ED患者における皮膚発汗反応について



ED患者における皮膚発汗反応を検査する事により交感神経の影響が推測できる

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勃起は、自律神経、具体的には交感神経と副交感神経によって支配されます。
副交感神経が優位であると勃起が生じ、 射精後は交感神経が優位になることにより、勃起をした陰茎ペニスは弛緩してゆきます。
勃起の詳細なメカニズムについては他項で説明していますので参照していただくとして、 この自律神経の作用は、全身にございます。
その一つが発汗減少です。

私たちは、汗をかこうと思って汗をかくわけでなく、必要時に自律神経が作用し、発汗に至ります。 発汗を司る神経として、無髄の交感神経であるC線維が代表的です。 そのため発汗を調べることは、自律神経や体性神経の神経疾患において、有益であるとされています。
勃起を司る神経も、このC線維が中心となります。
発汗の作用機序については、多シナプス性で、様々な神経からの命令や反射が関与していると考えられ、 詳細は不明である点も置くございますが、発汗を調べることは、ED患者の自律神経機能を測定する事に繋がる可能性がございます。
この発汗とEDの関係を調べた報告があったので、一部、ご紹介しようと思います。

様々な原因で生じたED患者82名を、国際勃起機能スコアIIEF-5で重症度を3群に層別し、自律神経による発汗現象を観察しています。
さらに、神経疾患症候スコアが測定されています。これには神経伝達検査や体性感覚誘発電位測定、 骨盤低筋群の筋電図、球海綿体反射などが含まれています。

発汗現象の観察は、電気刺激を加えることによって誘発された発汗を、皮膚のインピーダンスを測定することにより判定しています。
詳細は、一般方にはやや難しい為、割愛いたします。

手のひら、足底における発汗現象は、電気刺激に対して90.3%、89.8%に認められ、被験者の79.5%、75%が90%以上の反応が認められています。
これに対してペニス陰茎では、発汗反応率は52.8%に止まり、33%のみに90%以上の反応が認められたとしています。
ペニス陰茎の反応は、手のひらや足底に比較し、有意に発汗反応が少なくなっております。

糖尿病合併ED患者では、その他の原因のED患者に比較して、手のひら及び足底の発汗現象反応率は、有意に低下いたします。 統計学的に有意ではございませんが、陰茎ペニスの発汗現象発現率も低下しているとしています。

有意な相関はありませんが、国際勃起機能スコアIIEF5が高得点であるほど(勃起機能が保たれているほど)、 この発汗現象発現率も高率である傾向が示されています。

手のひらの観察では、電気刺激から発汗までの潜時は44例で正常範囲を示し、33例では遅延を示しています。 足底の観察では、68例が正常の潜時を示し10例が遅延、陰茎ペニスの観察では、14例が正常の潜時を示し37例が遅延していたとの事です。

手のひら、足底と陰茎ペニスの発汗反応とその潜時の間に相関は認められず、独立した因子であるとしています。
発汗反応率と潜時を比較した場合、潜時の方がより統計学的な差が認められています。

この報告では、ED患者において、ペニスにおける発汗反応率の低下、潜時の延長が認められています。
特に糖尿病を原因とするED例では、この変化は顕著なものです。
原因としては、糖尿病例とその他の例で、EDの原因が異なっている可能性が指摘されています。
本検査において、糖尿病合併ED例では無髄の交感神経であるC線維の障害、つまり、勃起に関わる自律神経系の障害が示唆されています。

この報告に従えば、EDの原因を推測する検査の一つとなる可能性がございます。
器質性EDの原因として、動脈硬化が注目され、血管内皮細胞の機能などの研究が多い中、神経にターゲットを絞った報告となります。
糖尿病は、EDの重大なリスクファクターの一つです。
動脈硬化を来たすこと、さらには糖尿病性神経症を来たすことから、強力にEDを引き起こします。

他にも、神経障害からEDを来たす疾患は多数ございます。
例を上げるとすると、パーキンソン病や類縁疾患であるシャイドレジャー症候群などです。
もし、この発汗現象の検査が行えるのであれば、明らかな上記疾患の症状、兆候を認める前に、EDの原因検査を進めることにより、 早期に異常を指摘し、早期発見につながる可能性がございます。


参考文献
Sympathetic skin response in patients with erectile dysfunction.
BLU international 104:1709-1712