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『シアリス:タダラフィルとチョコレートのおかしな関係について記載された文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介』

【専門医解説 シアリス:タダラフィルとチョコレートの関係とは?】


シアリス:タダラフィルとチョコレートの関係とは?

シアリス:タダラフィルの苦みが気になる方の為に、本剤とチョコレートとを混ぜ込んだ製剤の開発が化学者により研究されております。 またその一方で、真逆の話になりますが違法に薬理成分であるシアリス:タダラフィルを含有させているチョコレートが密売されており、 チョコレートの中にこうした成分が潜んでないかを検証する方法に関しても化学者により研究が進められております。 このようにシアリス:タダラフィルとチョコレートの間にはお菓子だけに 『おかしな』 関係性が見うけられます。



シアリス:タダラフィルは、バイアグラ:シルデナフィル、レビトラ:バルデナフィルと並んで、EDの一過性の改善に効果をもつ処方箋医薬品で、 ペニスに局所性の高い血管拡張効果を引き起こす事でED:勃起不全症を改善させる事が出来ます。 また近年では前立腺肥大症や、肺高血圧症などにもその薬理成分が応用されており、マルチな活躍を見せてもおります。


一方、チョコレートの原料であるカカオは紀元前2千年頃から嗜好品もしくは薬用として中央アメリカにて用いられてきました。 バレンタインデーで配られたり、滋養強壮があると思われている生薬が混ぜ込まれたりと、 お菓子の中では『性』にゆかりが深い、このチョコレートですが、 そうした側面がアンダーグラウンドなビジネスに利用され、麻薬や処方箋医薬品の成分を練り込んだチョコレートが、 違法に密売されている状況が有ります。こうした非合法な商品の中にはシアリス:タダラフィルが練り込まれたものも有り、 チョコレート内に埋め込まれたシアリス:タダラフィルの検出は、非合法商品による一般市民の健康被害を防ぐ上でも、とても重要なテーマと言えます。


また、正規の処方箋医薬品のシアリス:タダラフィルが持ついくつかの問題の中に、その独特な『苦み』があり、こうした苦みを不得手として、 本剤の処方を忌避される方もいらっしゃいます。本剤は長時間薬効の特徴を持つ唯一の勃起改善薬なので、高いユーザービリティを持ちますが、 意外な要素が服薬遵守における弊害ともなっております。 このシアリス:タダラフィルの『味の改善』 はED:勃起不全症ならびに肺高血圧症、前立腺肥大症のマネジメントにおいては必要な要素とも思われ、 その味の改善に、元々少々の苦みを併せ持つチョコレートが運用できるのではないかと研究者によって現在、検討がされております。


『シアリス:タダラフィル チョコレート』とインターネット検索する方の動機としては、 シアリス:タダラフィルのもつ『苦み』をなんとかしたいという方と、シアリス:タダラフィルの配合された非合法なチョコレートを求める方、 このそれぞれが潜在していると思われ、なんとも両極端な動機とも思われます。


このシルデナフィル:タダラフィルの味、そしてチョコレートが関連している問題を解決する為に検討がされている研究がそれぞれに有り、 こちらのページではこのそれぞれの研究に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からわかりやすくご紹介をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1.シアリス:タダラフィルの苦みはチョコレートで隠せるかも?】

シアリス:タダラフィルの苦みはチョコレートで隠せるかも?

シアリス:タダラフィルから感じる 『苦み』 を不快なものと感じるユーザーが少数ながらおり、 それが原因となって、シアリス:タダラフィルを使うべき疾患である、 ED:勃起不全、肺高血圧症、前立腺肥大症における服薬遵守率への悪影響が危惧されております。


そこで海外の研究者から発案されたのが、元々苦みが少々あるお菓子である所の 『チョコレート』 にシアリス:タダラフィルを混ぜこむ事は出来ないだろうか?というアイディアで、 こちらでご紹介させて頂いている文献1.はこの検討に関しての記載がされているものになります。


前提としてシアリス:タダラフィルは、素面かつ空腹時に運用すべき薬剤なので、糖質と脂質がたっぷり入ったチョコレートとの同時服用は望ましくはありませんが、 こちらでご紹介するチョコレートと合わせた製剤は、専門家が問題なく効果が出るよう調整を施したものになりますので、 誤解無きよう、よろしくお願い申し上げます。


