価なものが多い事、 そして元の食材の形状がペニスに似ているものが多い事などでしょうか?


ちなみに精力が付くという期待はどのようなものかと言うと、 主に「性行為の回数をこなせるようになる」、 または「ED/勃起不全が良くなる」といったものが本態だと思われます。
しかし明言しますが、これらの食材を付加的に多く取る事にED改善の医学的な根拠は有りません。
むしろカロリーを過剰に取る事や栄養バランスが偏った食事内容は「EDに良い」どころか、 EDの発症や増悪に関わる場合すらあります。


また最近、新宿ライフクリニックの外来にてお伺いする事が多い、EDに対する食事内容への工夫の中に、 「あさり」などの貝類を多く取るようにする、と言うものが有ります。 これは「あさり」や「しじみ」が亜鉛を多く含有する食材である事がその理由の中心のようです。
たしかに亜鉛の重度の欠乏は「性腺機能障害」を引き起こすとされていますが、 亜鉛欠乏症として一般的な病態は皮膚症状(皮膚炎、発疹など)や味覚・嗅覚の障害などが主体で、 亜鉛欠乏症の初期症状として性腺機能障害のみが出現する可能性は多くは無いと思われ、 また後天性の亜鉛欠乏症自体、この飽食日本で一般的と言い難い疾患です。
故にEDを研究・発表の中心に据えている日本性機能学会が編纂する「ED診療ガイドライン」(2012年度版)にも、 EDの精査上、「亜鉛欠乏症」をチェックすべきという推奨は有りませんし、 またEDの治療として「亜鉛を摂取すべき」という記載も有りません。


一般にEDの改善のためにされる生活習慣調整は医学的根拠の希薄な事が多い傾向が有りますが、 特に食事内容はその傾向が顕著と思われます。


3.【良い食事内容とは】

それではEDの改善に良い食事内容とはどのようなものなのでしょうか? それは、付加的に加えられる特異的な食材の事ではなく、 それぞれのED原因に対応したものが良い食事内容と言えます。


EDの原因である所のリスクファクターは13種あります。 加齢・喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満/運動不足・うつ症状・下部尿路症状/前立腺肥大症・ 慢性腎臓病・睡眠時無呼吸症候群・神経疾患・不妊症・薬剤性、以上13種です。
これらのED原因の内、食事内容や量に応じて発症したり、悪化したりする可能性があるのが、 「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「肥満」「睡眠時無呼吸症候群」「慢性腎臓病」です。


これら食事内容のコントロールが重要なED原因はすべてのリスクファクターの半分近くを占めており、 実質、EDに良い食事内容とは、本人が持つこれら個別の原因にオーダーメード的に対応したものが該当します。


4.【リスクファクター別の解説】

前項にて実質、EDに良い食事内容とは本人が持つ、 高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などのEDリスクファクターに対応した食事内容であると記載致しました。 ここではそれの一部を個別に解説させて頂きます。


―「高血圧」―

高血圧は強力なED発症・増悪因子ですが、 食事内容の調整は服薬と同じくこの病態をコントロールする上でとても大切です。

まず高血圧に関しての食事内容の調整は、塩分を減らす事が重要です。 日本は塩蔵の食材が多く、国際的にみても塩分過多な民族と目されています。 高血圧の予防上、一日の摂取塩分は男性で8g未満、女性で7g未満が推奨されています。 食事内容の調整上、塩分の数値的な計算が難しい様であれば、食材や調味料の選択によってこれに対応する事も有意義です。 つまり醤油などの調味料で減塩バージョンが有る場合は、全てそれに交換して頂き、 漬物・干物・塩じゃけなど前提で塩分過多な食材は、他の塩分が少ない食材に交換して頂く事、 これらは高血圧の制御上重要な食事内容の調整と言えます。

また肥満が有る場合は減量も実は高血圧のコントロール上重要なアクションなので、 摂取する食事内容の総カロリーを計算し、減量を目的として総カロリー量を削減する事も非常に有意義です。


―「糖尿病」―

糖尿病は血管内皮機能障害と自律神経機能障害から重症のEDを引き起こしやすい疾患ですが、 糖尿病の多数派である2型糖尿病においては、食事内容の調整は糖尿病治療の根幹をなすアクションです。 糖尿病は摂取する食事内容の総カロリーを体格に対して適正なものに是正する事、 また食事内容として炭水化物・タンパク質・脂質の適正なバランスをとる事が重要です。

