1. ライフクリニック
  2. 用語集
  3. 「し」
  4. シアリス:タダラフィルの効果とにんにくに関連した文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介

『シアリス:タダラフィルの効果とにんにくに関連した文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介』

【専門医解説 シアリス:タダラフィルの効果とにんにくとの関係とは?】


シアリス:タダラフィルの効果とにんにくとの関係とは?

にんにくに含まれるアリシンという成分は硫化水素ドナーとして作用しますが、この硫化水素ドナーは動物実験にて有意な勃起を引き起こす事が報告されており、 実際にシアリス:タダラフィルが効かなかった男性に、にんにくを併用した所、有意な勃起の改善効果が見られるようになったという研究報告もございます。 ただし、このアリシンを体内に取り入れるには、にんにくを刻むなどの加工が必要になる事、また本成分が加熱によって分解・消失してしまう事があるので、 いくつかの注意が必要な所が有ります。



にんにくは、ユリ科の植物の球根部分で、すでに紀元前3000年頃には人類によって食用として運用されていたとの事です。 にんにくはアリインなど固有の栄養素の他、 ビタミンB群、またリンやカリウムなどの電解質を含んでおり、 その豊富な栄養分から我々、人類の生活を古来より支えてきた大切な食品の一つと言えます。


その独特の香気、また豊富な栄養分から 『精力』 という『性機能を暗に示すもの』の向上が見込めると古くから各地で信じられておりましたが、 近年の研究においては、このにんにくに含まれている成分が、 勃起改善薬であるシアリス:タダラフィルの作用を助けてくれるという可能性が示唆されるようになってきました。


にんにくは元々、その特有の成分から薬剤に対しても影響を与えてしまう事が知られており、 その一例としては、にんにくが元々持つ血液への抗凝固の作用は、 『ワーファリン』などの心房細動などにおいて血液をサラサラに維持する為の薬品などに対して、 その効果を不必要に向上させてしまう事によって、出血傾向を引き起こしてしまうといったリスクもあり、 ワーファリンを服薬されている方などは、ニンニクの過剰摂取には気をつけるべき所が有ります。


こうしたにんにくの成分が、このワーファリン以外にも、勃起改善薬であるシアリス:タダラフィルに対して影響を与えるというお話なのですが、 こちらは上述したワーファリンへの悪影響のケースとは違い、むしろポジティブな影響のお話になります。


現在、インターネット検索上などで『シアリス タダラフィル にんにく 効果』といったセットアップでの検索が増加して来ている状況は、 こうした研究結果の影響も一つ有るのでは無いかと思われる所です。


こちらのページでは、シアリス:タダラフィルの効果とにんにくに関連をしている海外の研究文献を、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から、これに私見を添え、わかりやすくご紹介をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


なお蛇足かも知れませんが、新宿ライフクリニックでも行っております『にんにく注射』とはこのにんにくがそのまま入っている訳では無く、 不足する事で倦怠感を覚えがちな栄養素『ビタミンB1』がにんにくに似た芳香を放つために、 ビタミンB1注射がこのような名称になったという経緯がございます。


1.【文献1.にんにくはシアリス:タダラフィルとは別のシステムで勃起改善に関わる】

にんにくはシアリス:タダラフィルとは別のシステムで勃起改善に関わる

上述させて頂いた、にんにくに豊富に含まれるアリインという成分は、にんにくが調理の過程で刻まれたりする事によって、 酵素の作用でアリシンという匂いの強い物質に変換されます。 このアリシンという物質は人間の体内にて『硫化水素』を生成・放出する有機の『硫化水素ドナー』として作用する事が出来ます。 そして、この『硫化水素』こそが今回ご紹介する研究達の主役、つまり勃起改善に関わる可能性がある物質になるのです。
※『ドナー』と聞くと一般的には臓器移植などにおける『臓器提供者』などを連想するものかと思われますが、 薬理学における「ドナー」とは体内で特定の分子を放出する物質の事を示しており。 この場合の『硫化水素ドナー』とは、体内で硫化水素を放出する物質の事を指し示しております。


