セックスの際に発生するペニスの外傷がインポテンスの原因になる事が有ります。



陰茎折症の合併症としてのED/勃起不全と尿道損傷

バイアグラは新宿ライフクリニック。


【陰茎折症とED/勃起不全】
陰茎折症というセックスの際に多く発生するペニスの外傷によって、 バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのPDE5阻害薬を使用しにくい、 難治性のED/勃起不全が発生する事があります。
ED/勃起不全の原因は数多有りますが、ペニスの外傷の結果としてもED/勃起不全が発生する事があります。 ペニスの外傷の代表として陰茎折症という疾患が有ります。 この陰茎折症は字面の通り、外力によってペニスが折れる事によって発生する疾患で、 病態的には陰茎海綿体白膜の断裂がその本態です。
勃起によって硬くなったペニスに強い鈍的な外力が加わる事によって、 伸展状態にある海綿体白膜という海綿体を包み込む組織が断裂し発症する疾患です。 発症時の特徴として激しい疼痛と海綿体白膜断裂近傍の腫脹、 また、受傷時にクラック音という、海綿体白膜の断裂する音が聞こえる場合が有ると言われています。
この海綿体白膜は外部からの衝撃によって1500mmHgを超える圧力が発生した場合に、 断裂すると言われております。 多くは片側の断裂が主体で、両側性に発生する事は非常に稀です。
陰茎折症は、ペニスの構造的問題に基づく難治性のED/勃起不全を合併症として発生する事が有り、 難治性の性機能障害の発生を考えると、予防的対応が望ましい緊急疾患です。


【本邦における傾向】
陰茎折症は、本邦においては年間の受傷者が人口10万人あたり0.33人と報告されています。
吉永らによる、本邦における本症447例の解析によると、 受傷者の平均年齢は35.8歳と比較的若く、やはりセックスの頻度が多い年齢層を中心に発生している疾患です。 また若年層の方が勃起時のペニスの硬度が高いので、陰茎折症が発生し易くなるとも言えます。 発症年齢は14歳から64歳と幅広く、 海綿体白膜の断裂側は右側が72%で、左側に比較して圧倒的に高頻度です。
受傷機転に関しては、ペニスが勃起している時の用手的な位置修正に起因するものが、 本邦における発症原因では第一位です。 次席としてはセックスの際に外力が働き発生するものです。
欧米においては、セックスの際に発生する陰茎折症が圧倒的に多く、 受傷機転の傾向は本邦と欧米とで違う傾向を示しています。 これは性文化という背景の違いからセックスの激しさが欧米と本邦とで違う事が影響している可能性が有ります。
実際の受傷ケースの一部をご紹介いたします。
①正常位にてセックス中にペニスが膣から抜けてしまったにも関わらず、腰を押しこんでしまい、 パートナーの恥骨部にペニスが衝突して発症したケース。
②起床後、勃起しているのに無理に排尿を試みようとして、ペニスを無理やり下に向けた所、 発症したケース。
③早朝、就寝中、夜間勃起(朝勃ち)の状態で、寝返りをうった所、ベッドにペニスをぶつけてしまい、 発症したケース。
とこのような非常に日常的な状況から陰茎折症は発症しています。


【陰茎折症によるED/勃起不全の発症】
受傷時に適切な処置を、適切な時間内に施行しない場合は、 その10~30%に難治性のED/勃起不全が発生するとされています。
ED/勃起不全以外の合併症としてはペニスの側弯、疼痛などが有り、 これらの合併症はED/勃起不全の合併から独立しているというよりも、 それぞれに関連し合っているものであり、 ペニスが側弯しており、疼痛が走る為にED/勃起不全化する状態も考えられます。 発症早期に白膜縫合手術が施行された場合には、合併症であるED/勃起不全の発症頻度はより低下します。


【陰茎折症によるED/勃起不全発症の予防として】
陰茎折症によるED/勃起不全発症の予防を検討いたしますと、 発症の予防ならびに、発症した場合の迅速な処置が、発生予防上、非常に重要です。
陰茎折症自体の発症の予防策としては、 上述された受傷機転の頻度や実際の受傷ケースを参考に考えると、 ペニスが膣から頻回に抜けうるようなストライドの長いセックスのスタイルは、 いざペニスが抜けた際にパートナーの恥骨にペニスを強くぶつけてしまう可能性が有るので、 陰茎折症によるED/勃起不全の発症予防上、望ましくないと言えます。
また、勃起時の排尿や下着の着用などにおけるペニスの操作は、愛護的に、なお且つ、ゆっくりと行う事が、 発症予防上、非常に重要です。 また夜間勃起時の寝返りなど、エレクトしたペニスに不意の外力を与える状況は十分な注意を払う必要があります。 特にうつぶせ寝の癖のある方はペニスを寝返り時にマットレスにぶつける可能性が高いので、 更に要注意です。
陰茎折症が発症した場合の迅速な処置としては、 上述もしましたが、とにかく迅速な泌尿器科への緊急受診と、 熟練医による早急な白膜縫合術の施行が、 ED/勃起不全などの合併症発症を食い止める意味で、 とても大切です。


