バイアグラの車の運転への悪影響、新宿ライフクリニックから情報提供



バイアグラは車の運転に良くない?

【バイアグラと車の運転】
バイアグラ車の運転に悪影響があるのか? バイアグラの車の運転への悪影響はゼロではありません。 しかしそれは決して高いレベルのものでもありません。 例えばてんかんの方が疾患のコントロールを受けない状態で大きな交通事故を起こされたなど、 疾病と車の運転に関しては皆様の記憶に新しい交通事故報道もあるかと思われますが、 ここまでの悪影響が認識されているものでは全くありません、 ただいくつかのバイアグラの副作用には運転時の注意を要するものが存在します。


バイアグラは非常に高い一般性をもっており、 本邦発売開始の17年前から現在に至るまでED治療のフラッグシップ薬剤として処方され続けています。 このバイアグラの処方がどんどん一般化して行くにつれてバイアグラ使用における、 みなさまバイアグラユーザーの質問は多様化を重ねています。
そうした質問内容は、バイアグラの使用方法などの実際的なものから、 バイアグラを長期に使用するにあたっての日常生活に則した質問に遷移していっている傾向があり、 わたくし共、新宿ライフクリニックが頂くこうした質問の例として、 「バイアグラを飲むとベースの性機能は落ちてしまうのか?」 「バイアグラの使用によってバイアグラへの依存性が出たりしないのか?」 「バイアグラと風邪薬の併用は問題があるのか?」 こうした質問は非常に頻回に頂くもので、ちなみに上記の質問への回答はいずれも「NO」です。
これらの日常生活に即した質問の中で比較的多くいただくものの中に、 「バイアグラを飲んで車の運転をしても大丈夫でしょうか?」というものがあり、 この質問には「NO」と言い切れない部分があり、詳細な説明を要する事もあります。


薬剤、また疾病と車の運転に関してみなさんの心配が増加した原因としては、 昨今新聞・ニュースを騒がせる薬剤・疾病が関連した車の大きな交通事故があったこともあるかと存じます。
例としては認知症のご老人が高速道路を逆走したり、 糖尿病で治療をされている患者さんが運転中に低血糖発作を起こされて気を失ってしまったり、 また大きなものとしては2014/4月京都の祇園で発生した交通事故と20114月栃木県で発 生したクレーン車の事故があると思われます。 この2例に関してはてんかんのある患者さんが事故発生の原因になっており、 この事件を契機として「改正道路交通法」 「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」 の2つの法律が規定されるという社会的にも大きなインパクトを与える結果となりました。
こうした薬剤・疾病が関わる大きな交通事故によって、 てんかん以外の病気で薬剤を飲んでいる方々において 「私の飲んでいる薬は車の運転をしても問題ないのだろうか?」と考えるようになってくるのは 至極自然な流れと言え、その中に急速に増えているバイアグラユーザーもおります。 特にバイアグラは処方箋医薬品でありながら、 保険外医療の薬剤であるという特殊な立ち位置から、 薬剤の正しいインフォメーションがユーザーに入りにくいのと、 ネットでの噂のようなものが真実として扱われてしまう傾向が否めません。
車の運転は自分の命、また事故に巻き込まれる他の人の命が関わる、 非常に重要な日常行動です。この正確な情報が希薄なバイアグラのインフォメーションの状況を鑑みて 本稿ではバイアグラと車の運転を軸に様々なお話を記載させて頂いております。 本稿では

  1. 【バイアグラ添付文書における車の運転に関する記載】
  2. 【その他の車の運転に影響を与えうるバイアグラの副作用】
  3. 【バイアグラによる車の運転への影響を避けるために】
  4. 【今後の薬剤・疾病と車の運転に関して】

と、これらに関して記載しております。どうぞご参照くださいませ。


【バイアグラ添付文書における車の運転に関する記載】
バイアグラもそうですが、正式な薬剤卸から入荷するメーカー純正品の薬剤には、 通称「添付文書」と呼ばれる、薬剤の詳細な情報、つまり使用方法や適応、禁忌事項などに関して 記載してある医療従事者用の記載情報があり、 このバイアグラの添付文書には「重要な基本的注意点」という項目の (6)にバイアグラと車の運転に関しての記載があります。
この「重要な基本的注意点」は禁忌指定項目つまり絶対にやってはいけないという指定内容ではなく、 あくまで基本的注意つまりバイアグラ服用下の運転は十分に注意しながら行うようにという内容に過ぎません。 ちなみに申し上げるとバイアグラを服用下の車の運転はとくに禁忌指定はされてはいません。


