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『バイアグラ・ジェラシー現象に関連して記載がされた文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介』

【専門医解説:女性のバイアグラ・ジェラシー現象が男性のED治療の阻害要因となる?】


女性のバイアグラ・ジェラシー現象が男性のED治療の阻害要因になる?

2004年にバイアグラ:シルデナフィルで治療をしている男性における女性パートナーに対して調査をした研究では、 女性パートナーの5人に1人は、男性パートナーのED治療に対して『満足をしていない』と回答しております。 この男性パートナーのED治療に対して『満足をしていない』女性の中には、多くの 『バイアグラ・ジェラシー現象』 を呈する方が内包されると2022年の研究にて報告されており、 同研究によると、この『バイアグラ・ジェラシー』とは、パートナーがこれらの薬を使用している事が、自分が性的魅力を失ったことを意味すると考え、結果、その加療を阻害してしまう現象と説明がされております。 そしてODF製剤などの従来とは違う形の剤形の利用がその対策の一助となる事も報告しております。 また、2025年の研究報告では、このバイアグラ・ジェラシー現象がEDの治療阻害要因となってしまう可能性から、 バイアグラ・ジェラシー現象を判定する『INTIMA』という診断ツールが提案されております。



皆さんは『バイアグラ・ジェラシー現象』をご存じでしょうか? これは、男性のバイアグラ:シルデナフィルなどPDE5阻害薬による加療を、 結果として女性パートナーが阻害してしまう要因の一つとなる現象の事です。


くわしくは後述致しますが、男性がバイアグラ:シルデナフィルでED:勃起不全症を加療されている場合に、 女性側がその治療に不満足を覚えるケースが以前より散見されており、 そうしたケースを調べていく内に、 女性パートナーの認識が男性のED治療に対する阻害要因となり得る事が浮かび上がってきたとのです。


そうしたケースに対応する為に検討されていのが、 見た目でバイアグラ:シルデナフィルなどのPDE5阻害薬と分かりにくい、新しい剤型のODF製剤(口腔内崩壊製剤)、 ならびに、このバイアグラ・ジェラシー現象の程度を推し量り、女性パートナーに男性がED加療の事実を相談すべきかどうかの指標となるべく開発された質問票:INTIMAになります。


『バイアグラ、ジェラシー』の組合わせでのインターネット検索が見られる様になって来たのは、 こうした男性に対してのED治療への阻害概念が一般化してきたという、一つの証左なのかも知れません。


こちらのページでは、 『バイアグラ・ジェラシー現象』が検討されるようになったきっかけとなる2004年の研究、 並びに始めて 『バイアグラ・ジェラシー現象』 というキーワードが言及されるようになった新しいODF剤型(口腔内崩壊製剤)のED薬に関する研究、 そして最後に、この『バイアグラ・ジェラシー現象』を判定する為の心理測定ツール『INTIMA』に関する研究、 このそれぞれに関して新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からわかりやすく解説をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1.バイアグラ・ジェラシー現象が検討されるようになったという、きっかけの研究】

バイアグラ・ジェラシー現象が検討されるようになったという、きっかけの研究

男性のもつ疾患の改善は、ほとんどのケースにおいて、女性のパートナーにとっても望ましいものになるかと思われます。 しかしED:勃起不全症に関しては、あながちそうとも言えないという事を示したのが本文献1.でご紹介させて頂く調査研究になります。


こちら2004年に発表された研究は、とてもユニークな事に、バイアグラ:シルデナフィルを投薬された男性側ではなく、 そのパートナーである女性側に介入したという調査報告であり、 具体的にはバイアグラ:シルデナフィルによって加療がされたED患者の男性98名、この女性パートナーに対して、 性生活満足度、生活の質の変化などを評価する質問票に回答をしてもらっているとの事でした。


質問票には、女性の性機能に関する質問も含まれており、 これらの結果から、女性パートナーの満足度と治療効果、そして女性の性機能との関連性が総合的に評価されました。 その結果として、驚くべき事に女性パートナーの20%、つまり約5人に1人は男性のED加療に関して 『満足をしていない』 という返答が返ってきたのです。


