性同一性障害とはどのような状態なの? 日本性機能学会専門医が一般の方に向けて性別違和の4つの特徴をやさしく解説

性同一性障害の特徴に関して日本性機能学会専門医が解説しております。

  • 性同一性障害とはどのような状態なのでしょうか?
  •  これは、からだの性別と心の性別が一致しない状態で、性別違和とも言われます。
  • 性別違和には主に4つの特徴があります。
  •  それは 『性別のアイデンティティ』 『自分の性別への不快感』
  •  『反対の性別への同一感』 『反対の性役割の行動』 の4つです。
  • 日本では、今だ性同一性障害(性別違和)への誤解が多い傾向が有ります。

性同一性障害とは、からだの性別と心の性別が一致しない状態で、性別違和とも言われます。
本項では、日本性機能学会専門医が一般の方に向けて性同一性障害の4つの特徴をやさしく解説しております。



性同一性障害 (性別違和) のほとんどの方は、生まれながらに心と体の性が不一致の状態で、 これは自己選択や営利目的でそのようになるものでは全く有りません。


この性別違和の状態は二つに分類され、
からだの性別は男性だけど、心が女性である人はMTF(Male to Female)と言い、
からだの性別は女性だけど、心が男性である人はFTM(Female to Male)と言います。
こうした診断は、性同一性障害に関して十分な理解と経験をもつ精神科医2人の見解が一致する事で確定します。


性同一性障害は未だ、原因が明確に判明していない側面が有り、 その原因の仮説も、形態因説、ホルモン因説、染色体異常の関連説、遺伝素因の関連説、心理的原因説、社会的原因説など非常に多岐にわたります。 この中では現在の所、身体の性に対する脳の性分化障害が、有力な原因仮説と考えられています。


この性同一性障害には、 『性別のアイデンティティ』 『自分の性別に対する不快感・嫌悪感』 『反対の性別に対する強く持続的な同一感』 『反対の性役割としての行動』 以上、4つの主な特徴が有ります。


本邦では2004年に、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立し、 性別適合手術の実施を含む一定の条件のもとで、戸籍の性別変更ができるようになったにも関わらず、 性別違和への誤解は今だに多く残ってる状況です。


そこで本稿では、こうした誤解を払拭する一助となるべく、一般の方に向けて、 性別違和の4つの主な特徴を、日本性機能学会専門医がやさしく解説させて頂いております。 宜しければご一読下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【性別のアイデンティティ】
  2. 【自分の性別に対する不快感・嫌悪感】
  3. 【反対の性別に対する強く持続的な同一感】
  4. 【反対の性役割としての行動】

1.【性別のアイデンティティ】

性別のアイデンティティ

性同一性障害(性別違和)とはどのような状態なのか、解説させて頂く最初の特徴は 『性別のアイデンティティ』 についてです。


アイデンティティとは元々、個性や同一性を示す言葉ですが、性同一性障害における性別のアイデンティティとは、 まさに上記にある、からだの性別とは逆になる 『心の性別』 の事を示しています。 このからだの性別とは逆になる心の性別、性別のアイデンティティこそが、性別違和の最大の特徴なのです。


こうした性別のアイデンティティ 『心の性別』 について、その医学的判断は患者さん本人の主観だけでは判断されません。 これに関しては広く客観的な情報を踏まえて判断される必要が有ります。


詳しくは、本人の日常生活の状況、服装、人間関係、職業歴、周囲の人間の意見など、幾多の客観情報が集められ、 これに、更に客観性を持たせるべく、二人の精神科医によって、これらの情報が総合的多面的に判断され、 患者さんの性別のアイデンティティが医学的に判断されています。


2.【自分の性別に対する不快感・嫌悪感】

自分の性別に対する嫌悪感

性同一性障害 (性別違和) はどのような状態なのか、続いて解説させて頂く、その特徴は 『自分の性別に対する不快感・嫌悪感』 についてです。


性別違和はその特徴として、自分の 『からだの性別』 に対する不快感や嫌悪感を感じるという傾向が有ります。


こうした不快感や嫌悪感の具体的な表現としては、 自分の体に発生する第一次・第二次性徴から解放されたいという強い願望や、 自分が間違った性別に生まれたという確信、 また乳房やペニス・精巣などを自分で傷つけたりする自傷行為などが有ります。


また、からだの性別は女性だけど、心が男性である人の場合は、甲高くなる声を嫌い、声帯を傷つけたりする事も有ります。


3.【反対の性別に対する強く持続的な同一感】

反対の性別への同一感

性同一性障害 (性別違和) はどのような状態なのか、続いて解説させて頂く、その特徴は 『反対の性別に対する強く持続的な同一感』 についてです。


性別違和はその特徴の一環として、自分のからだの性別とは反対の性別に対する強い同一感が、持続的に存在するという傾向が有ります。 これは、例えば男性の体であれば、自分は女性であるという強い認識が、一過性ではなく 『継続的』 に存在している状態です。


こうした反対の性別に対する同一感の具体的な表現としては、 男性の体であれば、女性として通用する服装や言動を継続的に行っていたり、 ホルモン療法や手術療法によって、でき得る限り女性の身体的特徴を得たいという願望を継続的に持っている事などがあげられます。


4.【反対の性役割としての行動】

反対の性役割としての行動

性同一性障害 (性別違和) はどのような状態なのか、最後に解説させて頂く特徴は 『反対の性役割としての行動』 についてです。


性別違和はその特徴の一環として、自分のからだの性別とは 『反対の性役割』 としての行動をする、あるいは行動しようとする傾向が有ります。


これは例えば女性の体であれば、男性として一般的なしぐさや身のこなし・言葉づかいなど、からだの性別とは反対の性役割を望み、 それを実生活上に反映させている事になります。



以上、性同一性障害とは、どのような状態なのかを解説する上で、性別違和における4つの主な特徴に関して解説をさせて頂きました。


本邦では性同一性障害の啓蒙がほとんど進んでない事もあり、 未だに日常生活や社会生活上の差別が存在します。 本来、進んだ社会のあるべき姿とは、多様性を許容し、また多様性自体をツールとすることで発達していくものだと思われます。 当新宿ライフクリニックは、男性専用のED /AGAクリニックですが、 性差医療ならびに性同一性障害の誤解の無い一般化を応援しております。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-05-03)

日本性機能学会専門医証
※日本性機能学会について詳しくはこちら
新宿ライフクリニック院内看板
※新宿ライフクリニックについて詳しくはこちら



 ―このページの内容に関連した記事―