医学的な避妊方法もバリエーションが段々と増えてきましたが、
同じ経口の避妊薬でも現在、 『低用量ピル』 と呼ばれるものと 『性交後ピル』 と呼ばれるものとが有ります。
低用量ピルは、通称 『ピル』 、正式には 『低用量経口避妊薬』 と言います。
一方、性交後ピルは、通称 『事後ピル』 、正式には 『緊急避妊薬』 と言います。
この二剤は共に避妊を目的として使用される上に、名称も似ているので紛らわしく、 特に後発で出てきた性交後ピル:緊急避妊薬については、 未だに良く分らない人の方が、多いのではないかと思われます。
そこで、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が、性交後ピルとはどんなものなのかを、
緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な3つの違いをもって、分かりやすく解説させて頂きます。
よろしければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
性交後ピルとは、どんなものなのか?
緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な違いに関して、
最初に解説させて頂きますのは 『使用状況の違い』 についてです。
まず低用量経口避妊薬ですが、これは日常の計画的な避妊がその使用状況の主体です。 使用状況のイメージとしては避妊を必要としていて、かつ定期的に性行為をするカップルですね。
一方の性交後ピル、緊急避妊薬は、上記の低用量経口避妊薬と違い、 定期的に服用して避妊効果を示すものではなく、 性行為後の緊急措置的な避妊がその使用状況の主体になります。 使用状況のイメージとしては、コンドームが外れてしまう等の避妊の失敗、 また性犯罪被害の事後対応などになります。
このように緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な違いには、 こうした使用状況、特にその使用状況の緊急性が有ると言えます。
性交後ピルは、どういったものなのでしょうか?
緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な違いに関して、続いて解説させて頂きますのは、
『使用方法の違い』 についてです。
まず低用量経口避妊薬ですが、これは使用方法として、定期的に服用するものになります。 定期的な服用方法も、28日連続で服用するものと、21日連続で服用して7日休薬するものと、二種類有ります。
2日以上連続して飲み忘れがあった場合などは服用中止になり、次の月経を待って投与を再開する事になってしまうので、 低用量経口避妊薬は、とにかく忘れずにキチンと服薬をする事が、使用方法上とても重要です。
一方の性交後ピル、緊急避妊薬は、妊娠が疑わしい性行為後の72時間以内に使用します。 すでに妊娠している初期もしくは中期に、この緊急避妊薬を飲んでしまうと、女性胎児の外性器の男性化、 または男性胎児の女性化などが発生してしまうので、 使用方法においては、投与前に、既に妊娠しているかどうかを確認する事がとても重要です。 なお、この緊急避妊薬の使用を繰り返す場合は、より避妊効果の安定している低用量経口避妊薬の定期的な使用が推奨されます。
このように性交後ピルと低用量経口避妊薬の主な違いには、 使用方法、特にその服薬タイミングが有ると言えます。
性交後ピルは、どういったものなのでしょう?
緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な違いに関して、続いて解説させて頂きますのは 『妊娠率の違い』 についてです。
まず低用量経口避妊薬ですが、こちらは報告によっても変わってきますが、 妊娠率 (避妊の失敗) は0.1~0.3%と報告されています。 一方の性交後ピル、緊急避妊薬に関しては、市販後調査結果上では妊娠率 (避妊の失敗) は0.7%と報告されています。
これはシンプルに比較すると、緊急避妊薬が、低用量経口避妊薬よりも2倍から7倍ほど妊娠しやすい計算になります。 この妊娠率の違いは、それぞれの薬剤システムの違いによるもので、 低用量経口避妊薬は定期的に服薬する事で、きっちりと排卵を抑制する上に、子宮内膜変化による着床阻害作用、 そして頸管粘液変化による精子通過阻害作用など複数の避妊に向けた作用が働くので、 スポットで使用する緊急避妊薬に比べると、 妊娠を防ぐ作用に安定感があり、 それが妊娠率の違いに影響しているものと思われます。
このように緊急避妊薬と低用量ピルの主な違いには、 こうした妊娠率、つまり避妊の失敗確率の違いが有ります。
以上、性交後ピルとはとんなものなのか? 緊急避妊薬と低用量経口避妊薬の主な3つの違いに関して日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きました。
なお本ページでは、性機能医療啓蒙の一環として性交後ピルに関しての解説をさせて頂いておりますが、
当新宿ライフクリニックは、産婦人科専門医の施設ではなく、日本性機能学会専門医による男性の性機能専門のクリニックになるので、
本文中の経口避妊薬に関しては取扱いがございません。
申し訳ございませんが、経口避妊薬はお近くの産婦人科専門医在籍の施設で何卒ご相談下さいませ。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-05-18)
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