この文献においては 『女性パートナーが比較的高い治療満足度を報告している』 と結んではおりますが、 これが男性パートナーの前立腺肥大症など他の疾患に関する調査であれば、ほぼ全てのパートナー女性がその治療に満足をしていると回答をするものかと思われますので、 約5人に1人が不満足という状態は、ED:勃起不全症において非常に特異性の高い状態である可能性が示唆されます。


こちらの研究の結果に対して、同様な印象を持った研究グループが介入調査をし、このテーマに対する問題意識から、 解決方法の一つとして提案しているのが新しい剤型のED薬であり、これが次にご紹介する文献2.の内容となります。 また、こちらの文献2.にて始めて『バイアグラ・ジェラシー現象』という名称が使われ始めました。


2.【文献2.バイアグラ・ジェラシー現象の対策としての新しい剤型検討】

バイアグラ・ジェラシー現象の対策としての剤型検討

上記、文献1.では、この文献2.にて『バイアグラ・ジェラシー現象』というキーワードが使われるようになった、そのきっかけの研究である、 バイアグラ:シルデナフィルで治療された男性の女性パートナー側に対する調査研究に関して記載をさせて頂きました。


一方、こちら文献2.では 『バイアグラ・ジェラシー現象』 を明確なED治療の阻害要因と定義した上で、 その対策として考案した 『ED薬、あるいはバイアグラ:シルデナフィルと一見して分かりにくい新しい剤型』 の開発研究に関しての記載がされております。


こちらの研究においては、 文献1.を引用し、多くの女性がバイアグラ:シルデナフィルなどのPDE-5阻害薬の使用に強く反対していると問題提起をした上で、 そうした反対の一つの理由として、男性パートナーがこれらの薬を使用している事が 『自分の性的魅力が失われた事を意味している』 と考えてしまう事を挙げており、 それが原因となって女性が男性パートナーのED治療を阻害してしまう、そうした状態を 『バイアグラ・ジェラシー現象』 と定義しております。 そしてこのバイアグラ・ジェラシー現象が男性におけるED治療の阻害要因となってしまう状況を解決するための一つの提案として、新規剤型のED製剤に関する検討を行っております。


その新規剤形の提案とは、天然ポリマーであり、主に医薬品および栄養補助食品分野で使用されている 『マルトデキストリン』 をベースとした新しいODF:口腔内崩壊製剤の事になり、 本研究では、こちらを新製品開発のプラットフォームとして活用することに関しての検証をしております。


その検証の結果として、IBSAが開発したマルトデキストリンをベースとしたODF製剤は、機械的特性、溶解速度、風味、安定性において優れた特性を有しており、 また生体内試験において生物学的同等性と有効性が評価され、市販の経口剤型の有効な代替品になりうる事が実証されたと、包括してまとめております。


※IBSA(Institut Biochimique SA)とは、1945年にスイスのルガーノにて設立された、ヒアルロン酸技術や生殖医療、美容皮膚科分野で世界をリードする有名な製薬会社の事になります。


そして本文献では、バイアグラ・ジェラシー現象の一つの対策として、こうしたODF:口腔内崩壊製剤のような製剤は、バイアグラやシルデナフィルなどのような従来の錠剤の外観を持っていないため、 多くの患者が希望しているであろう 『目立たない治療』 のニーズを満たし、これが『バイアグラ・ジェラシー現象』解決の一助となる事を期待しております。


こちら文献2.でご紹介した研究によって、おそらく始めてバイアグラ・ジェラシー現象の問題提起がされるようになり、 その対策として従来の剤形とは違う外観の製剤が提案されましたが、 こうなると自分のパートナーにはたしてバイアグラ・ジェラシー現象が発生しているのかどうかを判定する必要性が出てきます。 これについて検討をしているのが、まさに次にご紹介する文献3.の内容になります。


