精液への影響

バイアグラは精子への影響は認められなかったと報告されています。



バイアグラに関する心配」

本剤は精液中の精子運動能などへの影響は確認されていません。


<当ページの項目リスト>

  1. 【バイアグラと精液への影響】
  2. 【精液の健全性のパラメーター】
  3. 【バイアグラの精子影響の報告】
  4. 【女性の使用は絶対ダメ】
  5. 【妊活と本剤の運用】

1.【バイアグラと精液への影響】

【要約】
バイアグラは人間の精液そして精子への悪影響は確認されなかったと、 バイアグラ開発・製造元のファイザー株式会社が正式報告してます。 この精液への影響とは、 バイアグラによって精子の運動能、精子数、および射精量などに変化が認められなかったという内容です。 またラットによる動物実験では本剤を雄が使用した場合の胎児への影響は認められなかったとの事です。 ただし本剤は女性が使用しては絶対にいけません。


バイアグラは薬効が出ている間、EDを改善させる作用が認められているED/勃起不全の専用薬です。 バイアグラは処方箋医薬品にて通常の 薬局では手に入りませんが、 保険外診療に対応しているクリニック、医院、病院などの医療施設にて処方する事ができます。 ただしバイアグラには厳密な用法上の適応がありますので、 罹病や元々の服薬内容などによってはその適応上、処方する事が出来ない事もあります。


このバイアグラはEDを改善させる事を主目的にした薬剤なので、 ほとんどの方は性行為自体への効果を主に気にされますが、 中には本剤の精液つまり精子への影響を気にされる方がいます。
なぜにバイアグラの精液への影響を気にされるかと言うと、 妊娠するために行われる性行為時に本剤を運用されている方がいて、 そうした際に精液すなわち精子へのバイアグラの影響が心配になってしまうようです。 この心配の内容としては本剤が妊娠率に悪影響を及ぼすものか? もしくは精子を介在して子供への悪影響を及ぼすものか?と言ったものがその本態です。


実は妊娠のための性行為、最近の表現では「妊活」とも申しますが、 これは男性側にとって精神的なプレッシャーとなる事があり、 また時にこのプレッシャーが男性側のEDの原因となる事があります。 こうした状況でバイアグラが必要になると、 バイアグラの精液ひいては精子への影響が心配になってくるという訳です。
統計的頻度は明確ではありませんが、実際、 新宿ライフクリニックでEDのご相談を受けていると、 妊娠のための性行為時にEDになってしまうという悩みをお伺いする事はとても多く、 奥さんや周囲の期待に答えるべく「頑張らねば!」と言う気持ちが、 むしろプレッシャーに転化されていまう事もあるようです。
こうした状況において、EDに対してバイアグラを使用する場合、 その精液そして精子への影響を心配される事は至極当然と思われ、 こうしたEDに関してのご相談を受ける際にほぼ必ずと言っていいほど、 バイアグラの精液そして精子への影響の質問がセットになっています。


本稿ではこうしたお悩みへの新宿ライフクリニックの対応の一環として、 バイアグラの精液への影響と言うテーマを主軸に、 精液や精子の健全性に関連したパラメーターや、 ファイザー社によるバイアグラの精液・精子への影響の報告などを記載しております。 どうぞご参照くださいませ。


2.【精液の健全性のパラメーター】

冒頭よりファイザー社の試験ではバイアグラの精液つまり精子への影響は確認されなかったと記載しておりますが、 こうした判断は何をもって把握されているのでしょうか?
実は精液もしくは精子への影響を把握する為のパラメータは様々な種類があります。 以下はその主なものを記載したものです。

  • ・精液外観:通常は不透明で乳白色
  • ・精液量:1.5ml以上
  • ・精液PH:7.2以上
  • ・精子濃度:15×10の6乗/ml以上
  • ・総数:39×10の6乗/ml以上
  • ・全体の運動率:40%以上
  • ・正常形態率:4%以上
  • ・生存率:58%以上

ちなみにこうした精液そして精子をチェックするパラメーターは、 一定の禁欲期間を設定したのちに採取されたものに関する内容です。 その項目は複数ありますが、特に妊娠のための性行為にとって大切なのは、 精液/精子の液量、濃度、全体の運動率などの項目です。 逆に言えば、これらのパラメーターに異常が出る場合は、 妊娠の成立に悪影響を及ぼす可能性が危惧されます。
次で記載するファイザー社の報告する所のバイアグラの精子影響の報告も、 こうしたパラメーターを確認しているものです。


