バイアグラは子宮内環境を改善し女性不妊に好影響を与える可能性が有る



バイアグラは子宮内環境を改善し受精卵の着床率を向上させる

バイアグラを低下価格.新宿ライフクリニック


当クリニックは、男性を対象とさせて頂いておりますが、クリニックの性格上、不妊の相談を受けます。
不妊の原因は大きく分けて、男性側の因子、女性側の因子に分けられます。
男性側の問題である勃起不全は、バイアグラ等のED治療薬で多くは改善可能ですが、 女性側の問題である子宮環境、具体的には受精卵の着床環境についてもバイアグラがそれを改善し、 着床率を改善する可能性があるとする報告がございました。

女性膣内で射精された精子は、卵管内で受精し、子宮内膜に着床いたします。
このとき子宮内膜が着床の準備が出来ていなかった場合、残念ながら妊娠が成立しません。

子宮内膜の環境因子として、インテグリンやVEGF(血管内皮成長因子)が重要な役割を果たしている事がわかっております。
インテグリンは、細胞間や細胞と細胞外基質を結合し、相互作用する物質とされ、 子宮内膜のインテグリンの発現低下もまた、着床不全と不妊症につながるとされています。

VEGFは、強力な有糸分裂促進因子であり、血管透過性亢進作用、血管新生亢進作用も有します。
子宮内膜の血管が発達しなければ、着床に失敗し不妊となり得ます。

VEGFは卵巣にも作用します。
黄体期における血管新生や卵胞の発達を促すとされます。
卵胞液内のVEGFが高濃度であれば、良好な妊娠率、胚細胞の成長が得られるとされています。

バイアグラは、みなさん御存じのED治療薬の代表ですが、さまざまな作用の報告続いている薬剤の一つです。
一部の報告では、バイアグラを膣内投与する事により、子宮内膜の発達が促され、着床率が向上し、 妊娠率が向上するとしております。
ラットでの報告ですが、これとはまた別の、とても面白いものがございました。

ラットに対して、一日2回、バイアグラ(60mg/kg/日)を経口投与し、インテグリン、VEGFの発現が調べられております。
これによれば、バイアグラ投与群では、インテグリン、VEGFともに発現が増加していたとのことです。
このことは、先にも述べましたが、受精卵の着床率の向上につながると考えられ、妊娠率の向上が期待されます。

受精卵の子宮内膜への着床不全は、当然ながら不妊治療を行う上で、重要課題の一つであります。
しかも、現時点では有効な方法がなく、改善されていません。
この着床不全はもちろん受精卵側に問題がある事もございますが、子宮内膜環境が原因であることが2/3程度とされます。
排卵誘発剤は、不妊治療でしばしば行われる治療法ですが、着床不全が存在する場合、その効果は極めて限定的になります。

バイアグラと子宮内膜の関係を調べた研究は過去にもございます。
その多くは、バイアグラの血管拡張作用に伴う血流改善効果に注目したものです。 血流が改善する事により子宮内膜が肥厚し、着床率、妊娠率が向上したとするものです。

子宮内の血管透過性や血管新生には、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンが重要な役割を担います。 諸説ございますが、VEGFやインテグリンの発現が関わってきます。 月経周期のどの時期のどの部位に作用しているかなど様々な報告がございますが、不明な点も多くございます。

バイアグラは、詳細な機序は割愛いたしますが、一酸化窒素NOを増加させる薬剤です。
様々な研究報告により、このNOが排卵周期や妊娠に作用する事が示されています。 卵胞の形成や排卵、ゴナドトロピン放出ホルモンの分泌、胚細胞の成長などです。
男性の精子の運動に影響を与えているとした報告もございます。
そして、NOの合成が受精卵着床時に亢進していることが確認されており、感受性に影響致します。
NOを増加させることが血流増加につながり、着床率を向上させるとしています。

インテグリンやVEGFに注目した点が、ユニークな着目点だと思います。

しかし、ラットでの実験結果である事、バイアグラを60mg/kgもの大量の服用を要す事から、あくまでも基礎実験と言う事になります。
女性を対象にしたバイアグラの報告は、不感症などオーガズム障害に対する研究が多かったのですが、良好な結果が得られておりません。
我々も、作用機序や論文のデータから、女性への適応には否定的でしたが、これとは全く別の観点からのアプローチです。
研究データの蓄積から、不妊治療には男女でバイアグラを服用しましょう、なんて事にもなるかもしれませんね。

レビトラシアリスでの追加報告も望みます。


参考文献
Is sildenafil citrate affect endometral receptivity?
An immunohistochemical study.
GynecologicalEndocrnology October 2011;27(10):767-774