シアリス:タダラフィルをチョコレートに混ぜ込む上での最大の問題は、シアリス:タダラフィルの溶解性の低さであり、 それを解決する上で本研究では特殊な溶解促進剤である『β-CD』 を用いたとの事でした。 また、こちらの研究では実験計画法(DoE)の概念を用いて、開発された製剤の特性評価を行ったとの事でした。
※β-CD:ベータ-シクロデキストリンとは、でんぷんから作られる環状オリゴ糖の一種で、内部が疎水性、外部が親水性というその特徴から、 他の分子(特にチョコレートなどの脂溶性成分のあるもの)を内部に包み込む(包接する)という性質があり、 食品、化粧品、医薬品などで成分の安定化、マスキング、可溶化などに広く利用されており、 今回の利用もまさにシアリス:タダラフィルの苦みのマスキングと可溶化が目的となっております。


まず混練法を用いて、このβ-CDにシアリス:タダラフィルを包接した包接複合体を調製して。 この包接複合体をチョコレートベースに成形をして実験計画法を用いて最適化したとの事でした。 シアリス:タダラフィルとβ-CD包接複合体の比率は、相溶解性試験に基づき選定されたとの事で、 シアリス:タダラフィルとβ-CDの比率を1:1にすることで、シアリス:タダラフィルの溶解性が向上する事が確認されたとの事でした。


そしてDSC測定およびFTIR測定によってシアリス:タダラフィルと賦形剤との相互作用が評価されたとの事でした。 DSC測定とは 『示差走査熱量測定』 と言い、熱の出入りを測って材料の熱に関連した性質(融点など)を評価し、 一方、FTIR測定とは『フーリエ変換赤外分光法』と言い、赤外線の吸収から分子構造や官能基情報を得るという分析方法になり、 この両者を組み合わせることで、材料の相転移や結晶化変化に伴う分子構造を解析する事ができるとの事です。
※賦形剤(ふけいざい)とは、医薬品を製造する際、有効成分(この場合はタダラフィル)以外に内包される補助原料の事を示しております。


このDSC測定によってチョコレートベースに成形されたシアリス:タダラフィルとβ-CDの比率が1:1の包摂複合体は、 結晶構造が非晶質状態に変換されており、薬物の溶解性が向上したことが確認されたとの事でした。 そしてとても重要な検証になりますが、DSC測定ならびにFTIR測定の結果、薬物とチョコレートやβ-CDなどの賦形剤との間に、 有意な相互作用は認められなかったとの事でした。


チョコレートベースに成形されたシアリス:タダラフィルとβ-CDの比率が1:1の包摂複合体は、 30分後の累積薬物放出量から、タダラフィルが即時に複合体から放出されている事が明らかになり、 また遊離薬物の分析からは、複合体中の薬物の苦味がちゃんと軽減されていることが示され、 これによってシアリス:タダラフィルの持つユーザビリティ上の問題である『苦み』 がこの開発された製剤によって解決された事が示されたとの事でした。


今後の展開として考えられるのは、この製剤がきちんと人間で効果を示すかの検証になり、 本製剤を処方箋医薬品としてリリースするためには、大規模なランダム化二重盲検並行試験などの前向き研究そして生物学的同等性試験が必要になってくるかと思われます。


2.【文献2.シアリス:タダラフィルの入った非合法なチョコレートを暴くための研究】

シアリス:タダラフィルの入った非合法なチョコレートを暴くための研究

こちらでは、上記.文献1でご紹介した正規の処方箋医薬品である、 シアリス:タダラフィルをよりユーザーフレンドリーにしようと化学者がチョコレートと賦形剤とで調整した『特別な製剤』の開発といったテーマとは真逆の、 『非合法に作製された』 シアリス:タダラフィル入りチョコレートを暴くためのテクノロジー、これに関しての文献のご紹介になります。


なぜに、このようなテクノロジーが必要になって来るのかと申しますと、 イリーガルな業者が、麻薬などの規制薬物、あるいはシアリス:タダラフィルなどの本来医師が処方すべき処方箋医薬品を非合法に出荷・販売するに当たって、 チョコレートなどに入れて偽装する手段が以前より横行しているからなのです。


