結核治療におけるフォスフォジエステラーゼ阻害剤(バイアグラ)の可能性



抗結核薬にバイアグラを併用すると抗結核作用が増強する

Successful Shortening of Tuberculosis Treatment Using Adjuvant Host-Directed Therapy
with FDA-Approved Phosphodiesterase Inhibitors in the Mouse Model
PloS one. 2012;7(2);e30749.


バイアグラなどのフォスフォジエステラーゼ阻害剤が、結核菌治療の補助として有効な可能性を示した論文です。
バイアグラなどのフォスフォジエステラーゼ阻害剤を投与することにより、殺菌的に働くマクロファージ内のサイクリックAMP濃度が上昇し、 このことが、結核治療に有利に働くという報告です。
バイアグラが結核治療に有効という、ちょっと驚くべき内容ですが、事実であれば、非常に有効です。
結核は、ある意味日本の風土病ですが、過去の病気ではなく、現在でも、 死因の20位以内に常に入っております。
糖尿病患者の増加も、結核患者の増加に繋がっております。
全世界的にも重要な感染症で、非常に多くの方が亡くなられています。
結核治療の問題点は、治療が長期に及ぶことが挙げられます。
このことは、治療を最後まで続けることが負担で、途中で治療中断してしまう可能性を増加させます。
また、中途半端な治療は、治癒につながらないばかりでなく、 薬剤に耐性をもつ結核菌の出現に繋がっています。
内容は、専門的で難しいのですが、かいつまんでご紹介します。


結核は、もっとも古くから知られている感染症の一つです。
結核の原因菌であるMycobacterium tuberculosisは、20世紀になっても人々の間で伝染しています。
世界保健機関(WHO)は、2009年において、940万人が偶発的に発見され、1400万人が活動性のある結核と診断され、 160万人が死亡している、と見積もっています。
さらにWHOによれば、30万例の結核症感染症は、高度の多剤耐性結核感染症であると警告しております。
結核の全世界的なコントロールは、治癒を目的とした長期間の化学療法により、行われています。
結核治療には、有効な方法がありますが、世界的な犠牲者は後を堪えません。
結核治療には、6-9か月の薬に服用が必要となります。
強力な治療レジュメに従わないことが、患者治療成績を悪化させ、新たな薬剤耐性菌をもたらし、 さらに、結核菌の蔓延を引き起こしています。
結核治療期間の短縮は、服薬治療を順守することにつながり、結核患者の結核患者の治癒を増加させます。
結核治療期間の短縮は、全世界的な結核治療に、多大な影響を与えます。


この研究報告では、アメリカ食品衛生局は認可しているフォスフォジエステラーゼ阻害剤であるシロスタゾールと シルデナフィル(バイアグラ)を、結核治療レジュメに追加することにより、症状を改善し、 結核菌の消失を早め、肺が無菌となるのを、標準的な結核治療と比較して1か月早めています。
このデータは、フォスフォヂエステラーゼ阻害剤を、治療期間短縮のために追加すべきことを示しています。

結核は、宿主の過剰な免疫反応に特徴づけられ、肺組織の破壊に繋がります。
この破壊の過程は、ダメージを受けている気道に、エアゾルとして結核菌の吸入することから始まります。
結核患者の免疫反応は、単に宿主側に原因があるわけでなく、宿主と結核菌のバランスによります。
この宿主と細菌の関係に影響を与える薬剤は、結核治療の付加的な薬剤となりえることを意味しています。

サイクリックAMPは、真核生物や原核生物の多くの細胞内で働くセカンドメッセンジャーです。
細胞内のサイクリックAMPの濃度は、2つの酵素、サイクリックAMP合成酵素と フォスフォジエステラーゼの働きより決まってきます。
フォスフォジエステラーゼは、環状の核酸を分解します。
最近の研究報告では、結核菌は、宿主のマクロファージ内で直接サイクリックAMPを破壊し、 これは、マウスによる実験では、細菌の生存に影響を与えています。
このことから、宿主のサイクリックAMP経路は、細菌感染症治療のターゲットになりうることを示しています。
つまりは、このサイクリックAMPを増加させることができれば、結核の{治療期間を短縮することが可能です。
そこで注目されたのは、フォスフォジエステラーゼ阻害剤です。
この論文では、抗血小板薬のシロスタゾール、ED治療薬として使用されるバイアグラ(シルデナフィル)です。

哺乳動物において、フォスフォジエステラーゼは、構造の似通った11のクラスが同定されており、 医薬品として利用できるのは、このうち、1から5のクラスになります。
フォスフォジエステラーゼ4と5は、比較的特異的にサイクリックAMPとサイクリックGMPの両方を 加水分解するのに対し、フォスフォジエステラーゼの1から3は、様々な作用を持ちます。
加えて、異なる器質によって、どのフォスフォジエステラーゼも、特徴的な表現と局所的な性質を示します。
たとえば、フォスフォジエステラーゼ3は、マクロファージ内、血管内皮、血小板、気道平滑筋にに優位に存在し、 フォスフォジエステラーゼ5は、肺動静脈、気管の血管の平滑筋の中に存在します。

この研究では、マウスを用い結核菌に対するフォスフォジエステラーゼの影響を調べています。
特に、アメリカ食品衛生局が認可している、シロスタゾール(フォスフォジエステラーゼ1阻害剤)と バイアグラ(シルデナフィル:フォスフォジエステラーゼ5阻害剤)の影響を、調べています。
報告されたデータでは、フォスフォジエステラーゼ阻害剤の投与は、 マクロファージ内のサイクリックAMP濃度の増加を示し、それに伴い、細菌感染を減らし、 症状を緩和することを示しました。
この報告は、結核に対する抗生剤治療に、フォスフォジエステラーゼ阻害剤を追加投与することは、 治療期間を短縮し、世界的な結核治療戦略に重要な影響を与えることを示しました。


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