医師側の立場で申しますと、セックスも運動行為の一つであります。
全て制限することは簡単ですが、それでは生活の質を著しく損ねます。
適否を判断するのが医師の仕事になります。
セックスは、簡単な手荷物をもって、階段を3階くらいまで登ることが出来れば、
問題ないとされております。
より正確には、トレッドミルなどにより、運動耐容能を評価する必要が有ります。
安静座位時のエネルギー消費量は1METsと定義されていますが、セックスは4〜5METs程度の運動負荷量になります。
性行為を安全に行うには、マージンを取って、5〜6METsの運動耐用能が必要といわれています。
先に述べましたが、荷物を持って、3階まで階段で登った場合と同程度の運動量になります。
また、体位によって、運動負荷が変化します。
女性上位(いわゆる座位や騎乗位)では、運動量は低下致しますので、
体位を工夫するのも良いアイデアです。
セックスが通常の運動と異なるのは、性的な高揚感を伴う事です。
オーガズム時の高揚は、瞬間的な血圧や心拍数の変動を伴う事が有ります。
お酒を飲まれていたり、いつもと異なったパートナーやシチュエーション等、
過剰な刺激などの因子によっても変化いたします。
判断が困難な場合もございます。
主治医と相談して下さい。
バイアグラ,
レビトラ,
シアリスの心臓への負担増加は、心配しなくとも良いと考えます。
それ以上に問題なのは、心臓病によって運動制限を指示されているか否かです。
先にも述べましたが、セックスは運動行為です。
運動が制限される場合、その程度にも因ってしまいます。
ED治療薬の服用が、心筋梗塞など心血管疾患を誘発する可能性も、心配しなくてよいと考えます。
バイアグラが市販されて10年以上経過しましたが、現在では、ED治療薬と心疾患の因果関係は否定されています。
常用薬との兼ね合いも考える必要が有ります。
心臓病治療として、ニトログリセリン系の薬剤を服薬している場合、一部の抗不整脈薬を利用している場合は、
残念ですが、ED治療薬は使用できません。
別項で併用禁忌薬のリスト
を作っております。
ご参照ください。
期外収縮の原因に因ります。
期外収縮は、睡眠不足やストレスが原因となったり、高血圧などの基礎疾患から生じる場合もございます。
一般的には、ED薬の服薬は可能です。
期外収縮は、突然死など重篤となる事がない不整脈です。
そのため、動悸など自覚症状が無ければ、治療の適応が無い事がほとんどです。
以前から指摘されている場合は、そのまま様子を見て頂いてよいと考えます。
有る時期に突然発症した場合や増加した場合は、一度、循環器科を受診される事をお勧めいたします。
何らかの基礎疾患が存在する可能性があります。
例外として、肥大型心筋症を基礎に期外収縮が生じている場合は、ED治療薬の服用はできません。
抗不整脈薬を服用中であれば、その種類によって服薬の可否が異なります。
心房細動では、抗凝固薬の処方を受けている場合が多数ございます。
以前は、抗凝固薬というとワーファリンしかございませんでしたが、
最近では、新薬が多数市販されております。
現時点では、いずれの抗凝固薬とED治療薬の併用は問題ないとされます。
カテーテルアブレーションによって不整脈が根治されている場合、 運動制限が支持されていない場合は、一部の抗不整脈薬の服用が無い場合、 ED治療薬の使用は可能です。
ペースメーカーを留置する代表疾患として、洞不全症候群や完全房室ブロックが挙げられます。
その他にも除脈性心房細動などでも留置される場合が有ります。
いずれの場合も、ポイントは、運動制限が指示されているか否かです。
ペースメーカー自体の問題はございません。
医師により運動を制限されていなければ、特に問題はありません。
可能です。
ポイントは、やはり、運動制限が指示されているか否かになります。
植え込み型除細動器自体には、問題はございません。
また、セックス中に除細動が発動した場合、パートナーを関電させてしまうのではないかと考える方がいらっしゃいますが、
パートナーに害を与えるようなショックはございません。
残念ですが、勃起薬との併用はできません。
バイアグラ、レビトラ、
シアリスとニトログリセリン系薬剤/硝酸剤の併用すると、
過度の血圧低下をきたすためです。
狭心症や心筋梗塞が原因はなく、お薬に相性の問題です。
狭心症や心筋梗塞を罹患された場合でも、ニトログリセリン系薬剤/硝酸剤の使用が無ければ、
勃起薬の服用は可能です。
不整脈の問題と抗不整脈薬の問題と分けて考える必要が有ります。
まず、不整脈の問題ですが、運動により誘発される可能性が有るため、
運動制限を指示されている場合は、残念ですが、バイアグラもレビトラもシアリスも服薬できません。
次に、抗不整脈薬ですが、一概に抗不整脈薬と言っても、にも、多種多様であり、
抗不整脈薬の種類によって、服用の可否が異なって来ます。
代表例を挙げると、Ⅲ群に分類されるアンカロン(塩酸アミオダロン経口錠)を服用の方は、
バイアグラ、シアリス、レビトラともに服用できません。
レビトラは、Ⅰa群、Ⅰc群の抗不整脈薬との併用は、禁忌となっております。
Ⅱ群(β遮断薬)、Ⅳ群(カルシウム拮抗薬)は、併用は問題ありません。
ご自身での判断は危険ですの止めてください。
主治医と相談して頂く、当院へ連絡ください。
心機能の問題と併用薬の問題と分ける必要が有ります。
まず心機能ですが、運動制限が指示されているか否かが判断基準となります。
セックスできる運動耐容能があれば、セックス可能です。
利尿薬、強心薬は、勃起薬との併用は可能です。
主治医と相談してください。
肥大型心筋症例でのバイアグラ、レビトラ、シアリスの使用実績が十分では有りません。
末梢血管を拡張する薬剤は、肥大型心筋症の左室流出路の圧格差を増大させ、
症状を悪化させる可能性があります。
バイアグラ、レビトラ、シアリスの服用は控えてください。
心臓病は、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患から、弁膜症、心筋疾患など、バリエーションに富んでいます。
その各々で、適応が異なる場合がございます。
治療薬も異なり、医師による判断が必要です。
ご自身で判断するのは危険ですので、お止め下さい。
医師の判断なしに、治療薬も中断することも止めてください。