チョコレートなどに入れてと申し上げましたが、これは、文献1のごとく、専門家が特別な技術を持って慎重に作製し、きちんと効果などが検証されたものとは全く違って、 イリーガルな業者が処方箋医薬品や麻薬をチョコレートに適当に放り込んで作製される、ごく粗悪なもののお話になります。


イリーガルな業者によって、チョコレート以外にもインスタントコーヒー、シロップ、チューインガム、 あるいは無表記な錠剤・カプセル剤にシアリス:タダラフィルが混ぜ込まれている事が有るようなのですが、シアリス:タダラフィルは前提として処方箋医薬品で、 禁忌指定の疾患や併用禁忌の服薬がある方が間違えて使用したりすると、大きな事故が発生してしまう危険性もあり、 医師を介在し得ないこうした非合法な処方箋医薬品成分の使用は、大変危険と言えます。


しかし港湾・空港・国境などで、管理職員がパッと見て、これらが入ったチョコレートを正確に判定する事はとても難しい事なので、 安価で簡便かつ正確な成分解析方法が必要になってまいります。 特に麻薬の生産国や出荷国と陸路で国境が繋がっているアメリカなどでは、 これは実は切実なテーマでも有ります。


こちらの文献に記載がされているスクリーニング方法は、チョコレートを初めとする錠剤、カプセル剤、インスタントコーヒー、シロップ、チューインガムなどの、 最終製品中に含まれているシアリス:タダラフィルを効果的に判別する事が出来るとの事です。


このスクリーニング方法はHPTLC法:高性能薄層クロマトグラフィー法を応用しており、 HPTLC法は微細な粒子径のプレートと専用の自動化機器を用いることで、高い分離能、感度、そして再現性を実現し、 サンプル塗布から検出まで一貫した分析を可能としている解析方法で、特にこれの全自動システムにおいては、サンプルの適用、展開、検出、データ処理までをも自動化し、 環境要因の影響も排除して、信頼性の高い分析結果が得られる点が大きな特徴との事です。


本法の詳細においては、まずチョコレートの『なり』をした最終製品を10mlのメタノールで30分間超音波抽出し、その後遠心分離します。 その後、HPTLC法を用いて、HPTLCバンドのRf値が既知のシアリス:タダラフィルのRf値と相同するかをチェックする事で、 まずチョコレートに潜在する 『シアリス:タダラフィル成分』 の最初の予備的な同定が可能になるとの事でした。
※Rf値(Retention factor、保持係数)とは、物質の特定や同定に用いられている指標の一つで、 原点から展開されたバンドの中心までの距離を原点から溶媒前線が到達した一番遠くまでの距離にて割った数値の事になります。


また本法では走査型デンシトメトリー機能により、このチョコレート内の成分のUVスペクトルを既知のシアリス:タダラフィルのスペクトルと比較する事で、 構造に関するより詳細な知見を得ることができるとの事で、また個々のゾーンから得られた物質の質量分析により、さらなる信頼性が得られるとの事でした。


このように一般市民の安全な暮らしを守るために、シアリス:タダラフィルの入った非合法チョコレートを簡便に判定する為の方法が、 専門家によって日々研究されております。


3.【総合まとめ.シアリス:タダラフィルとチョコレートに関して】

  • ―文献1.シアリスの苦みが嫌で服薬遵守率が低下する状況を改善するために、専門家がチョコレートと特殊な賦形剤を使用した、 シアリス:タダラフィル入りのチョコレートの開発を検討しております。現研究段階では溶解性も問題無く、 危惧されたシアリス:タダラフィルならびにチョコレートや賦形剤との間の有意な相互作用は見られず、 その上でシアリス:タダラフィルの苦みが解消されているとの事で、 今後は大規模なランダム化二重盲検並行試験などの前向き研究、また生物学的同等性試験などが施行されると思われ、 その先での商品化が期待されています。

