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『バイアグラ:シルデナフィルと男らしさに関しての文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介』

【専門医解説:バイアグラ:シルデナフィルと男らしさに関して】


バイアグラ:シルデナフィルと男らしさに関して

研究報告上では、ED:勃起不全症自体が男性性:男らしさの自意識を損なってしまう可能性が指摘されておりますが、 その一方で、男らしさを取り戻す為にEDに対してバイアグラ:シルデナフィルを使用している事は、主観的な視点での男らしさの自意識を損ねてしまう危険性があると報告がされております。 またED:勃起不全症ではないのに、バイアグラ:シルデナフィルを使用している状況については、 『客観的に』男らしくないと思われてしまうという可能性についても報告がされております。



『男らしさ』とは、医学的には『男性性:Masculinity』と言って、 これは遺伝子によって規程された生物学的な性とは別の『認識上の性』についてのものになり、心理的かつ社会的なものでも有ります。 具体的には「男性はこうあるべきだ」という理想的な属性、役割、行動様式の観念であり、強さ・経済力・競争心・感情の抑制などがその特徴として認識がされております。


ED:勃起不全症を発症された方は、 EDである事、またEDに対してバイアグラ:シルデナフィルなどの勃起改善薬を使用する事。 これらが『男らしさ』にどう影響するのか気になってしまう傾向があるかと存じます。 バイアグラ:シルデナフィルの服用をパートナーに見つからないようにするという心理的な背景には、 こうした事情も潜在しているものかとも思われます。


「ED:勃起不全症、バイアグラ:シルデナフィル、男らしさ」といった取り合わせのインターネット検索は、 こうした状況から発生している可能性もあるかと存じます。


そこで、こちらのページでは、バイアグラ:シルデナフィルと男らしさの関連についての研究文献、 まず一個目にご紹介させて頂きますのは『バイアグラ:シルデナフィルの適応疾患であるED:勃起不全症自体が男らしさにどう影響しているのか?』 二個目には『バイアグラ:シルデナフィルの使用は主観的視点において男らしさを損ねてしまうのか?』 三個目には『バイアグラ:シルデナフィルの使用は客観的視点において男らしさを損ねてしまうのか?』 以上について、検討をしている学術論文を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からわかりやすく、ご紹介させて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1.バイアグラ:シルデナフィルの適応疾患であるED:勃起不全症自体、男らしさに影響をするのか?】

ED:勃起不全症自体、男らしさに影響をするのか

バイアグラ:シルデナフィルの適応疾患であるED:勃起不全症、 この疾患自体が男らしさにどのように影響しているのか、これについて検討がされている研究をこちら文献1.ではご紹介をさせて頂いております。


こちらの研究は、 前立腺癌の治療によって、その副作用としてED:勃起不全症が引き起こされた方を対象に、その男らしさ:男性性、また社会心理的影響に関して、 横断的に解析をしたものになります。


具体的には1980年1月1日から2016年1月31日までの36年間に及ぶ、Medline/PsycINFO、CINHAL、EMBASEの3つのデータベースで検索された研究文献、 そこから最終的に英語で発表された査読付き論文52本(量的研究14本、質的研究38本)が対象に選定され、 これに対して横断的なレビューを行っているとの事で、 対象の男性は、主に北米における異性愛男性で、 これらの男性は限局的な前立腺癌に対して根治的前立腺摘除術を受けた方が中心となっているとの事でした。


その解析の結果として、 前立腺癌治療後に発生したED:勃起不全症の体験によって自己認識上、『男性性』すなわち『男らしさ』は明らかに損なわれている事が示されたとの事でした。 具体的には、このレビューにおける質的研究において、前立腺癌治療後にED:勃起不全症を経験した男性は、 一貫して「男性でなくなった」「男性らしさが低下した」と感じ、男らしさへの自認が損なわれ、 その結果として、それが抑うつ、羞恥、自尊心の低下、スティグマへの恐れと関連していたとの事でした。  ※スティグマとは、元々は暗示によって生じる皮下出血などを宗教的な聖痕:スティグマと呼んでいたものが、 社会学的に価値剥奪がみられる特定集団に属しているという『刻印づけ』の意味合いとして使用されるようになったという、その用語であり、 これは差別的体系を意味しているものでもあります。例えばうつ病を罹患されている方に、心が弱いという誤った認識を持つ事は社会的なスティグマに相当致します。


この質的研究の詳細においては、男性性=男らしさは、男性が自身の経験をどのように解釈し、それにどのように適応するかの基盤となっていたとの事で、 対象の男性は、感情の抑制、禁欲的態度、受容、楽観主義、ユーモアといった伝統的な対処行動を用いる他、 「年齢的にEDは避けられない」「延命を考えたらEDは小さな代償」、既に子供がいるなどの他の男性性の根拠、 あるいは過去の性的経験などと関連づけて、自身がED:勃起不全症である事を合理化して解釈していたとの事でした。 本文献では、こうした男性性:男らしさの自意識についてもED治療の介入の際に、取り入れられるべきものであると結んでおります。


