セックスの機能面にとって良い事は有りません
タバコは性機能にどのような障害を引き起こすのでしょうか?
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タバコによるセックスの悪影響とは?
【要約】
セックスの後のタバコが美味しいなんて良く聞く言葉ですよね。 タバコは自体は嫌いだけど、吸っている男性は好きという女性意見も有るようで、 私の知り合いでも、セックス後のタバコを吸っている男性の横顔が好きと言う意見を伺いました。 もちろん女性によって、その好き嫌いは前提としてあるかと存じますが、 タバコはセックス周辺におけるアイテム的な地位がある嗜好品と思われます。
このタバコですが、昔、自分が医学生の時、 メンソールのタバコを吸うと勃起への悪影響がある、 つまりインポテンスになると言われた事が有ります。 いわゆる根も葉もない都市伝説だと思って居たのですが、医師になって、 そして日本性機能学会専門医になってこれを思い返してみると、 これは一面の真実を突いている言葉でした。 ただし正確には「メンソール」のタバコでなく「全ての種類」のタバコがです。
メンソールタバコに使用されているメントール自体には、 特に勃起不全のリスクファクターとして認められているような悪影響は報告されていませんが、 タバコ自体は詳しくは後述しますが勃起不全のリスクファクターの一つであり、 セックスの機能に関しては明確な悪影響を与えるものです。
メンソールタバコの都市伝説は、 実際にこれを多用されていた方が勃起不全になった事で生まれたのではないか? と推測する所です。ただしその悪影響の本態はタバコ自体が原因ですが。
その他にもタバコのセックス関連機能に対する悪影響はそれにとどまらず、 詳しくは後述しますが、いわゆる「朝立ち」にも悪影響を与える事が確認されています。 「朝立ち」は一般の方にとって男性能力のわかり易い指標ですので、 この低下には結構ショックを覚える方も多そうです。
そしてこれも後述しますが、 タバコはセックス機能への悪影響となる他の代表的疾患、 ペロニー病のリスクファクターでもあるのです。
つまり纏めるとタバコはアイテムとしてのポジション以外、 およそ考えられる範疇の全てでセックスにとって望ましくない存在です。
今回はこのアイテムとしても悪影響要因としても、 セックスと関係性が濃厚なタバコの話です。 タバコのセックスへの悪影響に関して、日本性機能学会専門医の視点から纏めて見ました。 宜しければご参照下さいませ。
前項にてタバコつまり喫煙は勃起不全のリスクファクターであると記載いたしました。
タバコつまり喫煙は現状で最も新しい診療ガイドラインによると、 13種ある勃起不全のリスクファクターの中に内包されます。 喫煙以外のリスクファクターは、 加齢・高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満と運動不足・うつ症状・下部尿路症状・慢性腎臓病・睡眠時無呼吸症候群・神経疾患・不妊症・薬剤になります。 タバコは独立した勃起不全のリスクファクターであり、 セックスの能力に対して明確な悪影響を与えます。
アメリカにおける報告、マサチューセッツ男性加齢研究による縦断研究では、 約9年間のフォローでタバコを吸う人は、 吸わない人の2倍に及ぶ中等度ないし完全EDが発症していたと悪影響報告がされています。 その他オーストラリア、中国、カナダ、ブラジル、マレーシア、イタリア、 そして日本における横断研究でもタバコを吸う人は吸わない人に比べて勃起不全を発症し易い傾向を指摘されています。 このように多数の国における、多数の研究がタバコがセックスの能力に対して悪影響を与える事を結論付けています。 タバコが何故にこうしたセックスの能力に悪影響を及ぼすのかと言うと、 喫煙する事によって血管内皮機能障害が引き起こされ、 それが海綿体や陰茎の血管で発生する事により勃起不全を引き起こすからです。
セックスの能力低下が気になる方は、 勃起不全を引き起こす悪影響要因であるタバコは止められた方が望ましいと言えます。