  • ―文献2.アンダーグラウンドな業者によるシアリス:タダラフィルとチョコレートを適当に混ぜ込んだイリーガルな製品は、 シアリス:タダラフィルなどの適正利用を阻害し、大きな薬害事故に繋がってしまう可能性もあり大変危険です。 これを薬事に関わる管理職員が簡便に判定ができるようHPTLC法を用いた判定方法が研究されております。 本法においてはHPTLCバンドのRf値、成分のUVスペクトル、成分の質量分析から、信頼性の高い判定結果が得られると報告がされております。

  • ―総合まとめ.シアリス:タダラフィルとチョコレートの関係は、 合法かつユーザーの利便性に貢献しようとするもの、 その一方で、非合法かつユーザーの健康を度外視したもの、と両極端なものが内在しており、 前者に関しては最終的なユーザーの服薬遵守率の向上を目指し、チョコレートを応用したものが研究されており、 一方、後者に関しては、管理職員による取り締まり上、 チョコに入ったシアリス:タダラフィルの成分判定が簡便に出来るスクリーニングが研究されております。

4.【Q&A | シアリス:タダラフィルとチョコレートに関してよくある質問】


―Q1.「シアリス(タダラフィル)とチョコレートを一緒に食べても大丈夫?」
A.通常のチョコレートは糖質・脂質が豊富に含まれており、 シアリス:タダラフィルと同時に摂取した場合、シアリス:タダラフィルの吸収を阻害し、 その薬効を弱らせたり、薬効の出現を遅らせたりする可能性が否めません。 しかし、現在シアリス:タダラフィルのもつ『苦み』を緩和するために、 特殊な賦形剤とシアリス:タダラフィルとチョコレート、これらをミックスした製剤が専門家によって研究されております。 こちらは専門家による特別なチューニングがされているのでシアリス:タダラフィルとチョコレートの間で、相互作用は見られなかったと報告がされており、 おそらくシアリス:タダラフィルの薬効をチョコレートの成分が阻害する事は無いものになっているかと存じます。


―Q2.「チョコレートにタダラフィルが入っている事があるの?」
A.違法にチョコレートなどへ、麻薬などの規制薬物や、シアリス:タダラフィルなどの処方箋医薬品を入れ込んで、 偽装をした上で、国の管理職員を欺こうとする手法は古くから行われているようです。 通販や医療施設外で取り扱われる、精力増強などを謳った、来歴の不明なチョコレートなどには、くれぐれもお気をつけ下さい。 ほかにもインスタントコーヒーやチューンガムに混ぜ込まれているケースもあるとの事です。


―Q3.「タダラフィル入りチョコレートは将来使われるようになるの?」
A.シアリス:タダラフィルの持つ独特な『苦み』を緩和するために、 チョコレートと特殊な賦形剤を取り入れた、 実用可能なシアリス:タダラフィル製剤を作るべく、現在、研究が進められております。 これが実現する場合は、医師が処方する処方箋医薬品として取り扱われるようになるかと存じます。


―Q4.「市販の精力チョコレートは安全?」
A.日本性機能学会専門医の立場からは『精力』という曖昧な概念に対して、 明確な薬効を示すものはほぼ存在しないと考えております。 その一方で『精力増強』と言った文言はインターネット上でもあふれかえっております。 効果が無いだけなら、お金の損だけで済みますが、 規制薬物や処方箋医薬品が混ぜ込まれているようなケースでは、 健康被害が発生してしまうリスクも有りますので、 こうした精力増強を謳ったチョコレートなどのお菓子にはくれぐれもお気をつけ頂きたく存じます。


【引用文献】


1.Choc-Tadalafil Fusion: Unlocking Solubility and Taste Harmony with β-CD-Infused Medicated Chocolate.
Journal:Recent advances in drug delivery and formulation. 2024;18(2);110-119. doi: 10.2174/0126673878280254240312053406.
Author:Chetna Modi, Manobika Sinha, Vaishali Thakkar, Hardik Rana, Dipika Chavda
※原著はこちら


2.Simultaneous Detection of Three Phosphodiesterase Type 5 Inhibitors and Eight of Their Analogs in Lifestyle Products and Screening for Adulterants by High-Performance Thin-Layer Chromatography.
Journal:Journal of AOAC International. 2015 Sep-Oct;98(5);1226-33. doi: 10.5740/jaoacint.14-285.
Author:Tiên T K Do, Grigorios Theocharis, Eike Reich
※原著はこちら


(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-03-02)

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