糖尿病を基礎疾患とするED治療におけるニューロタンとシアリスの効果比較



糖尿病性EDにニューロタンが効果的

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糖尿病の合併症として、勃起不全EDが高率である事は、当ホームページでも度々紹介させていただいております。 神経障害であったり、血管障害、内分泌障害、代謝障害など、多面的に影響を与えます。
糖尿病性EDにおいても、一般的には、バイアグラレビトラ、などのPDE5阻害剤が、ファーストチョイスとして使用されますが、 重度の糖尿病の方や、罹病期間が長期に渡る方などでは、その効果が、十分満足できない場合も見受けられます。
その為、また違った側面からアプローチできる他の治療法を考慮することも必要になります。

糖尿病性EDでは、動脈硬化がその一因になります。
動脈硬化は、皆さんご存知のように、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
糖尿病以外の疾患でも動脈硬化は進行いたします。
代表例は、高血圧です。
降圧剤であるニューロタン(ロサルタン)が、糖尿病性EDに対して有効であったとする報告がございます。 シアリスとの比較や併用の効果が論じられております。

糖尿病性EDラットにおいて、陰茎海綿体におけるアンジオテンシンⅡの発現が、増加していたとする報告がございます。
外因性のアンジオテンシンⅡの陰茎内の注入は、犬の勃起を抑制した、また、 このアンジオテンシンⅡ受容体を阻害するニューロタン(ロサルタン)は、平滑筋を弛緩させ、 勃起を改善する可能性も指摘されています。
ニューロタン(ロサルタン)により、人間においても、同様に、陰茎の平滑筋を弛緩させ、勃起を改善させる可能性がございます。

ニューロタンは降圧剤であり、1型アンジオテンシンⅡ受容体阻害剤(AT1receptor-blocker:ARB)に分類され、 我が国の高血圧治療ガイドラインでも、第一選択薬に位置づけられています。
何が特徴かというと、降圧作用だけでなく、臓器保護作用を有していることです。
血管内皮機能改善作用や、心筋梗塞後の心臓リモデリング抑制、腎臓からの尿蛋白減少作用など、大規模臨床試験で指摘されています。

また、高血圧を合併した勃起不全患者に対して、これらの服用は、勃起機能を改善するとの報告もございます。
ニューロタン(ロサルタン)同様にARBに属するイルベタン(イルベサルタン)が、 高血圧合併ED患者の性欲、性交渉回数、勃起機能を改善させるとした報告もございます。
しかし、糖尿病性EDに対して、ARBの有効性を検証した報告は僅かにしかありません。
その為、ここでは、ニューロタン(ロサルタン)の糖尿病性勃起不全に対する勃起改善効果について検証されています。

18歳以上の2型糖尿病男性124名を対象に12週に渡って観察されています。
糖尿病の罹病期間は3カ月以上とし、治療経過は良好で、血糖コントロール指標であるヘモグロビンA1cは正常範囲。 全ての被験者は、インスリンにより治療されているとの事です。
被験者を4グループ(対照:30名、シアリスを毎日5mg服用:31名、ニューロタン(ロサルタン)50mg/日定期服用:32名、シアリス5mg+ニューロタン(ロサルタン)併用:31名)に振り分けられ観察されています。
判定は、4週間おきに来院していただき、 国際勃起機能IIEF5スコアの問診項目2、 ”パートナー女性の膣内に、ご自身の陰茎ペニスを挿入可能でしたか?” 問診項目3、”性行為がうまくいくために十分な勃起のの持続は得られていますか?”、 総合評価尺度の”治療により勃起機能の改善はありましたか?”の3項目を使用しています。
国際勃起機能IIEF5スコアで、7以下を重度、8以上11以下を中等度、12以上21以下を軽度と、サブグループを設定しています。

12週間の試験の結果、いずれの群でも、国際勃起機能IIEF5スコアの有意な改善を認めております。
ニューロタン+シアリス群が最も勃起改善効果が高く、シアリス群、ニューロタン群と続きます。
サブ解析では、ニューロタンは、軽度~中等度のED患者では良好な改善効果を示しています。
対照群は、勃起改善は認められておりません。

国際勃起機能IIEF5スコアの質問項目2に対して、”はい”と答えた率は、シアリス5mg/日群で32.3%から80.7%へ、 ニューロタン50mg/日群で34.4%から65.6%へ、ニューロタン+シアリス併用群では35.5%から90.3%に増加しています。
これに対し、対照群は33.3%から40.0%となっております。

質問項目3に対して、”はい”と答えた率は、対照群が25.8%から33.3%と軽度の上昇に止まっているのに対し、 シアリス5mg/日群で26.7%から67.7%へ、ニューロタン50mg/日群で25.8%から59.4%へ、 ニューロタン+シアリス併用群では25.0%から77.4%に増加しています。
実薬群は、いずれも、勃起機能の改善を認めております。

総合評価尺度の質問に対しては、 シアリス5mg/日群で74.2%、ニューロタン群で62.5%、ニューロタン+シアリス群で83.9%と、 やはり同様に改善を実感されています。
対照群では、16.7%に止まります。
総合評価尺度の改善に関しては、実薬群の間で、統計学的な有意差は認められていないとのことです。

副作用は、ニューロタン群で、起立性低血圧、軽度の眩暈、アレルギー反応を認め、 シアリス群では、頭痛、鼻出血が認められています。
ニューロタン+シアリス併用による副作用の増加はなく、各々単独で服用した場合と同様のものとなっています。
副作用は軽微であり、試験の遂行に影響はなかったとのことです。

陰茎海綿体のレニン-アンジオテンシン系作用は、勃起不全の原因として、重要な働きをしていると考えられます。
その最も重要な物質はアンジオテンシンⅡであり、アンジオテンシン受容体に結合し、平滑筋の収縮を来たします。
アンジオテンシンⅡ及びレニン-アンジオテンシン系の過剰な発現が、糖尿病ラットで指摘されています。
このレニン-アンジオテンシン系を抑制する事が、糖尿病性勃起不全治療に繋がる可能性があります。

この試験では、シアリスほでではございませんが、アンジオテンシⅡ受容体を阻害するニューロタン(ロサルタン)で、 勃起改善効果が指摘できました。
ニューロタンのED改善効果は、軽度~中等度の場合に対して、より大きいものとなっております。
重度のEDの場合、陰茎の線維化が進行しているとされます。
レニン-アンジオテンシン系を抑制する事は可能であるが、この線維化改善できなかったと考えられます。
実際に、ある程度進行した線維化は、アンジオテンシンⅡ受容体阻害剤でも、 改善できないことが指摘されています。
このため、薬物療法には限界があり、良好な結果を得るには、早期の治療介入が重要な事がわかります。

糖尿病性EDの原因は先にも記述しましたが、様々です。
第一の治療法は、血糖コントロールを改善する事です。
高血糖が不可逆的な障害を引き起こしかねます。
シアリス等の服用も良い治療ですが、長期スパンでみると、原因疾患である糖尿病の治療が重要になります。

最近、シアリス5mg/日の定期服用によるED治療が提唱されております。
今回の報告では、ニューロタンとシアリスの併用が、最も優れた改善効果を示しています。
しかし、これにても十分な勃起改善が得られていない患者もおり、今後の研究報告が待たれます。


参考文献
Losartan improves erectile dysfunction in diabetic patients.
International Journal of Impotence Research (2012) 24, 217--220


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