こちら文献1.でご紹介させて頂く研究においては、にんにくと同様の『硫化水素ドナー』が体内にて硫化水素を発生する事で陰茎の血管拡張に関わる、 すなわちED:勃起不全の改善に作用するという可能性に関して検討がされたものになります。


勃起とは、陰茎の血管拡張によって白膜という頑丈な膜の内側で海綿体に血液が蓄積する事で発生する生理現象ですので、 この『陰茎の血管拡張』とは、勃起の成立上、実は最も大事な要素とも言え、実際にシアリス:タダラフィルなどの勃起改善薬も、 一酸化窒素が活動しやすい環境を作る事でカリウムチャネルを開口し陰茎の血管を拡張する事で勃起改善効果を実現している薬剤になります。


こちらの研究は、ラットに対してにんにくと同様の硫化水素ドナーである『硫化ナトリウム』などを陰茎の海綿体に投与する事で勃起が有意に引き起こされるのか? また複数のチャンネルの阻害薬などを使用する事で、どのチャンネルを使用して硫化水素ドナーがペニスの血管拡張に関わっているのか? これらについて検証を重ねております。


この検証の結果として、 硫化水素ドナーである『硫化ナトリウム』 はラットの陰茎にて有意な勃起を引き起こす事に成功したとの事でした。 またカリウムチャンネル阻害薬などの各種阻害薬の投薬による反応の違いから、 この硫化水素ドナーによる勃起反応は『BKチャンネル』を介したものである事が判明したとの事でした。
※『BKチャンネル』(大コンダクタンスCa依存性Kチャンネル)とは、 細胞内のカルシウム濃度上昇と膜電位脱分極の両方によって、カリウムチャネルを開口させる事で血管拡張に関わるというチャンネルの事になります。


また一酸化窒素合成阻害薬がこの硫化ナトリウムの作用に対して悪影響を及ぼさなかった事から、 にんにくなどの硫化水素ドナーは、シアリス:タダラフィルのように一酸化窒素を介した カリウムチャンネルの開口をしていない事が合わせて確認されたとの事でした。 つまり硫化水素ドナーはシアリス:タダラフィルとは別のシステムで勃起を引き起こしているという事になります。


本文献においては、にんにくに含まれるアリシンなどの硫化水素ドナーは上記のBKチャンネルを介した勃起作用を示すので、 薬剤に対する反応が不十分な場合の勃起不全治療において、この硫化水素ドナーが有用となってくる可能性がある事をもって最終的な帰結としております。


特に一酸化窒素の生体内利用が低下している場合などにおいてはシアリス:タダラフィルの効果は思うように出ないような事も想定されますが、 そこで一酸化窒素と関係無く機能を発揮する『にんにく』などの硫化水素ドナーは、シアリス:タダラフィルと共にに力を合わせてカリウムチャンネルの開口に作用する事で、 これらの薬剤のサポート役として機能してくれる可能性があると、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医としては思われる所でも有ります。


次にご紹介する文献2.においては、実際にシアリス:タダラフィルが思うように効果を示さない患者さんにおいて、 シアリス:タダラフィルに、この『にんにく』を併用する事で、 勃起改善の効果が向上するのかどうかを調べた研究に関してご紹介をさせて頂いております。


2.【文献2.にんにくがシアリス:タダラフィルの勃起改善作用を手助けしてくれる可能性】

にんにくがシアリス:タダラフィルの勃起改善作用を手助けしてくれる可能性

上記文献1.では、『にんにく』などに含まれるアリシンなどの硫化水素ドナーが、 シアリス:タダラフィルとは別のシステムからカリウムチャンネルの開口による血管拡張に関わる事から、 シアリス:タダラフィルなどの薬剤が思うように効果を示さない場合のヘルパーとしてアリシンなど硫化水素ドナーが活躍ができるかも知れないという可能性に関して解説をさせて頂きました。