3.【文献3.バイアグラジェラシー現象判定のための質問票:INTIMA】

バイアグラ・ジェラシー現象の判定のための質問票:INTIMA

2022年に報告された上記文献2.から男性のED治療の阻害要因となりうる、女性パートナーにおける『バイアグラ・ジェラシー現象』が言及されるようになりましたが、 それでは自分の女性パートナーに果たしてバイアグラ・ジェラシー現象がある、 あるいはその傾向があるという事は、どのようにして判定をすれば宜しいのでしょうか? まさに、それについて研究し、バイアグラ・ジェラシー現象を判定するための質問票である INTIMA―『ED治療が夫婦間の親密性に及ぼす影響の評価』を提唱しているのが、 こちら文献3.になります。


こちらの研究においては、 ED男性の診断、教育、カウンセリング、治療法の選択、リハビリテーション、フォローアップの評価に、女性パートナーを関与させるための理想的な条件の存在を評価する事が、 結果として良好な治療結果とQOL:生活の質の向上には不可欠と考え、また医療とカウンセリングの両面で適切な臨床的サポートを提供するためにバイアグラ・ジェラシー現象自体の測定が必要であるとの考えから、 この『INTIMA』の開発に至ったとの事で、その開発は、性医学、心理性科学、心理測定学の専門家による項目作成を通じて進められ、 EDの薬物治療に伴う男性患者の最も頻繁な懸念事項に関するブレインストーミングセッションを行った上で、 最終的に10項目のセットによる質問票が開発されたとの事でした。


そして開発後、INTIMAは内容妥当性と表面妥当性についての検証がされ、 この内容妥当性とは、ある特定の目的において、ある測定項目が測定対象概念にどの程度関連をし、それを代表しているかを示しており、 一方、表面妥当性とは、ある特定の目的において、被調査者がテスト内容を理解し、解釈ができる程度を示しているとの事です。


具体的にこの検証においては、2023年3月から2024年5月の間に、性機能障害の治療を求めてイタリアの複数の医療機関のいずれかで初めて受診をし、EDと診断された男性134名が最終的に登録され、 INTIMA、親密性恐怖尺度(FIS)、関係性質問票(RQ)を含む、検証済みの心理測定質問票シリーズのそれぞれに回答をしてもらったとの事で、 これらのデータからINTIMAを評価するため、探索的因子分析(EFA)と確認的因子分析(CFA)が実施されたとの事でした。


その結果、このツールは最適な再検査信頼性、優れたサンプリング適正性、高い内部信頼性、強い相関関係、有意かつ高い感度・特異度、そして優れた識別能力を示したとの事で、 また通常の臨床診療と実験の両方の場面で使用ができるという利点すらあり、 ED患者が治療に関する会話の中でパートナーを考慮する際の自信を医療関係者が測定するのに役立つと評価をしております。


本文献の研究グループが知る限り、この 『INTIMA』 はED治療を受けている患者さんにおけるバイアグラ・ジェラシー現象を測定するために開発された初めての心理測定ツールとの事で、 シンプルで使いやすいこの心理測定ツールはバイアグラ・ジェラシー現象と関係性の開放性を評価でき、 ED治療遵守やパートナーの関与に影響を与える可能性のある愛着関連の障壁を特定するための構造化された枠組みを臨床医に提供ができると、本文献では結んでおります。


4.【総合まとめ.バイアグラ・ジェラシー現象とその対策あるいはその測定ツールについて】

  • ―文献1.2004年の報告では、バイアグラ:シルデナフィルによって加療されたED患者の男性98名の女性パートナーにおいては、 その20%、つまり約5人に1人が男性のED加療に関して 『満足をしていない』 と回答をしていたとの事です。

  • ―文献2.2022年の研究報告では、こうした『満足していない』 と回答している女性パートナーは、男性のバイアグラ:シルデナフィルの使用に強く反対していると問題提起がされ、 そうした反対をしている人の中には、 こうした薬の使用が 『自分の性的魅力が失われた事を意味している』 と考えてしまい男性のED治療を阻害してしまう『バイアグラ・ジェラシー現象』 が存在する事が提唱され。 そしてその対策の一つとして目立たない治療であるODF:口腔内崩壊製剤のような剤形の使用があると提案しております。

