1. ライフクリニック
  2. 用語集
  3. 「い」
  4. ED:勃起不全と浮気との医学的関係について、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から文献をご紹介

『ED:勃起不全と浮気との医学的関係について、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から文献をご紹介』

【専門医解説:ED-勃起不全症と浮気との関係】


ED:勃起不全症と浮気との関係

浮気をする男性は男性ホルモン作用が強く、また性機能が良好な傾向があり、どちらかというと『ED:勃起不全症的では無い方』が主体のようです。 また浮気とED:勃起不全症の重症度には負の相関関係があり、つまりEDが重症なほど浮気をしない傾向があるとも報告がされております。



2017年当時、俳優の船越英一郎さんとその元妻でタレントの松居一代さんとの間で起きた離婚騒動において、 松居一代さんがブログや動画などで船越英一郎さんを指して「バイアグラ100mg男」と呼んでいました。 こうしたメディアの影響もあってか、ED:勃起不全症やバイアグラ:シルデナフィルなどのPDE5阻害薬には『浮気』のイメージがつきまとうようになってしまい、 まるでED:勃起不全症があると浮気しやすくなるような印象を与えるようになったと感じる所が有ります。 おそらくこの頃ぐらいから、 インターネットにおいて 『ED 勃起不全症 浮気』のようなセットアップでの検索が増加しているものかと存じます。


日本性機能学会専門医の主催するED:勃起不全症の専門クリニックである、 当 『新宿ライフクリニック』にも、時に患者様の奥様と思われる方からお電話での問い合わせが来る場合がございますが、 そもそもバイアグラ:シルデナフィルなどのPDE5阻害薬を使用していたとしても正式なパートナーにその使用を内緒にしているケースは多く、 仮にご主人の持ち物と思われるバイアグラが見つかったとしても、それがダイレクトに浮気の証拠となるわけではございません。
※当院ではたとえご家族と名乗る方からのお問い合わせであったとしても、明確なご本人からの許可がない限り、 御本人の医療情報を説明する事は絶対にございませんので、どうぞご安心下さい。)


そもそも、ED:勃起不全症の方やバイアグラ:シルデナフィルのユーザーは、そんなにも浮気がちなものなのでしょうか? そうした疑念にお答えすべく、こちらのページでは、 浮気とED:勃起不全症の関係性に関して記載がされている3つの文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から、 これに私見を添えて、分かりやすく解説をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1.浮気する男性は男性ホルモン作用が強い?】

浮気する男性は男性ホルモン作用が強い?

男性のED:勃起不全症などの性機能障害と浮気はどのような関連性を持つものなのでしょうか? こちら文献1.にてご紹介する文献においては、そうしたテーマに関して研究した内容が記載されております。


本研究は、EDなど性機能障害で受診した異性愛の男性2592名(平均年齢55 ± 12.5歳)を対象として、 Structured Interview on Erectile Dysfunction(SIEDY)を用いてその評価を行い、 また包括的な身体所見、生化学的検査、ホルモン検査、陰茎血管評価などを実施したものになり、 その研究目的としては、EDなどの性機能障害と浮気など婚外関係の有無がどのような関連性をもつのかを明らかにする事でした。


その結果として、 浮気の発生は、パートナー女性との関係性における問題との関連性が高い事が統計的に確認され、 また、不倫を行う男性においては、アンドロゲン化:男性ホルモン作用が強い傾向、 およびパートナー女性の疾病リスク・性欲低下のリスクが高い傾向がそれぞれが確認されたとの事でした。
その一方、器質的要因の観点においては、浮気をしている男性は男性ホルモン関連障害の有病率が低く、性機能は良好な傾向が見られたとの事でした。


つまりこのこちらの観察研究の結果としては、 典型的な『浮気をする男性』は、 男性ホルモンの作用が強く、比較的性機能が良好で、パートナー女性との関係性に問題があって、またパートナー女性が疾病に罹患しているもしくは性欲の低下がある、 という傾向が見られたとの事でした。 この傾向から申し上げると、ED:勃起不全症の発症者あるいはバイアグラ:シルデナフィルなどED薬のユーザーは、 どちらかというと浮気しやすいと言うより 『浮気しにくい』 という事を示しているものかと思われます。


2.【文献2.パートナーと問題がある子育て中の男性は浮気をしやすい?】

パートナーと問題がある子育て中の男性は浮気しやすい?

