透析患者さんとED治療


質問


慢性腎不全

慢性腎不全はEDの原因になりますか?

原因なります。
血管障害、神経障害、ホルモンバランス障害(内分泌障害)、一酸化窒素(NO)の合成障害、 貧血など、様々な要素により、EDを引き起こします。
このことは、慢性腎不全の原因に因りません。
慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症など、原因が異なっていても、腎不全自体が勃起に悪影響を及ぼします。
糖尿病を原因とする慢性腎不全の場合は、よりEDが顕著である事が多いとされます。

病院で微量アルブミン尿が出ていると言われています。ED治療は可能でしょうか?

微量アルブミン尿だけでは判断しにくいのですが、殆どの場合は、服用可能と思われます。
微量アルブミン尿は、腎機能障害のごく初期のマーカーです。
微量アルブミン尿のみ検出され、腎機能自体が低下してないのであれば、 バイアグラ、レビトラ、シアリスの服薬は可能です。

タンパク尿が出ている言われています。ED薬は使用できますか?

バイアグラ、シアリスは使用できます。
レビトラの場合は、腎機能自体が保たれている場合は、服用可能です。
タンパク尿の原因は様々です。 腎機能低下の前兆である場合もござます。
腎機能の低下は、EDの原因となり得ます。
きちんと精密検査を受け、治療をしてください。

IgA腎症で治療中です。バイアグラは服用できますか?

バイアグラの服用は可能と考えます。
人工透析をされていない場合は、シアリスの服用も可能です。
腎機能が正常であれば、レビトラの服用も可能です。
併用薬にも因る可能性がございますので、是非、ご相談ください。
一般的に治療薬として使用されるステロイドや免疫抑制薬、抗血小板剤、抗凝固剤との併用は可能です。
IgA腎症に対する悪影響も報告されておりません。

慢性糸球体腎炎で治療中です。ED薬の服用は出来ますか?

判断基準は、腎機能がどの程度保たれているか、常用している薬との飲み合わせに問題ないか、 この2点がクリアーされていれば、ED薬の服薬は可能です。
腎機能は、一般的にクレアチニン(Creと記載されている場合もございます)で判断します。
常用薬が併用可能であった場合、腎機能が正常範囲内で有れば、例えば、タンパク尿が検出されていても、 バイアグラ、レビトラ、シアリス、3剤とも服用が可能です。
肉眼的血尿が認められる場合は、添付文書上、禁忌とは記載されておりませんが、 ED治療薬(PDE5阻害剤)の機序を考えると、服薬は避けて頂いた方が無難と考えます。
腎機能が低下している場合は、レビトラの使用は出来ません。
人工透析に至ってしまった場合は、バイアグラのみ服薬可能とお考えください。

慢性腎不全で治療中です。バイアグラ,レビトラ,シアリスで効果は得られますか?

まず、バイアグラ、シアリスは、慎重に観察しながら、服用可能です。
レビトラは、禁忌とされています(服用できません)。
人工透析中で有れば、バイアグラのみ服用可能です。
慢性腎不全の患者さんがバイアグラ、シアリスを服用した場合、健常者より血中濃度が上昇します。
その為、少量から開始することが必要です。
逆に、高容量を用いないと効果が得られない場合もございます。

腎臓ガンで片側の腎臓を摘出してしまいました。レビトラの使用は可能でしょうか?

レビトラ服用の判断基準は、腎機能が維持されているか否かです。
通常は、高血圧や糖尿病、その他疾患で、腎機能が低下していなければ、 片腎であっても、残された腎臓が機能を代償するため、多くは腎機能は正常値を示します。
腎機能が正常であれば、レビトラの使用は可能です。
腎機能が低下している場合は、バイアグラ、シアリスを、人工透析中で有れば、バイアグラを選択します。

腎アミロイドーシス

アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる特殊な蛋白質が臓器に沈着し、機能低下を示す難病です。 原因不明の特発性、リウマチなど炎症が持続する事により生じる二次性があります。
ED治療薬は、アミロイドーシス自体には悪影響を与えないと考えられています。
考え方は、他の原因で腎機能が低下した場合と同様で、 ED治療薬の選択は、残存している腎機能に因ります。

人工透析中の患者のけるEDの有病率は?

人工透析中の方の、およそ50〜80%がEDを有すと考えられております。
この数字は、人工透析となる以前と比較し、有意に増加した値となっております。
患者自身も、性欲の減退、性行為頻度の低下、勃起力の減弱を自覚する事が多くなります。

週に3回、人工透析を行っていますが、ED治療薬は服用可能でしょうか?

バイアグラは、人工透析をされていても、慎重に経過を見ながら、服用可能とされます。
人工透析中の方がバイアグラを服用した場合、通常の場合より血中濃度が上昇する事が想定されます。 その為、少量から開始し調子を見る事が多くなります。
逆に、人工透析中の方の場合、EDが重度である場合が多いため、高容量で服用しないと、十分な勃起改善効果が得られないため、 高用量を処方するとした医師もいます。
いずれにせよ、体調を観察しながら、用量を設定して行きます。
レビトラ、シアリスは、人工透析中の方は、禁忌とされています。
残念ですが、レビトラ、シアリスの服用はできません。


要点を整理いたします。 慢性腎不全の場合は、機能低下の程度と併用薬の飲み合わせ、この2点を考慮いたします。
腎機能が正常で有れば、いずれのED薬も服用できます。
人工透析している場合は、バイアグラを選択する事にになります。
人工透析まで至っていない場合は、シアリスも服薬可能です。
タンパク尿の有無は関係ございません。
薬の飲み合わせの問題は、ご本人だけで判断せず、専門医に相談ください。
一般的に使用される腎不全治療薬は、併用可能なものが殆どです。