『バイアグラは老人に効果が少ない?後期高齢者にバイアグラが効きにくい原因3つを新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説』

バイアグラは老人に効果が少ない?

  • バイアグラは老人に効果が少ないです。
  • 後期高齢者にバイアグラが効きにくい原因は主に3つ有ります。
  • それは加齢に伴う 『生理的な血管内皮機能の低下』、
  •  また 『男性ホルモンの生理的な低下』 、『加齢による生活習慣病の蓄積』 以上の3つになります。

バイアグラなどの勃起改善薬は、老人とくに後期高齢者には効果が少ない、もしくは効きにくい事が有ります。


現在、日本は世界でも類を見ない、未曾有の超高齢化社会に突入しており、今後世界的に進んでいくあろうとされる高齢化における、 先行したロールモデル国家になろうとしています。 そうした中、今後の社会の中心層である老人のQOLを考えた場合、後期高齢者の性生活は検討を欠くことの出来ない重要な生活要素であり、 その一環として、老人、特に後期高齢者に頻発するEDに対してのバイアグラなど勃起改善薬の運用は社会的にも非常に重要なテーマの一つと思われます。


しかしバイアグラを初めとするED薬、勃起不全治療薬には、老人には効果が少ないという前提の問題があり、 後期高齢者におけるバイアグラの運用を考える上では、何故に、後期高齢者にバイアグラが効きにくいのか? そうした原因を細分化し、その原因ぞれぞれにアプローチをする必要性が有ると言われております。


こちらのページでは、こうした内容を踏まえて、バイアグラが老人に効果が少ない、あるいは後期高齢者ではバイアグラが効きにくい、 そうした原因を、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医がそれぞれ解説をさせて頂いております。
宜しければご一読下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【生理的な血管内皮機能の低下】
  2. 【男性ホルモンの生理的な低下】
  3. 【加齢による生活習慣病の蓄積】

1.【生理的な血管内皮機能の低下】

生理的な血管内皮機能の低下

バイアグラは何故に老人、特に後期高齢者には効果が少ない、もしくは効きにくい事があるのでしょう? こちらではその3つの原因の内、加齢に伴う 『生理的な血管内皮機能の低下』 に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。


元々、勃起という生理現象は、ペニスの海綿体の動脈が開く事で海綿体に血液が蓄積されて発生します。 この動脈を開くという機能が、まさに血管内皮機能であり、 バイアグラなどの勃起改善薬もこの血管内皮機能上で作用する薬理システムとなっております。


ただ、この血管内皮機能は、体の筋力や体力などと同様に、 ライフサイクルが老人、後期高齢者と進むにつれて、自然に低下して行ってしまいます。


そうした生理学的に自然な加齢性の血管内皮機能低下によっても、段々と勃起の調子は低下して行きます。 またバイアグラなどの作用主座である血管内皮の機能低下によって、 勃起改善薬の作用も段々と悪くなって行きます。


このように、加齢に伴う自然な血管内皮機能の低下もまた、 老人、後期高齢者とライフサイクルが進む事で、バイアグラの効果が少なくなる、もしくは効きにくくなるという、その原因の一つになるのです。


2.【男性ホルモンの生理的な低下】

男性ホルモンの生理的な低下

バイアグラは何で、後期高齢者など老人において、効きにくい、もしくは効果が少なくなってしまうような事が起きるのでしょう? こちらではその3つの原因の内、加齢に伴う 『男性ホルモンの生理的な低下』 に関して、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。


上記 【生理的な血管内皮機能の低下】 に勃起機構の最終段階として 『血管内皮機能によって動脈が開く』 というステップについて解説させて頂きましたが、 それでは、一方の勃起機構の最初のステップとは、いったいどのようなモノになるのでしょう?


それは『性欲』の発生です。 性欲の発生が、勃起という一連の生理学的な機構の最初のステップとなります。


この性欲という情動は ①男性ホルモンの分泌亢進 ②視覚・触覚など性的な感覚刺激 主にこの二つの影響を持って、脳内で発生します。 しかし①の男性ホルモンは、その分泌量が20歳代の頃から、加齢に伴い自然に低下して行ってしまいます。


こうした男性ホルモン分泌の加齢性の低下に関しては、個人差は大きいのですが、 老人、特に後期高齢者に至る頃には、殆どの方でその分泌量はかなり低値になっており、 中には性欲の維持に至らない血中濃度レベルになってしまう方も多くいらっしゃいます。


逆に言えば、バイアグラは脳において性欲を亢進させるような危険な薬理作用をもちませんので、 老人、特に後期高齢者において、男性ホルモンの加齢性の分泌低下による 『性欲の減退』 が前提として有る場合は、 バイアグラは効果が少ない、もしくは効きにくくなってしまう事が十分にあり得ます。


このように、加齢に伴う自然な男性ホルモンの分泌低下も、後期高齢者レベルの老人においては、 バイアグラが効きにくい、もしくは効果が少なくなるという、その原因の一つになります。


3.【加齢による生活習慣病の蓄積】

加齢による生活習慣病の蓄積

バイアグラはなぜに、老人、特に後期高齢者において効きにくい、もしくは効果が少ないような事があるのでしょう? 最後にこちらでは、その3つの原因の内、加齢による 『生活習慣病の蓄積』 に関して新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きます。


個人差はあれども、どうしても生活習慣病は老人、後期高齢者とライフサイクルが進むにつれて、発症ならびに累積しやすくなってきます。


そうした一例ですが、年齢を重ねて行くと、体力の低下にともなって運動量も低下しやすくなり、 その結果、体の脂肪が落ちにくくなってしまいます。この運動量の低下・脂肪の蓄積は、血糖を調整するホルモンであるインスリンの動きを悪くさせ (インスリン抵抗性と言います)、 結果として肥満の他にも糖尿病を副次的に発症させやすくなってしまいます。


また上記、加齢による【生理的な血管内皮機能の低下】 が発生すると、血管の柔軟性が低下してしまうので、血管内腔を流れる血液による圧力、 すなわち血圧がどうしても上昇傾向になってしまい、その結果として高血圧が発症しやすくなります。


このように加齢によって老人、後期高齢者とライフサイクルが進むと、どうしても生活習慣病の発症そしてその累積が否めず、 また、これらの生活習慣病は、それぞれED:勃起不全症を発症させるリスクファクターにもなります。


こうしたリスクファクターが多数蓄積した、言わば 『多重リスク』 状態においては、 血管内皮を薬効の主座とするバイアグラなど勃起改善薬はどうしても、効きにくい、もしくは効果が少なくなってしまう傾向が否めません。


このように、加齢に伴う生活習慣病の累積は、老人、特に後期高齢者において、 バイアグラの効果が少ない、もしくは効きにくいという、その原因の一つになり得ます。



以上、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が、バイアグラが老人、特に後期高齢者において効果が少ない、もしくは効きにくいという、 その3つの原因についてそれぞれ解説をさせて頂きました。


なお、近年の研究では、加齢の進行は人によってばらつきがとても大きい事がわかってきており、 一言に老人、後期高齢者とは言っても、その性機能などの身体的能力は、個人差がとても大きいです。


アンチエイジングに気をつけている後期高齢者の中には、中年レベルの性機能を維持されている方もいらっしゃいます。 こうしたアンチエイジングにおいて、特に重要なのは、適切な運動習慣を継続する事、 また適切な体重を維持する事、この二つになります。 皆様も適切な運動習慣の継続、また適切な体重の維持に気をつけて見て下さい。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医・総合内科専門医:須田隆興、最終確認日:2023-05-02)

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