上記、文献1.においては、2592名の男性の観察研究による 『浮気をしやすい男性』 の傾向に関してのご紹介をさせて頂きましたが、 こちら文献2.では2011年12月4日までに発表された既存の英語論文を網羅的に検索し、 その内容を解析したシステマティックレビューとメタアナリシスに関しての報告をご紹介させて頂いております。


本研究では、Medlineにて「unfaithfulness(不貞)」「extramarital affairs(婚外関係)」「infidelity(不倫)」「men(男性)」を検索語として包括的な文献検索を行っており、 その研究目的は、これらの文献データをまとめる事で、不貞や浮気の発生率、およびそれに関連する心理生物学的要因、性的要因、またリスク因子を探る事でした。


この解析の結果として、 まずは疫学的なレポートについてですが、調査上、年間1.5~4.0%の既婚男性が浮気による婚外性交を経験していて、 また現在の交際関係において23.2%の男性が浮気をしているとの事でした。 また浮気の生涯有病率は、15~50%の範囲と、報告によって幅広い傾向が見うけられたとの事でした。


また不倫に関連する因子の検索上においては、浮気による婚外関係を持つ男性は、 対人関係および性的側面の両方においてパートナー女性との関係性に問題が有る事、 子育て中の親である事、家庭内に問題が存在する事、 以上が不倫のリスク上昇と関連をしている可能性があるとの事でした。


また不倫をする男性の特徴としては、 アンドロゲン化:男性ホルモン作用が強く、精巣容積が大きく、性欲低下の有病率が低く、性機能が良好であるという傾向が示されたとの事でした。 また婚外関係を持つ事は男性の心疾患の罹患率および死亡率を増加させる可能性があるとも合わせて報告がされております。


つまりこの横断的研究のまとめとしては、 2割程度の男性が現在進行中の浮気をしている可能性があり、 また典型的な浮気をする男性は、家庭内もしくはパートナー女性との間になんらかの問題がある子育て中の男性である傾向があり、 その臨床的特徴としては、男性ホルモン作用が強く、精巣が大きく、性欲が維持されていて、性機能が良好、つまりED:勃起不全症的ではない傾向が有るも、 心疾患にはかかりやすくそれによって死亡しやすいというリスクもある、そうしたイメージになるかと存じます。


文献1.の結果もそうでしたが、人間関係や子育てなどについてはさておき、 ED:勃起不全症の発症者、あるいはバイアグラ:シルデナフィルなどのED薬のユーザーは、 どちらかというと浮気をしにくい事が、こちらの研究結果においても示されているように思われます。


3.【文献3.ED:勃起不全症の重症度が低いほど、浮気をする傾向がある?】

ED:勃起不全症の重症度が低いほど、浮気をする傾向がある?

文献1.の男性2592名を動員した観察研究においても、 文献2.の既存の英語文献を網羅的に解析した横断的研究においても、 浮気をする傾向にある男性は、男性ホルモン作用が強く、性機能は比較的良好な傾向が有る事が報告されておりました。


そこでこちら文献3.はいよいよ、6ヵ国と複数の国にまたがって、また7440人という大きな人数のED男性を動員した大型の観察研究のご紹介になり、 こちらの研究目的は、上記文献1.より直截に『ED:勃起不全と浮気などの不貞行為との相関関係』を調査する事になります。


その調査の結果として、 不倫などの不貞行為とEDの重症度との間には統計的に有意な負の相関関係が確認されたとの事で、 これは、EDの重症度が増すにつれて不倫などの不貞行為の可能性は低くなっていく事を指し示しております。


またアルコール摂取量と年齢は、不倫など不貞行為の重要な予測因子として特定はされましたが、これは国によって顕著な差が見られるとの事でした。 またAMS質問票を用いて測定した勃起機能に影響を与える、併存疾患、性行為頻度、性腺機能低下症の疑いなど、 ED:勃起不全以外の変数と浮気などの不貞行為との間には有意な関連性は見うけられなかったとの事でした。


4.【総合まとめ ― 浮気とED:勃起不全症との関連性について】

  • ―文献1. 2009年報告のEDなど性機能障害で受診をした異性愛の男性2592名における観察研究では、 浮気の発生は、パートナー女性との関係性における問題との関連性が見うけられ、 また、不倫を行う男性においては、アンドロゲン化:男性ホルモン作用が強い傾向、およびパートナー女性の疾病リスク、および性欲低下のリスクが高い傾向がそれぞれ見られたとの事でした。 また器質的要因の観点においては、不倫を行う男性では男性ホルモン関連障害の有病率は低く、性機能については良好な傾向が見られたとの事でした。

  • ―文献2. Medlineにて2011年12月4日までに発表された既存の英語論文を網羅的に検索し、 その内容を解析した2012年報告の横断的研究によると、現在の交際関係において約23.2%の男性が浮気をしていて、 婚外関係を持つ男性は、対人関係および性的側面の両方においてパートナー女性との関係性に問題が有るケースが多く、 また子育て中の親である、また家庭内に問題があるという傾向が見うけられたとの事でした。 一方、不倫を行う男性の特徴としては、アンドロゲン化:男性ホルモン作用が強く、精巣容積が大きく、性欲低下の有病率が低く、 性機能が良好である傾向が示されていたとの事でした。

