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【糖尿病罹病期間とEDの悪化の関係】
糖尿病を発症して経過した時間、
つまり糖尿病罹病期間とED/勃起不全の症状の悪化との間には相関関係が有り、
糖尿病罹病期間が長くなればなるほど、
EDが悪化しやすいとアメリカ、イスラエルの大きな統計報告で示唆されました。
糖尿病とは体内における糖つまりグルコースの配置の障害と言えます。
基本的に体内に吸収された糖は血液を介してストックされたり、
エネルギー源として各臓器、組織にて消費されます。
しかし糖尿病という病気はインスリンというホルモンの機能障害や分泌量の不足によって、
この糖質の運搬、収容、配置などが障害されてしまい、
結果として血液中に糖が多量に、また長時間ストックされてしまいます。
それによって本来そこまで過剰にかつ長期間存在しないはずの糖が、
組織、臓器に害悪をなしたり、
また本来、必要とされるエネルギーが組織、臓器に供給されない事によって、
エネルギー不足に由来する様々な弊害を引き起こします。
この糖尿病は全世界に3億8200万人の患者がいるといわれており、
また、その上、約2億8000万人の人が予備群と想定されています。
2013年に世界人口は70億を突破したと想定されていますので、
大雑把に計算すると世界中の人間の10%が糖尿病もしくは予備群であると推定されます。
一方の日本では、糖尿病が890万人と予備群が1,320万人いると想定されていて、
日本人の人口が現在1億2779万と報告されているので、
約17%が糖尿病もしくは予備群であると言えます。
世界の統計上10%、日本の統計上17%と開きが有ります。
このデータが示す通り日系人は他の国の人に比較して、糖尿病に罹患しやすいと言われております。
これはハワイに移住した日系人の調査からも推測されている事象とされています。
そんな糖尿病ですが、代表的な合併症の中にED/勃起不全を内包しています。
脳梗塞、心筋梗塞などの大血管障害に比較すると、
このEDは発症しても生命予後に影響はありませんが、
本来、性行為は人間の本能に基づくもの、
やはりその障害は大きな生活の質=QOLの低下につながると報告されています。
EDを専門に扱う医療従事者のコモンセンスとして、
糖尿病患者にEDが多く存在しており、
かつバイアグラ、レビトラ、シアリスが効果を示しにくい、
難治例のEDが多い事はすでに認識されておりますが、
今回、ご紹介させて頂く報告によれば、
EDの悪化に糖尿病罹病期間が濃厚な関係性を示すと示唆されました。
本稿では糖尿病罹病期間とEDの悪化に関して、
報告そしてそのロジックの考察、
また対策などに関して私見を記載させて頂いております。
【糖尿病罹病期間とEDの悪化に関する報告】
糖尿病罹病期間とEDの悪化に関する報告は、
糖尿病の発症されてからの時間経過と、
EDの悪化の指標としてIIEF5:国際勃起機能スコアを回帰グラフにて比較検討しているものです。
国際勃起機能スコアとはIIEF5問診票を利用した勃起の機能調査になり、
国際的に標準的な勃起機能のスコアとされています。
対象患者は長野市内の内科医院に通院中の30歳から85歳、
合計145例のED患者との事です。
本報告の結果としては、
糖尿病罹病期間が長期化するに従い、
IIEF5が低下するつまりEDが悪化すると言う結果が明確に提示されたとの事です(回帰係数0.0067)。
【なぜに糖尿病罹病期間の長期化がEDを悪化させるのでしょうか?】
なぜに糖尿病罹病期間の長期化がEDを悪化させるのでしょうか?
糖尿病/DMの合併症は基本的に、内皮機能障害や動脈硬化による大小の血管障害が、
ベースとなって累積的に発症に至ります。
つまりDMのコントロールが悪い、空腹時、食後の血糖値が適正範囲内では無いという状態の積算が、
合併症を作り上げると言う事です。
今回の報告におけるDM患者さんにおいてはその大小はあれども総体としては、
DMコントロールが全血糖データにおいて万全であったとは言えない状態だったのかも知れません。
しかし、DMのコントロールを100%健常人同様に空腹時、食後と、
投薬等でコントロールできるかと言うと、それはまた現在の医療技術上は難しい問題と言えます。
血糖は糖質摂取後の極端な動きを筆頭に、絶えず変動を続ける値と言えます。
その微細なコントロールは人間の膵臓など、我々のテクノロジーでは人工的に、
到達できない優秀なコントローラーによってリアルタイムで調整されています。
いくら人類の創薬のテクノロジーが進化したとしても、
もともと存在する生体臓器にかなうものを作るにはまだまだと言わざるを得ません。
現在、人工膵臓なるものも、その開発が進められ、実用が検討されていますが、
それもまた健常者の膵臓の機能には及ぶべくも有りません。
【糖尿病罹病期間の長期化におけるEDの悪化予防に関して】
それでは糖尿病罹病期間の長期化におけるEDの悪化予防はどのようにして果たせば良いのでしょうか?
理論的には健常者のような血糖状態を恒常的に維持できれば合併症は発症しないか、
その発症が著しく遅くする事が出来ます。
健常者のようなコントロールを糖尿病の患者さんで完全に付けるのは、
上述のように現在の人類のテクノロジーではかなり難しいと言えますが、
患者さんならびに医師がともに努力する事でそれに近づけていく事は可能です。
患者さんには抜本的な生活習慣の見直し、
つまり食事内容の是正と運動療法の導入もしくは適正化など生活面のアプローチを。
また医師は血糖値などのデータからフィードバックした、
インスリンを含む適正な薬剤の包括的なチョイス、調整。
そしてジャストイン、ジャストタイムな血糖改善の為の教育指導など。
つまり患者さんと医師が徹底して力を合わせる事により、
理想的な血糖コントロールはなされ得ると言う事です。
生活を変えず、医師の処方する薬剤のみに偏った糖尿病治療は不完全です。
患者さん自ら、事態を改善させようとするモチベーションが大切です。
生活を変える事には大きな勇気と決断が必要です。
またそれを継続する事には大きな意志力が必要です。
そして、これらを内生するのに必要なのは家族の精神的、物理的支援です。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)
written by れびとらを新宿で、新宿ライフクリニック.