この「重要な基本的注意点」(6)によると 「臨床試験において、バイアグラはめまいや視覚障害が認められているので 自動車の運転や機械の操作に従事する場合は注意させること」と記載されています。
このめまいはバイアグラによる比較的まれな副作用つまり0.1~1%未満の精神・神経系副作用であり、 また一方の視覚障害はバイアグラによる比較的まれな副作用つまり0.1~1%未満の感覚器副作用です。 わたくし共、新宿ライフクリニックでは現在1万5千人強のEDの再診患者さんを 管理させていただいておりますが、受付・診察室また電話にてこれらの副作用発生が事由となって 車の運転ができなくなったという報告を患者様から聞いたことは一切ないですし、 また医薬系の報道や連絡の中でこうした副作用発生が事由となって車の運転ができなくなったという報告を お伺いしたことも一切ありません。
つまりバイアグラを服用して実際にめまいや視覚障害が出現する事で交通事故に至ったケースが存在して、 添付文書の「重要な基本的注意点」における記載がされるようになったというよりも、 バイアグラの開発・製造元であるファイザー社がこの比較的まれな副作用である、 めまいならびに視覚障害が車の運転に悪影響を及ぼし得ると判断してこの「重要な基本的注意点」 (6)の記載に至ったものと思われます。


【その他の車の運転に影響を与えうるバイアグラの副作用】
バイアグラは安全域の高い薬剤でEDの改善効果も合わせて、 その機能性の高さは本邦における発売17年の間に、日本国内でしっかりと評価されてきました。 しかし、これはどの薬剤に関しても言えることですが、 まれな発生頻度をもって報告されている副作用に関しては添付文書を紐解くと、 驚くほどたくさん記載されています。それはみなさんがクリニック・病院などの医療施設で 何気なく処方されている感冒用の薬剤やアレルギー用の薬剤なども同様です。
そんな大量に記載されている副作用の中で、 めまい・視覚障害以外の車の運転に影響しうるようなバイアグラの副作用に関して ここでは検討したいと思います。


まず循環器系の比較的まれな副作用ですが、胸痛や動悸のようなものは直接的に車の運転に 支障をきたさないまでも、運転の集中力をそぐ可能性が考えられます。 この循環器系の副作用の中には頻度不明のものとして失神というのがあり、 これは何故に頻度不明なのかと申し上げると自発報告などに基づくものとして、 明確なバイアグラとの因果関係や発生頻度がわからないという事で、 そのような表記になっているようです。 頻度不明ながらも失神が車の運転中に発生することはとても危険な事と思われますが、 頻度が不明レベルの副作用に関しては本当にバイアグラによって起きているかどうかも分からない所もあり、 これをバイアグラ服用における車の運転時の注意事項に加えるかは、 これからされていく報告も参考に慎重に判断すべきかと思われます。
次に精神・神経系の副作用ですが、車の運転に影響を与えうるものとして、 比較的まれな発生頻度のものに傾眠・混迷というものが有ります。 車の運転中の眠気すなわち傾眠は、車の運転者であれば、ほとんどの方が経験のあるものと思われますが、 これには十分な対策や注意が必要と思われます。
次に消化器系の副作用ですが、車の運転に影響を与えうるものとして悪心や腹痛があります。 これが車の運転に支障が出るレベルのものとして出現するという話は、 患者様からもファイザーの製薬情報担当の方からも聞いた事はありませんが、 状況と程度によっては車の運転に注意が必要になるかと存じます。
次に呼吸器系の副作用ですが、車の運転に影響を与えうるものとして、 頻度0.1%とさらにまれな発生頻度ですが、呼吸障害・喘息があります。 これらは可能性としてはバイアグラに薬物アレルギーがある場合などが想定されますが、 そもそもバイアグラのアレルギー・過敏症がある場合は、その服用自体が禁忌に想定するのでバイアグラを 服用する事自体が禁じられています。またバイアグラによる呼吸障害が出現してそれが車の運転に 支障を与えるレベルのものであったという報告は上記消化器系の副作用同様に受け取った事はありません。
次に感覚器系の副作用ですが、車の運転に影響を与えうるもの比較的まれな副作用の中に、 前述の視覚障害と並んで彩視症というものが有ります。これは視野に色がついて見える現象で バイアグラ以外にも降圧薬のロサルタンや抗菌薬のサルファ剤など報告のある薬剤は多数です。 彩視症は視覚障害ほどのインパクトは有りませんが、信号の色が見えにくくなったりする可能性が あるので前述の「重要な基本的注意点」の車の運転時の注意項目として加えても宜しいのではないかと 思われます。
このように頻度はかなり低いもののバイアグラの中には前述のめまい・視覚障害以外にも 車の運転時に注意を要する副作用が存在します。