タバコは血管内皮機能への悪影響から勃起不全によるセックスの機能障害を引き起こし得ると解説しましたが、 実はこのタバコはいわゆる「朝立ち」にも悪影響を与えると報告されています。
「朝立ち」は一般の方にとって男性のセックス能力の指標になっている事が多いですが、 臨床的にもセックスの能力の判定上重要な生理現象と言えます。 「朝立ち」は医学用語では「夜間勃起現象」と呼ばれ、 みなさんにとっては「朝」に遭遇する事が多いものだと思われますが、 実は朝だけでなく、睡眠中になんども起きるものです。 その検査としては「リジスキャンプラス」と言った機器を使用して、 十分な硬度、十分な長さの夜間勃起が、夜間に何度発生するかを測定し、 判定を行います。
タバコはこの夜間勃起現象の低下がしめすセックスの能力低下と用量相関的関係にあると報告されており、 これはタバコを吸えば吸うほど、夜間勃起現象に悪影響を与えるという事を示したものです。 「朝立ち」はよく一般の方にとって男性のセックス機能の指標として使用される事が多く、 その分「朝立ち」の減少は男性にとってとてもショックである事が有るようです。
纏めると「朝立ち」の減少を危惧される方はタバコは控えた方が望ましいという事になります。
実はタバコは勃起不全や朝立ちの減少などのセックスの能力低下以外にも、 セックス能力に悪影響を与える他の疾患の発症にも関わるとされています。
「ペロニー病」というペニスに発生する疾患があります。 本疾患の名前を聞いた事が無い方も多いかと存じますが、 実は男性の罹患率が5%と意外に高い発症頻度の疾患です。 ペロニー病は具体的にはペニスに硬結が出来る事で勃起した時にペニスが変形してしまう疾患で、 この変形程度が大きいと、膣に挿入が出来なくなる、つまりセックス能力への悪影響を来します。 タバコはこのセックスに悪影響を与えるペロニー病のリスクファクターの一つで、 本疾患へのタバコ以外のリスクファクターとしては、加齢、前立腺手術後、デュプイトラン拘縮などが代表的です。
ペロニー病は自然回復がほとんどないと報告されており、 その治療には手術を始めさまざまな方法が提唱されていますが、 これが決定版と言えるようなメインの治療方法は今だ明確では有りません。 そうした意味合いでペロニー病は予防的に扱った方が良いセックスの悪影響因子と言えます。
加齢や前立腺癌手術後などペロニー病の発症リスクがある方は特にですが、 タバコはペロニー病の予防的観点からも、やはり望ましくない習慣です。
以上、解説させて頂きましたが、 タバコはセックスに関連性の高いアイテムと言えますが、 セックスの機能を医学的に考えた場合、 望ましいとは全く言えない習慣です。
タバコはヘビースモーカーが1ヶ月禁煙する事によって、 ペニスの硬度と膨張度が速やかに改善されると報告されています。 しかし前出のマサチューセッツ男性加齢研究では禁煙者と喫煙者で勃起不全の改善率に差が無かったとも報告されており、 タバコをすでに吸われている方における勃起不全の2次予防に関しては現状、意見が分かれています。
しかし喫煙はロジカルには間違いなく血管内皮機能への悪影響がありますので、 こうした研究がどんどん進めば、 いずれはタバコをやめる事は勃起不全の二次予防上も望ましいという結果に収束するのではないかと推測されます。 また二次予防はさておき、 タバコは一次予防においてはセックス能力の保全を考えた場合、絶対的に止めた方が望ましいと言え、 現状、朝立ちの問題や勃起不全・ペロニー病の発症が無く、 かつ喫煙を習慣として持つ方は、今後のセックス機能への悪影響を考えた場合、 一次予防としての禁煙が望ましい事は言うまでも有りません。
セックス時のアイテムとしては有り、 しかしセックス機能への悪影響としては無し、 あなたはタバコをどうされますか?
新宿ライフクリニックでは、こうしたタバコとセックスの関連など、 多岐にわたる情報を発信しております。 性機能のお悩みがある方、 東京は新宿駅近くにお寄りの際は勃起不全専門治療施設の当院へどうぞお越しくださいませ。 日本性機能学会専門医がお悩みに対応させて頂きます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)