ED治療薬の効果と可能性


青


効果

現存するED治療薬は、バイアグラシルデナフィル)、 レビトラバルデナフィル)、 シアリスタダラフィル)も、 ホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE5阻害剤)に分類されます。
このPDEが全身に、広く存在する事から、全身性に、様々な作用を呈します。 その発現した作用が有害であれば副作用となりますし、利益がある作用ももちろんございます。

PDE5阻害剤は、簡単に言うと平滑筋の弛緩薬と考えられます。 血管平滑筋を弛緩させた場合、血管拡張作用が出現します。
それを利用したものが勃起改善効果です。 陰茎海綿体の血管を拡張することにより充血させ、勃起を得ます。
同様に、血管拡張作用から、保険承認がとられ、臨床応用されている疾患が有ります。
それは、原発性肺高血圧症です。 これは、肺血管が硬化し、内腔が狭小化することにより肺血圧が上昇する難病ですが、 肺血管平滑筋を弛緩させることにより血管拡張させ、肺血圧低下作用を示します。
市販名は、レバチオ、アドシルカと、ED治療薬とは異なりますが、成分は同様で、 レバチオはシルデナフィル、アドシルカはタダラフィルになります。

血管拡張作用に注目した使用例に、レイノー症候群が挙げられます。
レイノー症候群とは、多くは、膠原病に伴い、冷感刺激にて血管が収縮する現象です。 これによって末梢組織が虚血に陥り、壊死、切断に至る場合もあります。 ED治療薬による血管拡張作用が、これを改善したとする報告は、世界から報告が有ります。

他にも、肝臓移植時にPDE5阻害剤を使用した場合、血流が改善することにより成績が向上するとした報告もございます。 また、食道平滑筋を弛緩させることから、食道スパスムに対して有効であるとした報告や、 血管奇形に対して有効でったとする報告もございます。

ドーピング薬剤としてバイアグラが注目されたこともございます。
バイアグラの服用により、酸素摂取量が増加し、運動耐容能が向上し、 マラソンなど持久力を競う競技で有効である可能性が指摘されています。 このため、ドーピング対象に適応しようとの動きが有りました(実際にはドーピング対象になっておりません)。
肺血管が拡張し、肺血流が増加することから、酸素摂取量が増大し、また、末梢では、毛細血管拡張から、 筋肉の血液循環が増加する、これがメカニズムになります。

酸素摂取量の増加に注目した使用報告は、他にもあります。
その一例は、高山病予防に有効であるとするものです。 ヒマラヤなどの屈指の高山への登山は、高山病を伴い、死の危険性をも、伴います。 ED治療薬の服用により、やはり酸素摂取量が増加し、高山病を予防するのではないかとしています。

その他にも、認知機能改善に有効とした報告や、抗がん剤の耐性を回復とする報告、 抗結核薬の効果を増加させるとした報告も有ります。 不育症に対して膣内へのバイアグラの投与が、これを改善すとしたものもございます。


このように、PDE5阻害剤は、注目を集めている分野です。
PDE5だけでなく、すべてのPDEが注目を集めており、研究が盛んであり、今後も、興味深い報告が有るかと思います。

シルデナフィルやバルデナフィル、タダラフィルの最新情報を、文献紹介してご紹介してます。