心不全患者は、症状や薬剤などの影響で、EDなどの性機能障害を来しやすい



心不全におけるED/勃起不全などの性機能障害

ばいあぐらは新宿ライフクリニック。


【心不全患者とED/勃起不全などの性機能障害】
心不全患者は、ED/勃起不全などの性機能障害が、より多く発生する傾向があると言われています。
心不全は、「心機能の低下により、十分な血液量を全身の組織に供給できない状態、 もしくは、それを心室充満圧の上昇によって代償できる状態」と、定義されます。 より簡単には、「血液を運び出すポンプ(心臓)の機能が低下し、 全身に血液を運ぶ事が出来ない状態」と言い換える事も出来ます。
心臓のポンプ機能が低下する事は、酸素や二酸化炭素、あらゆる栄養素や老廃物等を血液を介した運搬が障害されるという事になります。
つまり、酸素不足で労作時の呼吸苦を引き起こしたり、また、老排泄物の蓄積は、 全身のだるさ、食欲の不振等が見られるようになります。 病状が高度になれば、意識障害や安静時の呼吸苦なども出現してきます。

心不全は、様々な疾患を原因として発症します。
代表的には、虚血性心疾患、弁膜疾患、高血圧性疾患、心筋疾患等が挙げられ、 列記した順に、頻度が高くなります。
この内、虚血性心疾患は、勃起不全などの性機能障害と原因を同じくする事が多く、 弁膜症や高血圧性疾患は、動脈硬化を基礎とする事がほとんどで、 これらは、勃起不全の主要な原因因子でもあります。
このように、勃起不全と心不全は原因を共有する事が多いため、 性機能障害が心不全患者に多く発症する一因にもなっております。

心不全は、米国では全人口の1%に発症しているとされる疾患で、本邦においては、H5年の統計調査によると、 100万人近くの患者がいるとも報告されています。
心不全症例438例を、ほぼ同数の健康集団と比較した、本邦の検討が有ります。
この報告によれば、心不全症例の67%近くがEDを症状として訴えており、 健康集団と比較しても、統計学的に有意に多いものでした。
また、EDなどの性機能障害の自覚される原因として、 呼吸苦症状を挙げる方が最も多いと言う結果となっています。
性機能障害を発症させるリスク因子に関する多変量解析では、 薬剤として、β遮断薬が関連因子として有意であったとのことです。

前述致しましたが、心不全の発症には、高血圧性疾患と動脈硬化の極期である虚血性心疾患とが、 深く関連する傾向が有ります。
その一方、EDは動脈硬化の過程で発症しやすい疾患であり、また、高血圧はEDの一大要因でもあります。
このようにEDと心不全は原因を共通する傾向が強いので、 心不全患者にEDなどの性機能障害が多いのは生理学的に自然な事とも思われます。

また、性行為は運動行為でもあるため、労作を伴うものこともあり、 心不全による労作時呼吸苦が、性機能障害の発症に関わる事も合理的に解釈出来ます。 そこには、言わば労作性の性機能障害というものが有ると思われます。

心拍出量の低下は、様々な臓器の機能低下を来たします。 陰茎への血流も低下すると考えられ、性機能障害を引き起こす可能性が有ります。

β遮断薬は、心不全患者の長期予後を改善する作用が有り、 慢性化した状態の心不全においては高頻度に使用される薬剤の一つです。
その一方で、β遮断薬は薬剤性EDを発症する原因薬剤としても認識されており、 心不全の性機能障害発症に関連する独立因子としてβ遮断薬が選択された事は、 薬理学的にも納得できます。
*β遮断薬などの薬剤の自己中断は非常に危険ですので、必ず自己中断はされないようお願い申し上げます。

さらに、メンタル面への影響も考えられます。
性行為セックスによって、心不全が増悪する、不整脈が誘発する、突然死を引き起こす等の不安感は、 性行為セックスを遠ざける一因です。

以下でも説明させて頂いておりますが、コントロールの良好な心不全、運動制限の必要がない心不全は、 性行為セックス可能です。
常用薬との兼ね合いもございますが、ED治療薬の使用も可能です。


【対策】
性行為レベルの労作が、心不全担当の主治医から許可されている事が前提となります。
前述の通り、息切れ(労作時呼吸苦)が原因であるならば、運動量を減らす工夫が有効です。
セックスの体位を工夫して頂きます。 具体的には、女性上位などの女性側が主体となって動ける体位で試みます。
ナイーブな夫婦関係で、なかなか夫婦間でこうした事を話しにくい状況が有る様ならば、 医師が間に立って調整する事もございます。

運動耐用能や常用薬との相互作用の問題もございますが、 バイアグラ、シアリスレビトラ などの勃起薬の使用を検討する事も可能です。
心臓の冠動脈を広げる事が主務たるニトログリセリン製剤と併用すると、 異常な低血圧を発症するなど、非常に危険な状況を招く可能性が有ります。
常用薬に、ニトログリセリン製剤が無くとも、緊急処置として同製剤を使用する可能性が有ります。
万が一に備えて、パートナーに、勃起薬の服用の旨をお話しておいて頂くのが良いと考えます。

性行為セックスは、生きる喜びに密接に関連した生理行動です。 心不全を発症したからと言って、性行為を放棄する必要は全く有りません。
性行為セックスは、身体活動の強度は、入浴や乗り物での通勤などに近似したレベルで、 この程度の運動が許可されている状況では、性行為も可能です。
しかし、性行為セックスを放棄する事は、殊によると病気に立ち向かう気力を削いでしまう事にもなり兼ねません。
「生活の質=QOL」に関わることであり、このような事柄に配慮する事も、 心不全患者の疾患コントロール上においては非常に大切な要素の一つです。


written by れびとら処方なら新宿ライフクリニック.

用語集文献の閲覧、新着情報、 定番をご紹介いたします。

ランキング
  1. 性交性出血
  2. 性交性頭痛
  3. 日本人男性のオナニー
  4. 夢精
  5. 膣痙攣
新着情報
定番ページ情報

違い 詳細

  • 青錠
  • 橙錠
  • 黄錠