  • ―文献3. 2025年報告の6ヵ国にまたがって7440人のEDの男性を動員した大規模な観察研究においては、 不倫などの不貞行為とEDの重症度との間には統計的に有意な負の相関関係が存在する事が確認されました。 これは、EDの重症度が増すにつれて不倫などの不貞行為の可能性が低下する傾向がある事を示唆しております。 また勃起機能に影響を与える併存疾患、性行為頻度、性腺機能低下症の疑いなど、 ED:勃起不全以外の変数と不倫などの不貞行為との間には有意な関連性は認められなかったとの事でした。

  • ―総合まとめ. 浮気をする男性はパートナーとの関係性に問題があり、男性ホルモン作用が強く、性機能は良好な傾向が認められ、 一方、ED:勃起不全症の重症度が増すにつれて不倫などの不貞行為の可能性は低下していく傾向があり、 複数の研究における共通の傾向は、船越さんの報道にて世間が持った印象とは、ほぼ逆の結果と思われました。 つまりED:勃起不全の方はそうでない方に比べて、浮気をしにくいという傾向がある事が2009年、2011年、2025年の研究報告において見受けられました。

5.【Q&A | 浮気とED:勃起不全症との関係について】


―Q1.「EDの男性は浮気しやすいのですか?」
A.いいえ。むしろ性機能は良好な方が浮気しやすいという複数の研究報告が有ります。


―Q2.「浮気がEDの原因になることはありますか?」
はい。浮気はパートナーに深刻な精神的ストレスを与えますので、 浮気が結果として心因性のEDの原因となってしまう可能性は大いにあり得るかと存じます。


―Q3.「EDでも性欲はありますか?」
A.EDはペニス局所の血管機能の問題で発生する事が多く、 これは脳で発生する情動である所の『性欲』との関連性は少ないかと存じます。 ですので、ED:勃起不全症の方でも性欲が顕在している事は大いにあり得ます。 ただ、その一方で性欲がなければ、 そもそも脳からペニスに勃起の指令が出る事は基本的には無いかと存じます。


―Q4.「EDと夫婦関係の改善には関係がありますか?」
A.夫婦間の問題が心因性のEDの原因となる事があるので、これは大いに関係があると思われますが、 その一方で2004年のバイアグラ:シルデナフィルで治療をしている男性の『女性パートナー』に対して調査をした研究では、 女性パートナーの5人に1人は、男性パートナーのED治療に対して『満足をしていない』とも回答しておりますので、 EDの改善が必ずしもパートナー女性の満足感を引き出しているという訳でもなさそうです。


―Q5.「ED治療で浮気の傾向は改善しますか?」
A.ED治療と浮気の傾向との改善の間には直接的な関連性は見うけられませんが、 研究報告上では性機能が良好な方が浮気をしやすいと報告がされておりますので、 そもそもEDの方は、EDでない方に比べて浮気をする傾向は低いと思われます。


【引用文献】


1.Psychobiological correlates of extramarital affairs and differences between stable and occasional infidelity among men with sexual dysfunctions.
Journal:The journal of sexual medicine. 2009 Mar;6(3);866-75. doi: 10.1111/j.1743-6109.2008.01140.x.
Author:Alessandra D Fisher, Giovanni Corona, Elisa Bandini, Edoardo Mannucci, Francesco Lotti, Valentina Boddi, Gianni Forti, Mario Maggi
※原著はこちら


2.Sexual and cardiovascular correlates of male unfaithfulness
Journal:J Sex Med. 2012 Jun;9(6):1508-18. doi: 10.1111/j.1743-6109.2012.02722.x. Epub 2012 Apr 17.
Author:Alessandra D Fisher 1, Elisa Bandini, Giulia Rastrelli, Giovanni Corona, Matteo Monami, Edoardo Mannucci, Mario Maggi
※原著はこちら


3.Infidelity in Men with Erectile Dysfunction and Its Association with the Severity of the Condition: A Comparative Analysis Across Six Ibero-american Countries.
Journal:Journal of sex & marital therapy. 2025;51(2);211-218. doi: 10.1080/0092623X.2025.2456317.
Author:Juan Manuel Martínez Preciado, Carolina Sandoval-Salinas, Héctor Corredor Ayala
※原著はこちら


(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-04-20)

日本性機能学会専門医証
※日本性機能学会について詳しくはこちら
新宿ライフクリニック院内看板
※新宿ライフクリニックについて詳しくはこちら



 ―このページの内容に関連した記事―