日本人の平均的なペニスの測定値は?
我々の陰茎の平均データはどのくらいでしょうか?
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日本人の陰茎データは?
【要約】
陰茎/ペニスの日本人のデータに関しては年代的に新しくかつ信頼性の高い測定値は希薄な状況であり、
性機能の専門外来でも古いデータを流用せざるを得ない状況です。
この状況には日本人において、ペニスというプライバシー性の高い部分の計測が、
一般的に難しい状況が影響していると言えます。
しかし、それでは患者さんの陰茎に関する悩みに対応しきれない場合が有るという事で、
複数の性機能外来に受診した日本人成人男性241例のペニスの測定値が報告されています。
それによれば非勃起状態のペニスのデータの内、長さ:すなわち陰茎長の平均値は8.20±1.21㎝、
そしてペニスのデータの内、太さ:すなわち陰茎周囲長の平均値は8.32±0.78㎝との事でした。
時に陰茎のサイズは大きすぎる事で女性に性交疼痛症を引き起こす可能性があり、
性行為という観点においては相手の女性に対してペニスが相対的に大きすぎる事は望ましいとは言えません。
男性ならば誰しもが経験が有るかも知れません。
友達とお風呂に入ってのペニスのサイズの比べっこです。
だれだれの陰茎は大きいやら小さいやら、
こうした状況では一般的にペニスが大きい方が「すごい」という扱いになりがちです。
これは日本人だけの傾向でなく、海外でもそのようで、
海外の一般男性用のポルノ雑誌の中には、
自己投稿による陰茎の大きさ自慢のコーナーが収載されているものがあると聞いた事が有ります。
しかし、我々日本人は陰茎の大きい・小さいを語れるほど、多くのペニスを見てきているでしょうか?
陰茎の大きさの平均データを実感出来るほどに他の人のペニスを見ているでしょうか?
アダルトビデオは作品の演出上や画像の見栄え等の観点から、
陰茎が十分に大きいと客観的に判定可能な俳優を使っている可能性が高いので、
これを何本見ていても、日本人のペニスの大きさという尺度は得られないと思われます。
例えば、身長は隠し様の無いものです。通常の日本人的社会生活をしていれば、
数多くの他人の体の大きさを目にする事になり、
ある意味、平均身長を聞かなくても、
我々はだいたい自分の体が大きめなのか小さめなのかというデータ的実感を持っています。
一方の陰茎は前提として隠された場所なので、その大きさのデータ的実感を得られるほど、
人のペニスを見ているという事はあまりないでしょう(泌尿器科医・性機能専門医は除いてですが…)。
そうすると日本人である自分の陰茎の大きさを比較検討するには、
日本人の陰茎の大きさに関する、信頼できる最近のデータが必要という事になります。
しかし体格の良くなった近年の日本人における、 信頼出来るペニスの測定データは、実はとても希薄な状況です。 実際、性機能の専門外来でも陰茎の大きさに悩みをもって来院する患者さんに提示できる、 最近の日本人のデータが希薄なので、 ペニスの大きさに関して相対比較した話がし難い傾向は否めません。
そこで今回、新宿ライフクリニックからは、 最近の複数の性機能外来に受診した日本人男性の陰茎の平均データに関する報告を軸に、 ペニスの大きさなどの平均データが希薄な理由や、 医学的見地から見た陰茎のサイズの問題などに関して記載させて頂きました。 どうぞご参照下さいませ。
この報告は、性機能障害の専門外来に受診された241例の日本人男性における陰茎の大きさを主体としたデータに関してのものであり、 医学的に高く信頼できるものです。
この日本人241例は年齢が21歳から86歳に分布しており平均年齢が51.1±14.7歳、 平均身長が168.61±7.03㎝との事でした。 ペニスのデータにおける長さは平均で8.20±1.21㎝、一方ペニスのデータにおける太さは8.32±0.78㎝との事でした。 ペニスの長さは陰茎の背中の根元から亀頭の先端までを計測しており、 ペニスの太さは陰茎の中央部よりやや根元の周囲長を計測しているとの事です。 そしてこれらのデータはもちろん全て非勃起状態の計測値になります。
また、これらの日本人のデータに関しての統計的解析ですが、 陰茎の大きさに関しては長さも太さも、年代間に有意な差は見られず。 またこちらのデータでは身長とペニスの大きさに関しても特にこれらが相関するといった統計的関係性を示す事はなかったとの事でした。
身長の大きい人の方がペニスが大きいとか、身長の小さい人の方がペニスが大きいとか、 陰茎の大きさと身長にかかわる俗説は多々ありますが、 この報告では身長とペニスの大きさはあまり関係ないと言う結果でした。 ただ陰茎の大きさにおける太さと長さの間には強い相関関係が確認されたとの事です。
日本人の陰茎のデータに関して信頼できる近年の報告をご紹介させて頂きました。 ただ241例というのは、日本人男性全体の平均を示すには残念ながら少ないと言わざるを得ません。
実は日本人男性6000万人強のペニスの平均データを示すには相当数のサンプルが必要であり、これは一朝一夕には揃いません。
そして身長や体重ならいざ知らず、陰茎の測定値には希薄である、あるいは集めづらい大きな理由が有ります。
例えばある日ご自身が「日本人のペニスの大きさに関してデータを集めているのでご協力下さい」と言われたとします。
ご自身はご協力されますでしょうか?
これは、性機能専門医であるわたくしですら躊躇します。
見知らぬ他人に陰茎の大きさを計測してもらうのも嫌ですし、
自分で計測したペニスのリアルな大きさを見知らぬ方に知られるのも嫌なものです。
こうしたものは相当の匿名性、またデータ収集者への信頼、または謝礼が無ければ、
ほとんどの方は協力しないのではないでしょうか?
