媚薬は本当にあるのか?
仮にあったとしても、媚薬つまり催淫薬は、薬局で市販あるいは病院で処方される事は、まず有りません。
それには4つの理由が有ります。
その理由とは 『性犯罪に利用される可能性』 ・ 『薬効を証明出来ない』 ・ 『副作用が多い可能性』 ・ 『製薬会社にメリットが無い』 の4つになります。
媚薬あるいは催淫薬とは、何なのでしょうか?
これは端的には、服用する事で、セックスをしたくなる薬剤、あるいは性欲を増す薬剤の事になると思われます。
ちなみに勃起不全治療剤のバイアグラは媚薬では有りません。
性欲は、脳の視床下部にある性中枢にて、性ホルモンの濃度上昇と視覚,嗅覚,聴覚,触覚などの感覚刺激の情報が合わさって引き起こされます。
すなわち媚薬というものがあるとしたら、それは視床下部の性中枢に直接作用するもの、
あるいは性ホルモンの分泌亢進を起こすものという事になってきます。
当新宿ライフクリニックは日本性機能学会専門医が開設したED専門クリニックですが、 外来にて 「媚薬、催淫剤あるいは性欲を増す薬はないか?」 と質問される事が多々有ります。
しかし医学的な根拠がキチンとある、性欲亢進専門のお薬は、 私の知る限り、薬局などの市販薬、また病院で処方される処方箋医薬品の中には一切有りません。
すなわち媚薬は本当にあるのか?と患者さんに聞かれれば 『仮にあったとしても、催淫剤は薬局で市販あるいは病院では処方されていません』 と答えざるを得ません。
なぜに媚薬や催淫剤は、市販あるいは処方される事はないのか?
これには具体的に4つの理由が有ります。
本稿では日本性機能学会専門医がこの4つの理由に関して解説をさせて頂いております。
宜しければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
媚薬は本当にあるのか?
仮にあったとしても、こうした催淫剤が薬局で市販あるいは病院で処方される事は無いという、その理由に関して、
こちらでは 『性犯罪に利用される可能性』 について記載させて頂いております。
これは 『社会的な意味合い』 で、媚薬もしくは催淫剤が市販あるいは処方ができない、という理由になります。
媚薬もしくは催淫剤が、「セックスする気が無い人」 を 「セックスする気にさせる」 薬剤だったとすると、 むろん、平和的な個人利用や合意の上でのお相手への投与もあるとは思われますが、 その一方で、イリーガルな用途、つまり性犯罪に使用されてしまう可能性はとても高く、 その薬品の存在は、実は社会的には極めて危険と言えます。
今現在ですら、睡眠薬などをレイプドラッグとして犯罪に流用する状況があるのに、
仮に媚薬や催淫剤の専用薬が入手できるような環境になったとしたら、
これは本当に恐ろしい事です。
おそらく、こうした薬によって幾多の犯罪が引き起こされてしまう事でしょう。
ご自身、あるいはご自身の大切な方の飲み物、食べ物にこうした薬物が混入されてしまう事もあるかも知れません。
このような性犯罪に利用されてしまう可能性は、 媚薬あるいは催淫薬、あるいはそれを製造する薬理的理論が本当にあったとしても、 市販あるいは処方がされる事はないという具体的な理由になります。
媚薬は本当にあるのか?
仮に媚薬や催淫剤があったとして、どうやってその薬効を証明したら良いのでしょう?
前提として、薬効に根拠がない薬剤は薬局で市販もしくは病院で処方することは出来ません。
こちらでは機能評価的な意味合いで、媚薬もしくは催淫剤が市販あるいは処方できないという、
その理由について記載させて頂いております。
媚薬もしくは催淫剤が「性欲を上げる薬」だとして、果たして、その薬効は客観的に評価できるものなのでしょうか?