そして新鮮な生野菜などの食物繊維質は食後の血糖上昇を抑制する作用があるので、 これは積極的に摂取される事が推奨されます。


―「脂質異常症」―

脂質異常症は米国などの大きな研究ではEDの発症・増悪に大きく関与する疾患として報告されており、 特にコレステロールはEDの発症予防上コントロールを必要とすると認識されています。 脂質異常症、特に高コステロール血症は具体的には動物性脂肪の過剰摂取で発症し易い傾向があるので、 タンパク源は動物のお肉から塩分が控えめな魚にシフトして頂いた方が食事内容として望ましいです。 これは脂質の種類で言うと飽和脂肪酸を減らす事が重要になると言えます。

また前出の新鮮な生野菜などの食物繊維は血糖値だけでなく血清コレステロールの増加を防ぐ作用があるので、 脂質異常症のコントロール上もこれは積極的な摂取が推奨されます。 ただし生野菜に使用するドレッシングは脂質分・塩分が多いものもありますので、 食事内容におけるドレッシングの選択には注意が必要です。


―「肥満・睡眠時無呼吸症候群」―

肥満もまたED発症・増悪の大きな要因であり、 肥満がある状況では減量を目的とした食事内容の総カロリー量の削減は、EDの予防・改善に非常に有意義です。 そして睡眠時無呼吸症候群ですが、なぜに肥満と並列して記載したかと言うと、 肥満による気道狭窄は実は睡眠時無呼吸症候群を引き起こす事が多いため、 肥満状態で睡眠時無呼吸症候群を発症されている方もEDの予防・改善上、減量が推奨されるからです。

一般に肥満の改善つまり減量は運動よりも食事内容の調整の方が効果が出やすいです。 これは摂取した余剰カロリー以上に運動をする事は一般生活者にとって難しい傾向がある事がその理由です。 食事内容の調整によるダイエットに関しては様々な意見や方法が提示されていると思われますので、 ここでは臨床指導上、効果的であった「こつ」に関して述べるにとどめます。

まず「毎日必ず体重計に乗る」事、そして「毎日摂った食事内容に関して必ず詳細な日記を書く」事、 この二つは皆さんが予想している以上の減量に対する効果が有ります。 自分の状況を客観的に把握する事がいかに難しく、そして重要であるかと言う事ですが、 状況の客観的な把握から減量に対する大きなモチベーションが生まれます。 逆に言うとモチベーションが希薄な食餌療法は長続きしない事が多いです。 みなさんも是非ともトライして見て下さい。


5.【足し算よりも引き算です】

以上、EDの改善・予防に望ましい食事内容に関して記載させて頂きました。


漢方的な「医食同源」の発想からだと思われますが、 「精力をつけてEDを改善させよう!」と皆さんが思われる場合、 2.【EDに良いという誤解】にも記載しましたが、 特異的な食材を通常の食事内容に付加的に加えるというアクションが多い傾向で、 これを自分は「足し算」の発想と呼んでいます。
しかし上記したように過剰なカロリーや塩分の追加は、EDリスクファクターを増悪させて、 引いてはEDの発症・増悪につながる可能性が高いと思われ、 むしろ逆効果になる場合も想定されます。


一方4.【リスクファクター別の解説】に記載させて頂いた、 それぞれのリスクファクター別のEDに良い食事内容というのは、 糖尿病・脂質異常症に対する食物繊維以外は、 一般に何を食事内容から抜いていくか、つまり総カロリーであったり、飽和脂肪酸であったり、塩分であったりと、 食事内容から除いていくべきものの話が多かったと思われます。 それを自分は「引き算」の発想と呼んでいます。
民間療法的EDの食餌療法は「足し算」の傾向が強いですが、 本当の所、EDに重要な食餌療法は「引き算」の傾向が強いです。
皆さんもEDを予防したり、改善させたりを考え食事内容を検討する時は、 「足し算」でなく「引き算」の発想でアプローチして見て下さい。 つまり「EDになったからウナギを食べよう!」 でなく「高血圧の傾向もあるし、塩分を減らそう!」 という発想が望ましいです。


新宿ライフクリニックは日本性機能学会専門医が主宰するED専門医療施設として、 勃起不全に良い食事内容など様々な啓発活動に熱心に取り組んでおります。 東京はJR新宿駅近くにお寄りの際は、ぜひとも当院へ足を運ばれて下さいませ。 スタッフ一同、皆さまのご来院をお待ちしております。