こちら文献2.では実際に、にんにくがシアリス:タダラフィルのヘルパーとして活躍ができるのかどうかを人間で検証した実験に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から、ご紹介をさせて頂いております。


こちらの研究では、シアリス:タダラフィル単独では十分な勃起改善効果が得られなかったED患者さんを対象として、 硫化水素ドナーとしてのにんにくをシアリス:タダラフィルと併用させる事で、 勃起の改善効果が向上するかどうかを検証したものになります。


本研究はプラセボ対照・前向き・無作為化・2群並行デザインのパイロット試験であり、 具体的な方法としては、シアリス:タダラフィルの投薬によって持続的な勃起機能の改善が得られなかったED患者さんを募集し、 集められた対象者をにんにく5g1日2回経口投与する群と、プラセボ:偽薬を投与する群に無作為に割り付け、 また両群ともにタダラフィルを毎晩4週間継続して併用したとの事でした。


また勃起機能に関しては、試験開始時および4週間後にIIEF-EFを用いてその評価を行い、 得られたデータを統計学的に比較検討したとの事でした (統計学的有意差はP値 ≤ 0.05にて規程)。
※『IIEF-EF』(International Index of Erectile Function - Erectile Function domain)とは、 国際的に標準化された勃起機能の自己評価アンケート「IIEF」のうち、 特に勃起力(勃起の維持・硬度)に焦点を当てた6項目(Q1〜Q5、Q15)のドメインスコアの事になり、 ED(勃起不全)の診断、重症度分類、治療効果判定に用いられる指標となっております。 合計は30点が満点と規程されております。


その比較検討の結果として、 硫化水素ドナーである、にんにくをシアリス:タダラフィルに併用投与した群においては、 4週間後のIIEF-EFスコアがプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示す事に成功したとの事でした(P ≤ 0.0001)。 この結果から本文献では、シアリス:タダラフィル単独では十分な反応が得られなかったED:勃起不全症の患者さんに対しては、 硫化水素ドナーとして、にんにくを補助的に使用する事は有益となる可能性が高いという事を結論としてまとめております。


ただし新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医として蛇足ながら注釈を加えさせて頂きますと、 にんにくにおいて硫化水素を供与してくれる成分であるアリシンは、にんにくを刻んだりと加工をしないとアリインからアリシンへの変換がされない事、 またアリシンは80℃以上の加熱にて分解・消失してしまう事、以上から、 もしにんにくを硫化水素ドナーとして運用したいのであれば、まず刻む事、そしてあまり加熱しない事、 これらが必要となりますので、 合わせてご参考にされて下さい。


なおにんにくには、上記のようにワーファリンなどの薬物との併用上の問題、 また血圧低下・抗凝固作用などの問題もありますので、 基礎疾患のある方は必ず医師にお伺いになってからこうしたトライアルをされますようお願い申し上げます。


3.【総合まとめ.シアリス:タダラフィルの効果とにんにくとの関係】

  • ―文献1.にんにくに含まれるアリシンという成分は、人間の体内で硫化水素を生成・放出する硫化水素ドナーとして作用しますが、 この硫化水素ドナーはラットにおいて有意な勃起を引き起こすという事が実験において確認されております。

  • ―文献2.シアリス:タダラフィル単独では十分な勃起改善効果が得られなかったED患者さんに、 硫化水素ドナーである、にんにくをシアリス:タダラフィルに併用投与する事で、 有意な勃起機能の改善が見られるようになったたという実験結果が報告されております。