性欲は情動をともなう心の中の欲求なので、その効果を見る事は出来ないですし、その効果を数値化する事も出来ません。
すなわち客観的な評価が出来ません。
薬を飲む前後で 『このように変わる』 という観察指標が無いものは、
そもそも常用量を決める事が出来ませんし、その薬剤を使うメリットを客観的に証明する事も出来ません。
すなわち、こうした薬が仮に有ったとしても 『どのくらい使っていいのかわからない薬、あるいは効くか効かないかわからない薬』 になってしまう可能性があるのです。
このような曖昧な薬剤に製薬会社は巨額の開発費用を割くことはできません。
このような薬効を証明出来ないという状況は、 媚薬あるいは催淫剤が、製薬会社が開発しにくいという点において、 薬局で市販もしくは病院での処方がされないという具体的な理由の一つになります。
媚薬は本当にあるのか?
仮に媚薬や催淫剤が開発できたとしても、その薬理動態を考えると副作用が多い薬になる可能性が高く、
重病に対してならいざ知らず、 「性欲の向上」 が唯一の目的だとすると、
薬局で市販もしくは病院で処方する事は、難しいかと思われます。
こちらでは効果と副作用のバランス上の意味合いにおいて、
媚薬もしくは催淫剤が、市販あるいは処方ができないという、理由について記載させて頂いております。
媚薬もしくは催淫剤が 「性欲を上げる薬」 だとしたら、 その薬理動態は、上記したように性欲を司る性中枢が存在する脳の視床下部、そちらに直接刺激する薬剤か、 あるいは性ホルモンの濃度を男女ともに引き上げる薬剤になるかと思われます
視床下部は気軽に刺激してよいものなのかと言うと、 こちらは飲水・摂食・攻撃・自律神経機能に深く関わりを持つ重要な中枢神経なので、 視床下部へのダイレクトな薬理作用は、 様々な副作用を引き起こしてしまう可能性が危惧されます。
一方の性ホルモンの濃度の上昇に関して、
こちらも気軽に引き上げて良い物なのかと言うと、
実は幾多の性ホルモン感受性疾患が存在していて、その中には悪性腫瘍も含まれているので、
こちらも、その使用に当たっては、様々な危惧が発生するでしょう。
上記2.【薬効を証明出来ない】に記載させて頂いた通り、性欲の向上は客観的に評価する事が難しく、 そうなると視床下部への刺激にしても性ホルモンの濃度上昇にしても、 致命性がない状況に対して、客観的な指標なく、影響度の高いシステムを操作する事になってしまうので、 それを行う事は現実的には難しいかと思われます。
このように媚薬もしくは催淫剤が、 期待される効果に見合わないレベルの副作用が、発生しうる薬剤になってしまうという可能性は、 これらの薬剤が薬局で市販もしくは病院での処方がされないという具体的な理由の一つになり得ます。
媚薬は本当にあるのか?
媚薬や催淫剤に関しての具体的な開発理論があったとしても、製薬会社にとっては、それに巨額の開発費用をかけるメリットは無いので、
こうした薬剤が市販もしくは病院で処方されるようになる事は無いように思われます。
こちらは企業側のメリットから、
媚薬もしくは催淫剤が市販あるいは処方される事はないという、その理由について解説させて頂いております。
上記のように、媚薬もしくは催淫剤は、視床下部へ直接作用する、もしくは性ホルモンの濃度を亢進させる薬剤になると想定されますが、 このようにテクノロジーレベル自体が高い割に、 これらの薬剤は、製薬会社にとってはこれを開発する 『道義的メリット』 が大きく欠けています。
つまり、難病を治療する訳でもなく、一方では性犯罪に使用される可能性が高く、
企業のブランディングにも悪影響を及ぼす可能性もある。
媚薬もしくは催淫剤は、開発にお金がかかる割に、企業イメージが悪くなる生産物になってしまう可能性が有ると言う事です。
このように媚薬もしくは催淫剤が、製薬会社側にとって、それを作るメリットが欠けている状況は、 これらの薬剤が薬局で市販もしくは病院で処方される事が無いという具体的な理由の一つになります。
以上、媚薬は本当にあるのか? 仮に有ったとしても媚薬あるいは催淫剤が市販もしくは病院で処方される事はないという、 その4つの理由に関して日本性機能学会専門医が解説させて頂きました。
インターネット上では、媚薬、催淫剤、回春剤、性欲亢進薬など様々な表現で
性欲を上げる事を謳った薬剤が販売されています。
しかし、これらのどれ一つとして明確な医学的根拠を持つものは有りません。
こうした薬剤の通販には何卒お気を付けくださいませ。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-04-12)
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