3.【バイアグラの精子影響の報告】

バイアグラの開発・製造元であるファイザー社は製剤の詳細な報告書であるインタビューフォームにて、 本剤の精液また精子への影響を詳細に勘案した試験の結果を報告しています。


これは健康な成人男性16名を対象にバイアグラ100㎎(日本の本剤の摂取上限量の2倍)を投与し、 その1.5時間、また4時間後に採取された精液に関して調査したものです。 それによるとまずバイアグラの精液への移行率は血液に対して約1/6ととても低く、 特に投与1.5時間後の精液中のバイアグラの量は投与量の0.0002%と極小であったとの事です。


そしてこのバイアグラの精子への影響をそれぞれの対象者にて計測した所、 本剤の服薬前後における液量、濃度、精子数、 さらには全体の運動率などにおいてその投薬前後では変化は見られなかったとの事で、 つまり妊娠にかかわる重要な項目において精液への影響は認められなかったと言う事になります。
ただし、これはあくまで男性におけるバイアグラの影響のお話です。 体内で直接的に胎児と繋がっている女性においては、話は全く変わってきます。 次で詳細述べますが、本剤は絶対に女性が使用してはいけません。


4.【女性の使用は絶対ダメ】

バイアグラの精子影響に関するファイザー社からの報告を記載させて頂きました。 この報告によると、精液に関して男性が本剤を妊活に使用するのは問題がなさそうです。
一方女性の本剤の使用ですが、その影響は上記の精子の場合と違い未知数な部分も多いですが、 これは絶対にしてはいけ無い事です。


バイアグラは男性用の勃起改善薬として開発されているものなので、 女性が利用する理由はとても希薄なのですが、 なぜか女性で本剤を使用している方がいるとお伺いする事が時にあります。 しかし本剤は男性の精子への影響などのように、 女性に関しての安全性の検討がほとんどされていない事もあり、 目的はさておき、女性がこれを使用するのは大変危険と言えます。


また妊活への影響ですが、 バイアグラは妊娠したラットを使用した動物実験によると、 雄ではなく妊娠しているラット側が本剤を服用した場合、 本剤の成分は明確に妊娠している胎児へ移行するとの事で、 これは胎児に全くメリットがないどころか、 何等かの悪影響を示すかもしれない薬剤が胎児に及んでしまうという恐ろしい結果が示されました。


つまりバイアグラは女性が使用する事自体が危険ですし、 また妊娠していた場合胎児にも悪影響を及ぼす可能性があると言う事ですので、 女性の使用は多面的に絶対にしてはいけない事になります。


5.【妊活と本剤の運用】

以上、バイアグラの精液への影響を軸に様々なお話しをさせて頂きました。 本剤の精子への影響は非常に希薄で、男性が妊活に使用する分には問題なさそうです。


一方、男性が本剤を利用する事で、発生する人間の胎児に影響があるかどうかは、 もちろん非人道的にて我々人間ではチェックできませんが、 上記【バイアグラの精液への影響の報告】同様に同じ哺乳動物であるラットでこの検討がされています。 こうした試験は生殖発生毒性試験と言いますが、 ラットの雄に交配64日前よりバイアグラの成分であるシルデナフィルを与え続けた所、 雌の妊娠母体の黄体数および着床数に本剤の影響は見られず、 また胎児に関しては生存胎児数、胎児死亡率、胎児体重、 胎児外観にも本剤の影響は見られなかったとの事で、 バイアグラの精子への影響に関しては人間でチェックされていますが、 バイアグラの精子を介した胎児への影響に関しては、 同じ哺乳動物のラットにおける実験で問題なかったと報告されています。


つまり総合するとバイアグラは精液に関しては人間で、 またバイアグラを使用して発生する胎児に関してはラットにて、 それぞれを検証した所、悪影響はそれぞれ見られなかったという事です。 総合的な結論としては本剤は雄もしくは男性が使用する分には妊活に問題はなさそうです。 こうしたバイアグラの精子への影響などに関しては、 皆さまのご心配も多いので今後も継続して報告させて頂きます。


当新宿ライフクリニックは新宿エリアを代表する保健所認可ED治療施設として、 製薬会社にも広く認知されています。 当院ではバイアグラの精液への影響など様々なご質問に対応可能です。 新宿にお寄りの際はどうぞ当院へご来院くださいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)