【バイアグラによる車の運転への影響を避けるために】
前2項にまたがって車の運転に支障が出うるバイアグラの副作用に関して記載させて頂きました。
糖尿病の血糖を下げる薬には低血糖発作という傾眠や意識障害をきたす副作用が、 他の臨床用薬剤に比較して出やすいと言え、ルーチンの臨床外来の中では比較的、 車の運転時の注意を喚起する事が多いと言えます。 一方のバイアグラに関しては、一般的に抗糖尿病薬ほど車の運転に支障が出うる薬剤としては 医療機関でも認識されていない薬剤です。
それは抗糖尿病薬による低血糖発作に比べると上記のバイアグラによる視覚障害やめまいは、 実質的に車の運転時にそれほどの頻度をもって発生している訳ではないという実情と、 実際にそのような交通事故の事例があったかの報告が、少なくとも当院に集まる製薬情報担当者や 患者さんのお話を聞く限りにおいては存在しないという状況がそれぞれ影響しているものと思われます。
しかし、そうだからと言って、バイアグラが車の運転上100%安全という事ではなく、 抗糖尿病薬やてんかんの発作ほどではないにしても、本剤はバイアグラユーザーとしてある程度の注意を 車の運転時に払う必要性がある薬剤と思われます。
それはバイアグラが車の運転上非常に危険な薬剤というよりも交通事故というもの自体が及ぼす影響力、 人の命や健康・人生に悪影響を及ぼすという、その交通事故による影響の規模の大きさを勘案して出てくる 一つの結論です。


それではバイアグラによる車の運転への影響を避けるためにはどうしたら良いのでしょうか? 基本的に初めてバイアグラをお使いの方は、バイアグラを服用しての運転はしない方が望ましいです。 バイアグラを複数回使用されて、運転に不都合な副作用が出ないことを確認される事をお奨めします。
またバイアグラを頻回に使用している既処方の方においては、上述の車の運転に影響を与えうる バイアグラ副作用に合致する症状がその使用時に出る事がある方は、 その薬効が継続している間は車の運転をされない方が望ましいです。
ここが難しいのは、バイアグラの副作用が今まで出なかった方がこれからも出ないと保障された訳ではなく、 こうした副作用の出る出ないは服用者の体調にもよる所があり、 10年バイアグラを服用されている方が服用11年目で初めてバイアグラによる火照りを感じられたという ケースも有るくらいです。
いままでバイアグラを頻回に使用するも車の運転に影響を与えるような副作用が出なかった方は、 そうした副作用が折々に出ている方に比較して車の運転は安全である可能性が高いと言えます。 しかしそれでも100%車の運転に影響を与えるバイアグラの副作用が出ないとは言えないので、 やはり結論としては、こうした方もなるべくバイアグラの薬効がある間は運転は避けられた方が 望ましいと言う事になります。またこうした方において、もし万が一車の運転中にそれを難しくさせるよ うな副作用が出現するような状況になった場合、 すぐに車を路肩に止めて副作用症状が安定するのを待つ必要性があります。
バイアグラユーザーの方はゆめゆめ油断なされず、車の運転には特にご注意ください。


【今後の薬剤・疾病と車の運転に関して】
疾病と薬剤が原因となって発生している交通事故には前述のように、 法規を改正させるようなインパクトがあり、それはやはり貴重な人命が失われたという痛ましい状況が 多いに関連しています。
すでにてんかんのある方は運転免許取得には一定の条件が決められており、また大型免許ならびに 第2種免許の取得は推奨されておらず、運転免許の取得ならびに更新時には病状を正しく申告する 必要があるとされています。
ちなみに現在自動車の運転に支障をきたすおそれのある病気として、 免許の拒否又は取り消し等の事由とされている疾患としては

  1. 【統合失調症】
  2. 【再発性の失神】
  3. 【てんかん】
  4. 【認知症】
  5. 【重度の眠気症状をきたす睡眠障害】
  6. 【躁うつ病】
  7. 【そのほかの運転に必要な認知・予測・判断・操作のいずれかにかかわる能力を欠いてしまう恐れがある 症状を呈する病気】

などがあります。 今後、車の運転とこうした疾病や薬剤に関しては運転免許の取得や更新において、 より深い公的な介入がされるようになる可能性もあり、 人命などを考えるとそれはやむを得ない状況整備といえます。
しかし、その方がバイアグラを処方されているなどの医療情報は非常に プライバシー性の高いものであり、 それと車の運転への公的の介入がどのようにバランスをとっていくかは、 いくつかクリアしなければならないテーマがあると思われます。
ただバイアグラに関しては発売17年経過した今も重大な事故の原因になったり、 交通法規の改正に関連するようなエピソードも無いので、今後バイアグラに関して法規や運転免許面から 車の運転行為に対する制限が入る可能性などは限りなく低いと思われます。
ただこれはバイアグラのユーザーが能動的に気を付けるという話とは全く別の話になるので、 社会責任上も、また自分の命を守るためにも、今後バイアグラを服用しての運転は避けされるべきか と存じます。
新宿ライフクリニックはこうした車の運転と バイアグラなどに関する日常的相談にも対応いたします。 是非とも新宿ライフクリニックにバイアグラならびにバイアグラジェネリックの正規品の処方をご相談くださいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)


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