心臓再同期療法により心機能が改善するとEDも改善する



心臓再同期療法CRTにより心不全患者の勃起不全EDが改善する

シアリスを院内処方.新宿ライフクリニック


うっ血性心不全患者は、性欲の減退や性交回数の減少など、性機能におけるマイナスの影響を実感することが多いとされております。 うっ血性心不全の場合であっても、運動耐容能、心残存機能が許すのであれば、他の運動行為と同様に、性行為セックスを行うことは可能でありますし、 バイアグラなどのED治療薬の服用も可能であります(この場合、併用薬のチェックなどを要します)。
うっ血性心不全例でのEDの原因は、動脈硬化による血流の低下や血管内皮機能の低下や薬剤の副作用、 自律神経の変化、ホルモンバランスの変化など多岐にわたります。
うつ病や神経症、死への恐怖感なども原因となりえます。

心不全治療の一つに、心臓再同期療法(CRT:cardiac resynchronization therapy)というものがございます。
これは、ペースメーカーを応用したもので、心室内に電極を留置し、心房、心室を同期させるように電気刺激を加え、 心拍出量を維持しようとするものです。
心臓は、まず心房が収縮し、その後にタイミング良く心室が収縮する事により、血液を全身に送るポンプの作用をします。 この心房と心室の収縮リズムの乱れは、心機能の低下を来たします。
心臓再同期療法は、この乱れた収縮リズムを是正しようとするものです。
よって、主な適応は、変行伝導つまりは脚ブロック、 特に左脚ブロックを伴ったうっ血性心不全でありますが、 最近では、その適応が拡大されつつあります。
どのような例において有効であるか、電極の位置を心内する心外にするか等、 まだまだ課題の多い治療法ではありますが、着実に臨床応用されつつあります。

この心臓再同期療法に関わらず、心機能の改善は、脳血流量を増加し認知機能を改善したり、 神経内分泌的な改善を来たすことも示されています。
心臓再同期療法の効果は、多数報告され知られるようになって来ておりますが、 性欲やED勃起機能に対しての効果は、あまり知られておりません。
心臓再同期療法の性欲とEDに対する影響を調べた報告がございました。

ここではSxual Health Invetory for Men(SHIM)という問診票で性欲やEDの程度が調べられております。
軽度~中等度ED24例、重度ED3例のトータル27例で調査されております。
心臓再同期療法施行6ヶ月後に再度同様の問診票により比較されてるのですが、非常に良好な結果が得られております。
23例がEDの診断基準を満たさず、つまりEDが完全に改善しております。
2例が中等度ED、重度EDはいません。
このSHIMスコアは、心臓再同期療法後では、著名に改善を示しております。

性欲は、The Aging Symptoms rating scale(AMS)という、やはり問診票によって調査されています。
これによれば、心臓再同期療法施行前では、6例が軽度、14例が中等度の性欲低下とされ、 8例が重度性欲減退とされておりましたが、 6カ月後の再調査では、正常な性欲を示した例が3例から25例へと大幅に増加しております。
重度の性欲減退例はいなくなっています。

心機能自体は、NYHAクラス分類で、術前の平均が3.4であったのに対し、術後は2.1まで改善しています。
心駆出率は、18%から32%へ改善を認めています。
EDの程度を調べたSHIMスコアは心駆出率と相関し、性欲を調べたASMは心不全の程度を示すNYHAクラス分類に相関しているそうです。
(NYHA分類とは、心不全例での重症度を示す簡便な指標で、臨床で頻用されております。1~4段階で示され、数字が増える程、状態が悪くなります。 詳細は別項を用意しておりますの、ご参照ください⇒NYHA分類

うっ血性心不全を対象にした報告は、他にもございます。
やはり、左室機能とED勃起不全が相関するとし、左室機能すなわち駆出率は、EDの独立したリスクファクターとし、 NYHA分類による運動耐容能の評価は、EDの程度には関係がないとしています。
EDの程度と駆出率が相関し、性欲とNYHA分類とが相関するとしていることは興味深いのですが、詳細についての考察はございませんでした。

今回、心臓再同期療法によりED、性欲が改善したのは、心機能が改善し、運動耐容能が向上し、 自信が得られるようになった、死の恐怖から解放された等が考えられます。
心機能の低下は、神経内分泌系の変化をもたらし、それにより血管内皮機能不全を引き起こしEDを生じるとしています。 これが、改善したことが、結果に繋がっているとも考えられます。

心機能をこのように改善させる治療法は限られますが、例えば内服薬にてコントロールされた場合、 どうなるのでしょうか?
利尿薬は代表的な薬剤性EDの原因薬剤でありますし、心不全治療の中心となるβ遮断薬も、EDに対しては良い影響はもたらしません。
あまり良い報告は聞きませんが、勉強のため、もう一度調べてみようと思います。


参考文献
The likely worldwide increase in erectile dysfunction between .
Clin. Cardiol 34,7,437-441(2011)