『透析されている方にEDは多いです。日本性機能学会専門医が解説する透析患者さんに勃起不全が多く発生する4つの原因』

血液透析を受けている方には勃起不全が多く見られます

透析されている方にEDは多く発生する傾向が有り、これには主に4つの原因が有ります。 それは 『血流の阻害』 、 『神経の障害』 、 『ホルモンの異常』 、 『一酸化窒素の低下』 です。


日本人における調査では30歳代の透析患者さんの勃起不全発症率は36.4%で、 この頻度は年齢を重ねるにつれて上昇し、なんと60歳代では93.1%にもなります。 この頻度の多さ故に、 『透析』 は日本性機能学会のガイドライン上も、 こうした男性性機能障害のリスクファクターの一つとして認識されています。


透析とはおもに 『血液透析』 の事を言います。これは機能が低下してしまった腎臓の代わりを、機械がおぎなう治療法で、 主に血液中の窒素・水・電解質などを調整しています。 日本人だけで33万人もの患者さんがいて、一年で1万人ずつ増加しています。


本稿では透析患者さんにEDが多く発症する原因に関して、日本性機能学会専門医がやさしく解説しております。 宜しければご一読下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【血流の阻害】
  2. 【神経の障害】
  3. 【ホルモンの異常】
  4. 【一酸化窒素の低下】

1.【血流の阻害】

血流の阻害は、透析における勃起不全発症の原因の一つです。

透析されている方にEDが多いと言う、その原因、まず最初は 『血流の阻害』 に関してです。


ペニスは海綿体に血液がたまる事で、硬く大きくなります。 しかし血管に問題が生じて血流の阻害が起きると、 上手く血液をためる事が出来なくなり、結果としてインポテンスを引き起こします。


実は透析患者さんはその78%に海綿体の動脈の閉塞所見が、 また90%に静脈閉鎖機構の不全が、 血管の問題として発生します。


このように透析患者さんでは動脈も静脈も高頻度に障害されてしまうので、 勃起に際して海綿体にあるべき血流が阻害されてしまい、 EDが多く発生する原因となっております。


この血流の阻害は、機能的な問題でなく、構造的な問題によるものなので、 透析患者さんにとっては治りにくい勃起不全の原因になります。


2.【神経の障害】

神経の障害は、透析における勃起不全発症の原因の一つです。

透析されている方にEDが多い、その原因に関して、こちらでは 『神経の障害』 に関して解説します。


ペニスは、脳における性的興奮が 『自律神経』 を介して伝わる事で、硬く・大きくなります。 この自律神経とは、体の様々な状況を 『人間の意識の外』 で調整する、まさに 『自律的』 に活動する神経なのですが、 実は勃起にとってはとても重要な存在なのです。


この自律神経が障害されますと、性的興奮の伝達をブロックしてしまいますので、 インポテンスが発生します。 透析患者さんには、感覚などを司る体性神経を始め様々な神経の障害が発生しますが、 この自律神経の障害は特に発生しやすい傾向が有りますので、 透析患者さんに勃起不全が多い原因になっています。


この自律神経の障害は、機能的な問題以外にも、組織の変化など構造的な問題からも発生しているため、 上記の 『血流の阻害』 同様に、やはり治りにくいインポテンスの原因になります。


3.【ホルモンの異常】

ホルモンの異常は、透析における勃起不全発症の原因の一つです。

透析されている方にEDが多い、その原因に関して、こちらでは 『ホルモンの異常』 に関して解説します。


ペニスが大きく・硬くなるには、様々なホルモンが適正な濃度に安定している必要が有ります。 この良く聞く 『ホルモン』 とはいったい何かと言うと、細胞が作る 『からだの調節物質』 の事です。


男性ホルモンの主役であるテストステロンは規定値を下回る事で、 また母乳を調整するホルモンであるプロラクチン (男性の体にもあるんです) は規定値を上回る事で、 それぞれ勃起などの性機能を低下させてしまいます。


透析を受けている方の場合は、酸化ストレスによってテストステロンが減少し、 、代謝の低下によってプロラクチンが増加してしまうので、 ホルモンの異常を原因としたEDが多く発生してしまいます。


4.【一酸化窒素の低下】

一酸化窒素の低下は、透析における勃起不全発症原因の一つです。

透析されている方にEDが多い、その原因に関して、最後は 『一酸化窒素の低下』 に関して解説します。


ペニスが大きく・硬くなるには、まず血管が大きく広がる事で海綿体に血液を呼び込む必要が有ります。 この人間のからだの中で、血管を広げる主要な物質が 『一酸化窒素』 です。


透析患者さんは、貧血による一酸化窒素を合成する酵素の機能低下が、 また一酸化窒素の合成を邪魔する物質の蓄積が発生し、 この二つの影響で体内の一酸化窒素が大きく低下しやすく、 これも透析患者さんに勃起不全が多い原因の一つとなっています。


この 『一酸化窒素の低下』 に関しては、いわゆる バイアグラなどの 『勃起不全治療剤』 が一酸化窒素の効果を行き渡りやすくさせる作用の薬剤である関係上、 『血流の阻害』 『神経の障害』 『ホルモンの異常』 などの他の原因に比較して、 勃起不全治療剤の効果が示されやすいです。


しかし透析患者さんでは、三種ある勃起不全治療剤の内、レビトラは使用禁忌なので服用自体ができず、 一方のシアリスに関しては薬効がかなり低い極低量のものの服用しか認められておりません。


そんな中で、唯一バイアグラのみが薬効のあり得る現実的な用量での慎重投与が認められておりますので、 透析患者さんの場合、バイアグラによるトライアルがお勧めと言えます。
ご興味の有る方は是非、お近くのEDクリニックにてご相談下さいませ。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-10-29)


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