『糖尿病によるEDは改善できるの?勃起不全が改善可能なケース、改善不能なケース、それぞれに関して糖尿病専門医が解説』

糖尿病によるEDは改善できるの?

  • 糖尿病によるEDは日常生活上のアクションで改善可能なものと改善不能なものとが有る
  • 改善可能なケースとしては、原因が血管内皮機能障害、男性ホルモン分泌低下によるED
  • 改善不能なケースとしては、原因が進行した動脈硬化、自律神経機能障害によるED
  • 改善可能なケースでは、適切な食事調整・運動、肥満の改善などが望ましい


糖尿病にはEDが高頻度に合併しやすく、 その中には日常生活上のアクションによって勃起不全が改善可能なケースと改善不能なケースとが有ります。


糖尿病は日本人だけで2000万人以上が罹患している多数派の疾患で、EDの代表的なリスクファクターの一つでも有ります。 また、一般に糖尿病はバイアグラなどの勃起改善薬が効きにくい勃起不全症を引き起こすとも言われております。


糖尿病によるEDは主に 『血管内皮機能障害』 『動脈硬化』 『男性ホルモンの分泌低下』 『自律神経障害』 の4つの原因により発生します。


このうち、血管内皮機機能障害、男性ホルモンの分泌低下によるEDは日常生活上のアクションで改善可能なケースが多く 進行した動脈硬化や自律神経障害によるEDは一般に日常生活上のアクションでは改善不能なケースが多いです。


本稿では糖尿病専門医が、糖尿病によるEDについて、改善可能なケース、改善不能なケースに関して、 それぞれわかりやすく解説をさせて頂いております。


<当ページのもくじ>

  1. 【糖尿病によるEDが改善可能なケース】
  2. 【糖尿病によるEDが改善不能なケース】

1.【糖尿病によるEDが改善可能なケース】

糖尿病によるEDが改善可能なケース

糖尿病によるEDが日常生活上のアクションで改善 『可能』 なケースに関して解説いたします。


その一つのケースは、動脈硬化にまだ至っていない血管内皮機能障害によるED。
もう一つのケースは、男性ホルモンの分泌低下によるEDです。


血管内皮機能は、拡張したり、収縮したりという血管の運動を司る機能で、この障害は動脈硬化の前段階とも言えます。 勃起が発生するには、ペニスの血管拡張による海綿体への血液の蓄積が必要で、糖尿病などによる血管内皮機能の障害は、 このペニスの血管拡張を阻害する事でEDを引き起こします。


糖尿病による血管内皮機能障害は高血糖の是正で改善し得る不可逆的なものなので、 食事全体のバランスやカロリー量の調整、食事スピートの適正化、食後の持久力運動の施行、 肥満の改善など、高血糖を是正させる日常生活上のアクションは、血管内皮機能障害の改善から、 EDを改善させる可能性が有ります。


いっぽう、男性ホルモンの分泌低下は、性欲または性機能の低下からEDを引き起こします。


糖尿病による男性ホルモンの低下は、糖尿病の基本病態の一つであるインスリン抵抗性の影響によって、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を介して発生しています、 このインスリン抵抗性自体は、適切かつ定期的な持久力運動の導入、また肥満の改善などによって是正する事ができるので、 こうした日常生活上のアクションは、糖尿病による男性ホルモンの分泌低下を改善させ、ひいてはEDを改善させる可能性が有ります。


このように、糖尿病による勃起不全であっても、血管内皮機能障害、男性ホルモン分泌低下を主な原因としているケースは、 日常生活上の適切なアクションによって改善可能な場合が有ります。


ただし、こうした改善は、血管内皮機能障害に関しては動脈硬化にまだ進展していないレベルのもの、 また喫煙や加齢、睡眠時無呼吸症候群などの、他のEDリスクファクターが共存していない事、 また1型の糖尿病でない事などが前提となります。


2.【糖尿病によるEDが改善不能なケース】

糖尿病によるEDが日常生活上のアクションで改善 『不能』 なケースに関して解説します。


その一つのケースは、進行した動脈硬化によるED。
もう一つのケースは、進行した自律神経機能障害によるEDです。


糖尿病などによって発生する動脈硬化とは、動脈の内腔が物理的に狭まる事で、血流が極端に少なくなったり、途絶してしまう病態です。 この動脈硬化がペニスに発生すれば、勃起に必要な海綿体への血液の蓄積が上手くできなくなってしまうので、EDが引き起こされてしまいます。


動脈硬化は血管内腔の物理的な狭窄なので、いったん完成し、進行してしまったものは上記した血管内皮機能障害などの機能性障害と違って、 日常生活上の工夫での改善は、ほぼ不能と言えます。


進行した動脈硬化が顕在化してしまった場合は、それがより進行しないように、血糖コントロールに努める事が重要です。 またEDに関しては、バイアグラなどの勃起改善薬の利用が検討されます。



いっぽう、自律神経機能障害は、糖尿病性神経症の一つで、字の通り、自律神経という "自律" して機能している神経に障害が発生する病態です。 脳からペニスへの 『勃起の指令』 の伝達に、この自律神経が深く関わっている関係上、 この神経の障害はEDを引き起こしてしまいます。


糖尿病による自律神経機能障害は高血糖にともなうグリケーションの亢進、ソルビトール経路の活性化などによって、 神経を栄養する細小血管が障害される事によって発生します。この障害は初期では可逆性があり、継続的な高血糖の是正で改善し得ますが、 一方の進行例では症状が固定化されてしまい、日常生活上の工夫での改善はほぼ不能と言えます。


進行した自律神経機能障害が顕在化してしまった場合は、上記の進行した動脈硬化同様に、より進行しないように血糖コントロールに努める事が重要です。 またEDに関しては、進行した動脈硬化同様にバイアグラなどの勃起改善薬の利用が検討されます。



以上、糖尿病によるED:勃起不全が、改善可能なケース、改善不能なケース、それぞれに関して糖尿病専門医が解説させて頂きました。 EDも含めた糖尿病の合併症に関しては、 初期の段階できちんと血糖コントロールをつけて予防的に対応しないと、 『改善可能』 だったはずの合併症が、いつのまにか 『改善不能』 になってしまいます。 「糖尿病はまだ軽いから大丈夫」 ではなく、軽症・病初期の内にキチンとした血糖コントロールをつけましょう。 それには上記に記載させて頂いたような日常生活上のアクション、つまり生活習慣改善がとても大事です。ぜひともご検討下さいませ。

(記載:新宿ライフクリニック-日本糖尿病学会専門医・日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-10-06)

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