  • ―文献3.2025年の研究報告では、こうしたバイアグラ・ジェラシー現象を判別するために開発された初めての心理測定ツール『INTIMA』は、 最適な再検査信頼性、優れたサンプリング適正性、高い内部信頼性、強い相関関係、有意かつ高い感度・特異度、そして優れた識別能力を示したとの事で、 本ツールは、EDの男性患者が治療に関する会話の中でパートナーを考慮する際の自信を医療従事者が測定するのに役立つと評価をしております。

  • ―総合まとめ.女性の5人に1人は男性側のバイアグラ:シルデナフィルによるED治療に満足をしていない可能性があり、 その中には、これらのED治療薬の使用に強く反対し治療を阻害してしまう『バイアグラ・ジェラシー現象』を呈している女性が含まれているリスクがあります。 そうしたケースにおいては、従来のバイアグラ:シルデナフィルとは違い、目立たない治療のニーズを満たせるODF製剤の利用が対策の一つとなり得る事、 またバイアグラ・ジェラシー現象を判別するための心理測定ツール『INTIMA』の利用が、それぞれ提案されております。

5.【Q&A|バイアグラ・シルデナフィルとバイアグラ・ジェラシー現象に関してよくある質問】


―Q1.『バイアグラを飲むと女性は嫉妬するの?』
A.必ずしも嫉妬をするわけではありませんが、ある研究では2割の女性パートナーが、男性のバイアグラ:シルデナフィルの服薬に不満足で、 その中にはバイアグラ・ジェラシー現象という、こうした薬の使用が自分の性的魅力が失われた事を意味していると考え、 その治療を阻害してしまう傾向、こうした現象が見うけられると報告をしております。


―Q2.『バイアグラ・ジェラシー現象があるとED治療は失敗しますか?』
A.性行為は男性・女性とで双方向性のものなので 女性側にバイアグラ・ジェラシー現象の傾向があると、 もちろんED治療に協力的にはなってきませんので、ED治療自体が頓挫してしまう可能性はあるかと存じます。


―Q3.『シルデナフィルは「浮気の薬」ではない?』
A.完全に誤解です。 本質的にEDの治療と浮気は分けて考えるべきです。 浮気は当人の気質の問題であり、血管機能障害であるED:勃起不全とは全く別の問題と言えます。 またバイアグラ:シルデナフィルは男性不妊症に対する治療の一環としても使用されているれっきとした局所血管拡張薬になります。


―Q4.『パートナーと一緒に受診をした方が良い?』
A.非常に有効とも思われますが、日本国内ですと男性側のナイーブさから、 ED治療専門施設は男性専用施設である事が圧倒的に多く、 カップルで受診出来る施設は非常に限定的かと思われます。


【引用文献】


1.The female partner's satisfaction with sildenafil citrate treatment of erectile dysfunction
Journal:Int J Urol. 2004 Sep;11(9):755-62. doi: 10.1111/j.1442-2042.2004.00894.x.
Author:Takaharu Ichikawa 1, Akira Takao, Daisuke Manabe, Michihisa Saegusa, Ryuta Tanimoto, Kenji Aramaki, Masaya Yamamoto, Toshiya Okazaki
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2.Orodispersible Film (ODF) Platform Based on Maltodextrin for Therapeutical Applications
Journal:Pharmaceutics Volume 14 Issue 10 10.3390/pharmaceutics14102011 9.
Author:Irma E. Cupone,Andrea Sansone ,Fabio Marra ,Andrea M. Giori,Emmanuele A. Jannini
※原著はこちら


3.The INTIMA: development and validation of a new psychometric tool for the evaluation of perceived ‘Viagra Jealousy’ in erectile dysfunction therapy
Journal:The Aging Male Volume 28, 2025 - Issue 1
Author:Daniele Mollaioli ,Andrea Sansone ,Tommaso B. Jannini ,Bac Hoai Nguyen ,Thang Cao Nguyen ,Quan Minh Pham ,Giacomo Ciocca &Emmanuele A. Jannini show less
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(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-03-16)

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