このようにバイアグラ:シルデナフィルの適応疾患である所の『ED:勃起不全症』は、 36年分もの膨大な文献に対しての横断的研究において、 男性性:男らしさの自意識を損なってしまう疾患である事が示される結果となりました。


2.【文献2.バイアグラ:シルデナフィルの使用は主観的視点での男らしさを損ねてしまうのか?】

バイアグラ:シルデナフィルの使用は主観的視点での男らしさを損ねてしまうのか

上記、文献1.ではED:勃起不全症それ自体が、男性性:男らしさの自意識を損ねてしまう事を示した研究に関してご紹介をさせて頂きました。 続いてのこちら文献2.ではバイアグラ:シルデナフィルを使用する事が主観的視点において男らしさの自意識を損ねてしまうのか?に関して検討をしている研究についてご紹介をさせて頂いております。


こちらの研究は、 アフリカ有数の世界都市であるエチオピアの首都アディスアベバにおけるバイアグラ:シルデナフィルを使用している若年男性を対象に検討をしたものになります。 具体的には、21歳から35歳の異性愛男性14名のバイアグラ:シルデナフィル使用者に対する繰り返しの詳細インタビュー、 および男子大学生21名・女子大学生22名、合計43名によるフォーカスグループディスカッションを通じて収集されたデータ、以上を包括的に解析しているとの事でした。


研究対象者は 『恋人に良い印象を与えるため』『疲労や体力低下を感じた際のサポート手段』 などを目的にバイアグラ:シルデナフィルを使用していたとの事で、 また広い文脈においては、 女性側の性的パフォーマンスに対する期待の高まりに対しての『不安』を和らげるためにバイアグラ:シルデナフィルを使用していた方も、その対象者に内包されていたとの事でした。


こうした対象者のもつ認識には、変化していくジェンダーの関係性、性的能力を重視する傾向のある『男らしさ:男性性』、そしてアダルト動画による性交への誤解が影響しており、 バイアグラ:シルデナフィルの使用によって性的な自信を得た男性もいるその一方で、 男らしさを取り戻すためにバイアグラ:シルデナフィルを継続的に使用している状況自体によって、逆説的に「男性らしさの喪失感」を経験してしまう男性も確認されたとの事でした。


このようにバイアグラ:シルデナフィルの使用によって、主観的視点での男らしさ、この喪失を招いてしまうケースがある事が報告されており、 バイアグラ:シルデナフィルが男らしさを取り戻す薬として運用されているという状況を考えますと、この主観的視点での男らしさの喪失は多分に逆説的と思われる所でした。


3.【文献3.バイアグラ:シルデナフィルの使用は客観的視点での男らしさも損ねてしまうのか?】

バイアグラ:シルデナフィルの使用は客観的視点での男らしさも損ねてしまうのか

上記、文献1.ではED:勃起不全症が男らしさの自意識を損ねてしまうという報告について、 そして文献2.では男らしさを取り戻す為にバイアグラ:シルデナフィルを使用している状況によって逆説的に主観的視点での男らしさが損なわれてしまうという報告について、 それぞれ解説をさせて頂きました。 そして、こちら文献3.ではバイアグラ:シルデナフィルの使用が、『客観的に』男らしくないと感じさせてしまうのかどうかについて検討をした研究に関してご紹介をさせて頂いております。


こちらの研究では性的行動が『男性性:男らしさ』の社会的構築において果たす役割に関して解析をしており、 特に、男らしさに関するステレオタイプが「自己依存:自力で問題を解決すること」の重要性を強調しているという関係上、 バイアグラ:シルデナフィルの使用が否定的に捉えられてしまう可能性があるのかどうかについて検証をしております。


この研究内のそうした実験の一つとして対象者522名に対して行った検証では、 男性対象者は、女性パートナーが一貫してオーガズムに達している場合、より男性的であると評価がされましたが、 ED:勃起不全症の既往がないにもかかわらず、バイアグラ:シルデナフィルを使用しているという場合には、その客観的な評価は低下した、 すなわちEDでは無いのにバイアグラを使用している男性は 『客観的に男らしくない』 という評価がされたとの事でした。


また女性パートナーが一貫してオーガズムに達している場合であっても、EDの既往がない男性がバイアグラを使用している場合には、 使用していない場合に比べて性的自尊感情、つまり 『主観的な視点での男らしさ』 の評価も低くなってしまっていたとの事でした。


このようにバイアグラ:シルデナフィルの使用は本研究においては、ED:勃起不全症ではないのに本剤を使用している場合、 客観的に男らしくないと思われてしまう事が示されるという結果となりました。


