『男性ホルモンが少ないと糖尿病になるの?男性ホルモン (テストステロン) の低下と糖尿病との3つの関係について糖尿病専門医が解説』

糖尿病専門医

  • 糖尿病と男性ホルモンの低下は大きく三つの関係性がある
  • 糖尿病になると、男性ホルモンが低下しやすくなる
  •  :これには、インスリン抵抗性が影響していると推察されています。
  • 男性ホルモンが少ないと、糖尿病になりやすくなる
  •  :これには、全身の筋肉量の低下が影響していると推察されています。
  • 糖尿病は血管性ED、神経性EDを
  •  テストステロンの低下は内分泌性EDを、それぞれ引き起こします
  • 男性ホルモンの低下も、糖尿病も日常の工夫で抑制できます

男性ホルモンであるテストステロンの低下と、糖尿病とは、一見あまり関係がなさそうに見えますが、 実はとても多くの関係性が有ります。


その中で特に代表的なものが3つ有ります。
一つは糖尿病になると、男性ホルモンが低下しやすくなる事、
二つ目は男性ホルモンが低下すると、糖尿病が発症しやすくなる事です。
つまり男性ホルモンが少なくなる事と糖尿病は、どっちが先行したとしても、 もう片方の発生に関わります。


そして三つ目は、糖尿病も男性ホルモンの低下も、共にED (勃起不全症) を引き起こす事です。
ただしテストステロンの低下で発症するEDと、 糖尿病から発症するEDは、 それぞれ別の原因になるので、違う分類の勃起不全症を引き起こします。


こちらのページでは糖尿病専門医であり、 また日本性機能学会専門医でもある新宿ライフクリニックの院長が、 これら、男性ホルモンの低下と糖尿病における代表的な3つの関係について、 その詳細を解説しております。


どうぞご一読下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【糖尿病になると、男性ホルモンが低下しやすくなる】
  2. 【男性ホルモンが低下すると、糖尿病になりやすくなる】
  3. 【男性ホルモンの低下、糖尿病、どちらもEDを引き起こす】

1.【糖尿病になると、男性ホルモンが低下しやすくなる】


男性ホルモンの低下と糖尿病との3つの関係について、
まず始めは、 『糖尿病になると男性ホルモンが低下しやすくなる事』 について解説します。


2型糖尿病の患者さんの20~64%が、男性ホルモンであるテストステロンの低下を示すと報告されています。


糖尿病には大別すると1型糖尿病と2型糖尿病が有り、 この2型の方が糖尿病の中では圧倒的多数派で、 皆様の健康診断などでも、主にチェックされているのは、この2型糖尿病の方になります。


1型はインスリンの大きな不足と高血糖、2型はインスリン抵抗性と高血糖が、 それぞれの病態の基本ですが、 男性ホルモンの低下が確認されるのは、そのほとんどが2型糖尿病なので、 テストステロンの低下は、おそらくは共通の病態である高血糖では無く、 『インスリン抵抗性』 の方が影響して、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こし、 結果、テストステロンなどの男性ホルモンが低下しているものと推察されています。


つまり糖尿病においては、インスリン抵抗性が原因となって、 男性ホルモンが少なくなって行く、という訳です。


2.【男性ホルモンが低下すると、糖尿病になりやすくなる】

男性ホルモンが少ないと筋肉が減って糖尿病になりやすくなる

男性ホルモンの低下と糖尿病の代表的な3つの関係、
続いては、 『男性ホルモンであるテストステロンが低下すると糖尿病が発症しやすくなる事』
について解説します。


血液中のテストステロンが低値な場合、 なんと、糖尿病の発症するリスクは健康な人の2.3倍と報告されています。


男性ホルモンが低下すると、体の筋肉の量がどんどん減ってしまうのですが、 この体の筋肉の量が大きく減少してしまうと、 今度は血糖をコントロールするホルモンである 『インスリン』 の機能が低下してしまい、 その結果、体は前出の 『インスリン抵抗性』 の状態になっていまいます。


このインスリン抵抗性は上記の通り、2型糖尿病発症の基本病態になります。
テストステロンが少ない事が、筋肉量の低下を介して、インスリン抵抗性を引き起こし、 その結果、2型糖尿病を発症させてしまうのです。


実際に、このテストステロンの低下が見られる男性に、男性ホルモンの補充をすると、 2型糖尿病が改善したり、また糖尿病の発症予防ができたりと、様々な報告がされております。


3.【男性ホルモンの低下、糖尿病、どちらもEDを引き起こす】


テストステロンの低下と糖尿病の代表的な3つの関係、
最後は、 『男性ホルモンの低下、糖尿病、どちらもEDを引き起こす事』 です。


ただし、男性ホルモンの低下、そして糖尿病は、 それぞれ別の原因からなる勃起不全症を引き起こします。


テストステロンの低下の場合は、 内分泌される男性ホルモン自体が、性欲の発生などを介してダイレクトに勃起に関わるので、 その低下は 『内分泌性ED』 を引き起こします。


一方の糖尿病の場合は、 血管内皮機能障害ならびに動脈硬化から 『血管性ED』 を、
また糖尿病性神経障害による自律神経のダメージから 『神経性ED』 を引き起こします。


ちなみに、前述のように男性ホルモンの低下と糖尿病は、 お互いをお互いが引き起こしあってしまうので、 このテストステロンの低下による内分泌性EDと、 糖尿病による血管性EDと神経性EDは、
実際には混在しやすいものと思われます。



男性ホルモンであるテストステロンは加齢に応じて自然に低下していってしまうものですが、
『習い事などの新しいチャレンジ』 『自分を認めてくれる仲間との競争』 『毎日の良質な睡眠』 『筋肉を増やす適切な運動』   などのアクションは、こうした男性ホルモンの低下を抑制してくれると言われております。


また一方、糖尿病に関しては、 適切な量・バランス・タイミングの食事、
そして適切な持久力運動・筋肉トレーニングが、 糖尿病を改善させたり、また発症を予防させたりします。


つまり男性ホルモンの低下も糖尿病も、 共に日常での継続的な工夫が、とても大切と言えます。


皆様も、こうした工夫を日常に導入し、 男性ホルモンの維持、糖尿病の予防をいたしましょう!



(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医・糖尿病専門医:須田隆興、最終確認日:2020-05-13)


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