パーキンソン病は神経障害、薬剤の副作用などから性機能を障害する



パーキンソン病で生じうる様々な性機能障害について

Management of sexual dysfunction in Parkinson's disease
Ther Adv Neurol Disord2011 Nvember;4(6)375-383


パーキンソン病と言えば、手が震えたり、転びやすくなったりと、運動機能障害が有名ですが、 性機能不全を来たしやす病気でもあります。
しかし、性機能不全に関しては、生活の質にかかわる重要事項にも関わらず、 残念ですが、あまり注目されていません。
この論文では、パーキンソン病患者に対する性機能障害の治療等について述べられています。
勃起不全EDには、バイアグラの服用が効果的です。
このレビューは、単に勃起不全EDについてのみ解説されているわけではなく、性行為sexにまつわる様々な事が説明されています。


パーキンソン病患者の運動機能以外の症状、性機能不全は一般的な症状の一つですが、 あまり認識されていないのが実情です。
性欲の減退や性行為における満足感の減少は、男女ともに生じえます。
性欲の亢進や勃起不全ED、射精に関する問題は、男性パーキンソン病患者に見られる事が多く、 膣の潤滑の減少や性行為sex中の尿失禁は、女性パーキンソン病患者に見られます。
振戦、表情の減少、筋固縮、動作緩慢、動作のぎこちなさ、不随意運動、唾液過多、発汗異常は、 性行為sexを阻害しえます。
最適なドーパミン製剤による治療は、性行為sexを容易にします。
カウンセリングは、性行為sexに気が進まない、射精の問題、膣潤滑の問題、 尿意を自制できないことなど、一部の問題解決になります。
バイアグラ(シルデナフィル)やアポモルフィンによる勃起不全EDの治療は、科学的に根拠のある治療法です。
性欲亢進や何かに取りつかれたような性的な態度は、ドーパミン製剤、 特にドーパミン作動薬の副作用であり、これらを減量するべきです。
神経科医は、パーキンソン病患者の性機能不全に対し、適切な集学的なチームとともに、 積極的に聞き取りを行い、治療を申し出でることが必要です。性に関するカウンセリングに奉仕する専門家が必要です。

パーキンソン病は、多系統の神経が退縮する疾患で、運動機能障害を特徴とし、 何年にもわたり進行し、肉体的な障害を引き起こす疾患です。
病気が進行した場合、運動能とコミュニケーション能の低下を生じ、日常生活に制限を生じます。

パーキンソン病では、典型的な運動系の症状に先立ち、非運動系の症状が数年前から出現していることがあります。 この非運動系の症状は、生活の質の低下に重要な役割を持ちます。
パーキンソン病において、神経の退縮は、運動系の症状が出現する3-6年前から出現しているという、 信頼できる研究報告があります。
この非運動系の症状は、便秘、膀胱機能障害、日中の眠気、妄想幻覚、集中力の障害、 尿後だれ、嚥下障害、困惑の既往、易疲労、衝動のコントロール不全、記憶障害、 うつや不安症などの神経症、起立性低血圧、疼痛、パラノイア(妄想症)、呼吸感覚障害、睡眠障害、 発汗異常、性機能不全などを含みます。
性活動は、基本的な人間の権利であり、健康的な生活の要素です。
慢性疾患を患らっている患者にとって、性活動は、生活の質の重要な要素の一つであり、 パーキンソン病の患者においても、健康な性生活は、日常生活の満足に関連します。
パーキンソン病の男性患者の多くにとって、勃起不全EDは、疾患により生じた様々な障害のなか でも、最も苦痛となるものです。

この報告で、パーキンソン病における、患者とそのパートナーの性活動について述べたいと思います。また、治療のオプションも推奨したいと思います。
診療に当たる医療従事者は、臨床の中で、この推奨事項の一部を実行する事が可能です。


順を追って、解説して行きたいと思います。


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