4.【総合まとめ.ED:勃起不全症そしてバイアグラ:シルデナフィルと『男らしさ』について】

  • ―文献1.バイアグラ:シルデナフィルの適応疾患である所のED:勃起不全症の存在は、36年分の文献に対しての横断的な研究において、 男性性:男らしさの自意識を損なってしまう事が示されました。

  • ―文献2.バイアグラ:シルデナフィルの使用によって、主観的視点での男らしさ、この喪失を招いてしまう可能性がある事が報告されており、 バイアグラ:シルデナフィルが男らしさを取り戻す薬として運用されている状況を考えますと、この主観的視点での男らしさの喪失は、 多分に逆説的と思われる所でした。

  • ―文献3.ED:勃起不全症の既往がないにもかかわらず、バイアグラ:シルデナフィルを使用している男性は客観的に男らしくないと評価されてしまう傾向が報告されております。 また女性パートナーが一貫してオーガズムに達している場合であっても、EDの既往がない男性がバイアグラ:シルデナフィルを使用していると、 主観的な視点での男らしさの評価も低くなってしまう事が報告されております。

  • ―総合まとめ.ED:勃起不全症は男性性:男らしさの自意識を損なってしまう可能性が有ります。 しかし、男らしさを取り戻す為にEDに対してバイアグラ:シルデナフィルを使用している事も、主観的な視点での男らしさの自意識を損ねてしまうリスクが有ります。 またED:勃起不全症ではないのにバイアグラ:シルデナフィルを使用している状況は『客観的にも』男らしくないと思われてしまう可能性が有ります。

5.【Q&A | バイアグラ:シルデナフィルとED:勃起不全症、これらと『男らしさ』に関係した質問】


―Q1.『バイアグラを飲むと男らしくなりますか?』
A. 2016年のアジスアベバからの報告では、男らしさを取り戻す為にバイアグラ:シルデナフィルを服用した男性の中には、 逆説的に「男性らしさの喪失感」を経験してしまう者が確認されているとの事でした


―Q2.『シルデナフィルは自信を高める効果がありますか?』
A.ED:勃起不全症が発症している場合は、自信を損なう可能性のあるEDをバイアグラ:シルデナフィルが制御する事で、自信を取り戻す事も出来るかと思われますが、 2024年の研究によると、EDでないのに、バイアグラ:シルデナフィルを使用している場合では、 客観的にも主観的にも男らしさの評価が下がってしまう可能性があるとの報告されております。


―Q3.『若い人がバイアグラを使うのは問題ですか?』
A.若い人においても心因性EDなどの勃起不全症が発症する事はあります。 成人していて、既往歴・服薬歴や全身状態などの適応上にも問題が無いようであれば、 バイアグラ:シルデナフィルの使用は若い人であっても特に問題は無いかと思われます。


―Q4.『バイアグラを使うと男らしさが下がる事がありますか?』
A.2024年の報告によると ED:勃起不全症ではないのに、 バイアグラ:シルデナフィルを使用しているケースでは、 客観的にも主観的にも男らしさの評価が下がってしまう危険性があるとの事でした。


―Q5.『男らしさとEDの関係は?』
A.2016年の横断的なレビューの報告によると、 ED:勃起不全症は男性性:男らしさの自意識を損なってしまう可能性があるとの事でした。


―Q6.『男らしさとは何ですか?』
A.男らしさを『男性性』として、医学的に解釈をすると、 これは遺伝子によって規程された生物学的な性とは、別の『認識上の性』についてのものであり、また心理的かつ社会的なものでも有ります。 具体的には「男性はこうあるべきだ」という理想的な属性、役割、行動様式の観念であり、 その特徴としては強さ、経済力、競争心、感情の抑制などが有るとされています。


【引用文献】


1.Erectile dysfunction, masculinity, and psychosocial outcomes: a review of the experiences of men after prostate cancer treatment
Journal:Transl Androl Urol. 2017 Feb;6(1):60–68. doi: 10.21037/tau.2016.08.12
Author:Suzanne K Chambers, Eric Chung, Gary Wittert, Melissa K Hyde,
※原著はこちら


2.Sexual Activity before Sports Competition: A Systematic Review.
Journal:An International Journal for Research, Intervention and Care Volume 18, 2016 - Issue 5 Pages 495-508
Author:Rosalijn Both
※原著はこちら


3.Social Perceptions of Masculinity and Sexual Esteem Are Impacted by Viagra Use, Testosterone, and Sexual Performance
Journal:Archives of Sexual Behavior 13 May 2024 Volume 53, pages 2473–2488, (2024)
Author:Wayne R. Hawley, Bryn A. Cancilla, Julia L. Barnes & Gregory D. Morrow
※原著はこちら


(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-07-06)

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