バイアグラは心筋梗塞後の幹細胞移植の成績を向上させる



心筋梗塞後の幹細胞移植時におけるバイアグラ併用の可能性

新宿で純正バイアグラ.新宿ライフクリニック


心筋の線維化は、心筋梗塞後やうっ血性心不全、虚血後の再還流障害、多くの心筋症において、 心臓のリモデリング(心臓に負担がかかると、その構造や性質が変化する事を指します)の大きな要素の一つです。
過度の細胞外器質の増加は、特にリモデリング中に活性化した繊維芽細胞、心筋線維芽細胞が付着する事とともに、生き残った心筋細胞の収縮性を減弱させます。
線維化は、正常な細胞外器質と線維芽細胞の相互作用にも影響します。
この心臓の線維化は、血管床や血管の集中した臓器、たとえば腎臓や骨格筋、泌尿生殖器に生じる線維化と似ています。
最近の一般的な心筋梗塞後のリモデリングに対する治療は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を介す薬剤が中心で、 アンジオテンシンⅡによる線維化を抑制します。
目新しい抗線維化療法として、バイアグラシルデナフィル)などの PDE5阻害剤を定期的に服用する事が挙げられています。 これは、一酸化窒素の合成を通じて、一酸化窒素やサイクリックGMPによるプリコンディショニングによるものと思われています。

最近の研究報告の一つに、PDE5阻害剤であるバイアグラ(シルデナフィル)は、冠動脈前下降枝の結紮後、毎日4週間に渡り腹腔内に投与されると、 心室の拡張末期径の増加を抑制したとされるものがございます。
他の研究報告では、バイアグラ(シルデナフィル)は、ラットにおける心筋梗塞後の間質の線維化を鈍らせることが示されています。
また、バイアグラ(シルデナフィル)やレビトラバルデナフィル)の長期投与は、 ウサギにおける心臓の再灌流障害後の心線維化を同様に抑制することが示されています。
シアリスタダラフィル)は、 ドキソルビシンによる薬剤性心筋障害に対し、左室機能を改善し、生存期間も改善するとしています。
バイアグラ(シルデナフィル)は、ラットにおいて24時間後の心筋梗塞の梗塞巣のサイズを低減する、 心筋細胞や内皮細胞のアポトーシスを抑制し、心機能を改善するとの報告があります。
ラットを用いた再灌流障害に対する研究では、同様のことが、シアリス(タダラフィル)で示されています。

バイアグラ(シルデナフィル)は、現在では、勃起不全、特発性肺高血圧症治療で承認されておりますが、 その他疾患でも、有効であったとする報告が見受けられています。

バイアグラ(シルデナフィル)の承認疾患の1つの特発性肺高血圧症では、 一部の動物モデルでは、この改善効果に一致しない結果も報告されており、 その障害やリモデリングの程度に依存していると思われます。
バイアグラ(シルデナフィル)等のPDE5阻害剤による抗線維化効果は、心外での効果と同様のプロセスにより、 心筋梗塞後のリモデリングを抑制することが実験では示されています。

バイアグラ(シルデナフィル)等のPDE5阻害剤は、必要時に服薬すれば、 その時に勃起改善を得ることができるのですが、毎日定期的に服用する事により、 陰茎海綿体の線維化を予防するともされています。

勃起不全EDは、心疾患の指標になるとも言われております。
このため、PDE5阻害剤の定期服用が、陰茎海綿体の繊維化を抑制するのであれば、 単に勃起力の改善だけでなく、心臓の繊維化を同様に抑制する等の理由で、 心疾患の予防改善につながる可能性を考えてしまいます。
実際に、PDE5阻害剤は、ブレオマイシンにより障害された肺血管の線維化や糖尿病性腎症、 ペロニー病の線維化した陰茎にも、抗線維化作用を示すことが報告されています。

幹細胞と同時に投与されたバイアグラ(シルデナフィル)は、 心筋梗塞の治療法として効果が増強される可能性が指摘されています。
バイアグラ(シルデナフィル)の投与と幹細胞由来のアディポサイトの、拡張型心筋症ラットの左心室への移植は、 幹細胞単独移植と比較し、左室機能と血管新生を改善し、酸化ストレス、アポトーシス、線維化は、 減弱するとしています。
これらの幹細胞を、バイアグラ(シルデナフィル)で前処置を行った場合、マウス心筋梗塞例では、 心機能が改善したとの報告もあります。
このため、バイアグラ(シルデナフィル)などのPDE5阻害剤は、サイクリックGMPやフォスフォキナーゼGを介して、 幹細胞を心筋細胞に変化させるのを制御している可能性があると言えます。