  • ―総合まとめ.にんにくは、シアリス:タダラフィルとは別のシステムによってカリウムチャンネルを開口し、血管の拡張に関わる事から、 シアリス:タダラフィルが思うように薬効を示さないED:勃起不全症への補助的ポジションとして、このにんにくが活躍できるという可能性が示唆されております。 しかしにんにくを硫化水素ドナーとして運用するのであれば、まずこれを刻む事、そしてあまり加熱しない事が肝要であり、 またワーファリンなどの薬物との併用上の問題、またにんにくには血圧低下・抗凝固作用の問題があるので、 こうした運用の前には必ず医師にお伺い頂いた方が宜しいかと思われます。

4.【Q&A | シアリス:タダラフィルの効果とにんにくに関しての質問】


―Q1.『シアリスとにんにくは一緒に飲んでも大丈夫?』
A.ワーファリンなどの薬剤においては、にんにくを多量に併用摂取する事で出血傾向などの問題が発生してしまう可能性が有りますが、 シアリス:タダラフィルなどに関しては特に、にんにくと併用する事で健康上の問題が発生する事は無いかと思われます。 ただし、シアリス:タダラフィルの効果をしっかりと引き出すには空腹時での服薬が望ましいです。


―Q2.『にんにくはEDに本当に効くの?』
A.にんにくに豊富に含まれるアリインが刻むなどの加工に伴って変換される『アリシン』、これは硫化水素のドナーになりますが、 研究上、同様の硫化水素ドナーがラットに有意な勃起を引き起こす事が報告されておりますので、 アリシンを効率良く摂取する事ができれば、同じ哺乳動物の人間においてもED:勃起不全の改善効果が見られる可能性が示唆されております。


―Q3.『タダラフィルが効かなくなった人への効果は?』
A.2024年に発表された前向きランダム化プラセボ対照二群間試験によると、 シアリス:タダラフィルが効かなくなった人に対して、にんにくを併用投与したという群においては、 有意な勃起の改善効果が示されるようになったという事が報告されております。 ただし、にんにくの加工上、にんにくを刻む事、また80℃以上に加熱しない事、 この二点が必要と思われます。


―Q4.『どのくらいの量のにんにくが必要?』
A.2024年に発表された前向きランダム化プラセボ対照二群間試験によると、 80℃以上に加熱されていない、かつ細かく加工された、 にんにく5gを4週間1日2回経口で、シアリス:タダラフィルに併用する事によって、 シアリス:タダラフィルが効かなくなった人に対しても有意な勃起改善効果が示されるようになった事が報告されております。


―Q5.『加熱したにんにくでもいい?』
A.にんにくは加熱すると、血管拡張に働き勃起を引き起こす可能性がある『硫化水素ドナー』である所のアリシンが分解・消失してしまうので、 この場合、80℃以上の加熱は望ましく無いかと存じます。


―Q6.『副作用はある?』
A.にんにくの多量摂取による副作用として一般的なのは、 降圧作用による症状、抗凝固薬との併用による出血傾向、 これらが代表的ですが、特に重大な副作用は少ないとされてはおります。


【引用文献】


1.Analysis of erectile responses to H2S donors in the anesthetized rat
Journal:American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology Volume 309, Issue 5
Authors: Ryan C. Jupiter, Daniel Yoo, Edward A. Pankey, Vishwaradh V. G. Reddy, Justin A. Edward, David J. Polhemus, Taylor C. Peak, Prasad Katakam, and Philip J. KadowitzAuthors
※原著はこちら


2.Prospective, randomized, placebo-controlled, two-arm study to evaluate the efficacy of coadministration of garlic as a hydrogen sulfide donor and tadalafil in patients with erectile dysfunction not responding to tadalafil alone – A pilot study
Journal:Indian J Pharmacol. 2024 Sep 10;56(4):242–247. doi: 10.4103/ijp.ijp_310_23
Author:Gajanan Shripad Bhat , Anuradha Shastry
※原著はこちら


(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-07-20)

日本性機能学会専門医証
※日本性機能学会について詳しくはこちら
新宿ライフクリニック院内看板
※新宿ライフクリニックについて詳しくはこちら



 ―このページの内容に関連した記事―