【尿道損傷】
ペニスの外傷には尿道の障害が伴いやすく、 先々の尿道狭窄や海綿体尿道瘻などを形成して、QOL:「生活の質」を著しく低下させ、 再手術を必要としたりする事が有ります。
尿道損傷とは、ペニスの中を通る尿の通路である尿道が何らかの影響で、外傷を来す状態を指します。 尿道という器官は、膀胱から身体の外に尿を運び出す事を主務とする管腔状のもので、 男性では全長17㎝程有り、女性の3~4㎝に比較すると男性は非常に長大です。 男性の方が長大である分、女性よりも外傷機転を招きやすい傾向が有ります。
逆に長大である為に、尿路感染症などは女性よりも低頻度であるというメリットも有ります。
男性の場合は、前立腺を貫く前立腺部、尿生殖隔膜を貫く隔膜部、 陰茎を通る海綿体部の3ブロックに大きく分かれます。 前立腺部には前立腺液を流し込む導管が開口しており、隔膜部には尿道球腺という分泌腺が開口しています。
原因となる外傷は、交通事故などの過大な外力が身体に及ぶものや、 治療などの医学的目的で挿入されるカテーテルや膀胱鏡などの内視鏡の影響、 自慰行為目的で挿入される異物などが主体です。
陰茎折症も、本症を高率に引き起こす可能性が有るため、 発症時・治療経過中と継続的に本症を示す臨床サインや検査結果を確認する事が必要です。
とりわけ陰茎折症に伴う尿道損傷の発生は、性行為中が比較的多いとされており、交通事故などの骨盤外傷に伴う場合とは、 障害される部位や損傷の程度が違う傾向が有ります。


【徴候と検査方法】
まず、身体的な理学所見徴候として、陰茎折症発症時における、 尿道口からの出血の確認が非常に重要となります。 しかし、陰茎折症における尿道損傷では、出血は受傷直後に必ず出現する訳では無く、 受傷程度によって出現しない場合や遅れて出現する場合が有るため、出血の有無を、 継続的に観察する事が必要です。
尿道損傷の可能性が疑われる場合には、術中に尿道造影を施行し、海綿体などへの造影剤の漏出や、 皮下への造影剤の漏出の有無を確認します。 尿道造影とは、造影剤という放射線撮影上で、 高信号で確認される物質を流しつつ放射線撮影する検査の事です。 この造影剤の漏出を確認する事で診断をする事が出来ます。 また、漏出のある受傷部位の手術的修復に移行します。


【特性】
尿道損傷は、その障害部位に応じて膜様部、球部、振子部の3つに大きく分類されます。 受傷機転によって障害部位が異なる傾向があり、例えば、 膜様部に関しては交通事故などによる骨盤骨折に伴って発生しやすいとされます。 球部に関しては、墜落などによって会陰部に強い外力が及ぶと、 恥骨と外力との間で挟まれる事で発生するという傾向が有ります。 球部は構造上彎曲している部位のために、カテーテルや内視鏡、異物の挿入の際に、 傷がつきやすい傾向も有ります。
ちなみに陰茎折症などのペニスの外傷は、露出部位である振子部での障害を生じます。 この振子部は、その名の通り可動性が有る為に交通事故などでは比較的発生しにくい傾向が有ります。
損傷に伴って出現する血腫は、損傷の部位によってその位置が偏在しやすい傾向が有ります。 そのため血腫の位置から、障害部位を推測する事が可能です。 膜様部では比較的に肛門周囲に血腫が発生しやすく、球部では比較的に会陰部に発生しやすく、 振子部においては陰茎腹面に発生しやすいとされています。 


【長期経過】
尿道損傷は陰茎折症の3.2%から22%ほど合併すると報告されており、 受傷の際は、上述した通り、継続的に尿道損傷が存在するかどうかを観察する必要が有ります。
創傷の治癒過程における尿道自体の狭窄化を来すことが有ります。 尿道の狭窄化は排尿を障害してしまい、結果として下部尿路症候群を引き起こす事が有ります。 また、海綿体への尿道からの瘻孔が形成されてしまい、排尿時に尿が海綿体側へ流れ込んでしまう場合も有ります。 長期的に形成されるこれらの合併症に対しては術後の定期的な観察が必要であり、 これらが確認された際には再度手術を検討します。


written by シアリス処方なら新宿ライフクリニック.