この状況は陰茎と言う部分のプライバシー性の高さがデータ収集における障害となっている事を端的に示していると言えます。
まさにここが日本人のペニスの大きさなどに関するデータが希薄であるという理由の最大のポイントです。
特に勃起時の陰茎の大きさに関しては収集の困難さというハードルは更に上がります。
ED/勃起不全などの性機能障害を考えると性機能において大切なのは非勃起時よりも勃起時のペニスの大きさと言えますが、
勃起はいつでもどこでも出来るわけではありませんので、データ測定のタイミングも難しければ、
情報のプライバシー性も更に跳ね上がるので、情報を提供してくれる人は更に大きく減るでしょう。
当新宿ライフクリニックでもEDに対して勃起改善薬(PDE5阻害薬)などを処方するに当たって、
「自分は通常、陰茎はこのぐらいのサイズなのですが、
これらの勃起改善薬をつかった場合勃起時はどのくらいのサイズになるでしょうか?」
と言った質問を頂く事がありますが、
近年の成人における勃起時と非勃起時の陰茎サイズ、
信頼できるそうした平均的対照データが無いので、
これにはなんとも回答に窮してしまいます。
(勃起改善薬の使用感などに関しては別項にてまとめてあります。よろしければご参照下さいませ。
⇒使用報告)
「知りたいけど、わからない」
極プライベートな悩みに対応するために日本人のペニスの大きさなどのデータは、
とても必要性が高いのですが、極プライベートな体の部分がゆえにデータが集めずらい。
まさに日本人の陰茎の大きさというデータ自体が持つジレンマではないでしょうか?
日本人のペニスの大きさなど平均値データが希薄な理由を上記しました。 しかし果たして、こうした身体局所のデータはどの程度の必要性があるのでしょうか?
じつは陰茎の平均的な大きさは性機能外来ではとても必要性が高いデータなんです。
なぜならば「自分はペニスが小さい…」と一人悩んでいる方は結構多くいて、
そうした方が外来に相談に来るからです。
しかし日本人のペニスの大きさ、その平均値データは希薄な状況なので、
こうした悩みで受診されるほとんどの方は主観でそのように判断されており、
医師側として客観的には「そうでもなさそうだが…」と感じる事は多々あります。
ただそれを客観的に解説しようにも、同様に陰茎の大きさに関する近年の信頼できる大きなデータがないので、
説明がとてもし難く、フワっとした話に終始してしまう事は否めません。
日本人のペニスの大きさに関する大きなデータの収集の困難さはわかっていながらも、
やはりそれを求めてしまうのは、こうした外来での説明時が主体と言えます。
ただ一方でこうした日本人の陰茎の大きさに関する大きくかつ信頼が出来るデータが集められたとしたら、
その存在は二次的な問題を生み出す可能性があります。
それは、はっきりした平均値が存在する事で、
「自分は平均値よりペニスが小さいので大きくしたい」と受診者の悩みも具体性をもってしまう事です。
しかし、性機能専門医として思いますに、
一般的なセックスが出来ている状況においては、
より陰茎のサイズが大きくなる事を本人でなく、パートナーである女性側が希望する事はそんなに多くないように思われます。
日本人の近年の陰茎データ、そしてそうしたデータ収集の困難さなど、様々な事を記載させて頂きましたが、 最後の項目であるコチラでは「ペニスの大きさは本当に重要なのか?」を性機能専門医の視点から記載させて頂きます。
日本人男性の間では「ペニスは大きい方が良い」という共通理念が存在する事は否めません。 しかし女性にとってはどうなのでしょうか? アダルトビデオなどを代表する性的なフィクションはさておき、 実際に医師としてコミュニケーションがあった女性で、 「ペニスは大きい方が良い」といった発言をお伺いした事は実は皆無です。 むしろ性機能障害としての性交疼痛症から「大きな陰茎だと痛い」という発現を頂く事の方が、 多い様に思われます。
婦人科領域疾患になるのですが「性交疼痛症」という女性の病気が有ります。 この疾患はセックス、その挿入の際に痛みを感じる事が多く、それが自制範囲を超えた状況を示しています。 この疾患は膣周囲の筋肉の防御的緊張や炎症、膣の萎縮性変化など様々な発症原因がありますが、 実はシンプルにパートナーと性器のサイズが合わない、 もっと言うと自身の膣に対して相手のペニスが大きすぎるというパートナー間での性器サイズの問題も影響します。
結論から言うとペニス/陰茎のサイズは重要と言えます。
しかしそれはペニスが大きければ良いというものではなく、
セックスがパートナー無しでは成立しない生理的行為であるという観点からは、
パートナーと性器のサイズがおおよそ合っているかが肝要と思われます。
「自分はペニスが大きくない…」、このように悩まれている方は潜在的に多いのではないかと思われます。
しかしその大小はほとんどの場合、ご本人の主観に基づくもので、
経験上パートナー女性はそこに問題を見出していない事が多い様に思われます。
こうした性器に関する悩みは、一人で悩まずに大切なパートナーに相談して見る。
これも一つ、悩みの解決に向かうための近道なのかも知れません。
新宿ライフクリニックでは男性のED/勃起不全や早漏症の悩みに対応したクリニックです。
こうした日本人の陰茎データなどの質問にも対応可能ですので、
東京は新宿駅近傍にいらっしゃる時はぜひ御来院を。
スタッフ一同皆さまの御受診をお待ち申し上げます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)