マウスや人の骨格筋由来の幹細胞は、血管新生を促し、瘢痕を減らし、左室機能を改善します。 その多くは、VEGF(血管内皮成長因子)を介しているとされます。
骨格筋由来幹細胞は、どのように心筋細胞に変化するのか詳細は不明ですが、筋芽細胞よりも優れており、 同程度の、治療効果が指摘されています。 骨格筋由来幹細胞を使用した場合、ある程度治療効果が見込めますが、 骨格筋の筋芽細胞を使用した場合の効果は、議論されているところです。

骨格筋由来幹細胞に対するバイアグラ(シルデナフィル)などのPDE5阻害剤の効果は、 いまだ報告がありません。
今回の報告は、冠動脈左前下降枝の結紮により生じた心筋梗塞に対し、 低用量バイアグラ(シルデナフィル)の経口投与の左室機能改善効果を検証する事と、 コラーゲン線維の蓄積、心筋芽細胞の集積、心筋細胞消失を減少させる事が可能か、 骨格筋由来の幹細胞が、同様に心機能改善効果を示し、リモデリングを来たすのか、 バイアグラ(シルデナフィル)がこれらの効果をバイアグラ(シルデナフィル)が促進するか否かを検証しています。

左冠動脈前下降枝を結札する事により作成した心筋梗塞ラットを、無治療群、バイアグラ(シルデナフィル)を3mg/kg/日投与する群に分け、 さらに心筋梗塞作成7日後に生理食塩水を投与する群、骨格筋由来幹細胞を投与する群と分けています。
実験開始前、開始後1週間、4週間で、左室機能を測定しています。 心室を染色し、組織学的に調べています。

結果は、バイアグラ(シルデナフィル)投与群は、無治療群に比較し、左室機能を30%程度改善しているとしています。
また、梗塞巣の広がりも、バイアグラ(シルデナフィル)群は、抑制しています。
バイアグラ(シルデナフィル)の抗線維化作用は相当なもので、心筋繊維芽細胞は73%減少しています。
骨格筋由来幹細胞の移植は、対象に比較し、左室機能を50%改善させています。

しかし期待に反し、幹細胞の移植とバイアグラ(シルデナフィル)の同時投与は、上乗せ効果を示しませんでした。
幹細胞移植により、34%のコラーゲンの沈着抑制が示されましたが、これと同様です。
移植された骨格筋由来幹細胞は、4週後に梗塞巣に見受けられていますが、その多くは、間質内の接合をする細胞であり、 僅かの幹細胞が心筋細胞に変化していることが、トロポニンTから判断されています。 有意ではありませんが、心室のトロポニンTは、幹細胞移植群で増加しています。
しかし、幹細胞が心筋細胞に変化したと考えるには、十分ではありません。
バイアグラ(シルデナフィル)と幹細胞移植を併用した群では、生理食塩水の群と比較し、 トロポニンTを30%の増加を認め、心筋再生というよりか、保護作用があったことを想像させます。
この心筋細胞の保護作用と一致して、アポトーシスインデックスは、幹細胞移植群で49%も減弱しており、バイアグラ(シルデナフィル)との併用効果は無視できるほど小さなものでした。

バイアグラ(シルデナフィル)による効果が、PDE5の増加に因るか否か調べるために、PDE5が測定されています。 幹細胞移植+バイアグラ(シルデナフィル)投与群で、有意にPDE5が増加していますが、幹細胞移植のみの群では、増加は認められていません。

バイアグラ(シルデナフィル)または骨格筋由来幹細胞移植の単独および併用とした場合の 心室のリモデリングに対する効果は、循環中のマトリックスメタロプロテイナーゼを測定する事でも、 評価しようとしています。
幹細胞移植群では、このマトリックスメタロプロテイナーゼを有意に減少させましたが、 バイアグラ(シルデナフィル)併用群では変化をみとめていません。

この研究報告は、PDE5阻害剤の毎日の定期服用が、抗線維化作用や抗アポトーシス作用を示すか否かを調べたものです。
まずはじめに、バイアグラ(シルデナフィル)単独で、左室機能が改善し、 梗塞巣周囲の線維化や心筋線維芽細胞の浸潤を抑制する事を示しました。
次に、骨格筋由来の幹細胞移植により、アポトーシスを抑制し、血管新生を促し、 心筋のリモデリングを抑制する事を示しました。
さらに、幹細胞移植とバイアグラ(シルデナフィル)を併用する事により、抗アポトーシス作用が増強する事が示されました。
しかし、期待に反し、幹細胞移植+バイアグラ(シルデナフィル)併用群は、左室機能や線維化を、より改善するには至っていません。
ここでは、これらの作用はPDE5のアップレギュレーションに因るものだと仮定されています。


参考文献
Effects of sildenafil and/or muscle derived stem cells on myocardial infarction.
Journal of Translational Medicine 2012,10:159


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