本剤の使用方法に関する情報を新宿ライフクリニックから
ニトロとの併用は非常に危険です。
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バイアグラとニトロの併用は、バイアグラの適応上、 禁忌中の禁忌、つまりこの併用は命の危険性があります。
具体的にはこの併用で著しい血圧低下を引き起こす事があり、 これによるショック症状自体の危険性、 また心筋梗塞・狭心症発作の出現時にこうした著しい血圧低下が出現した場合、 心筋梗塞や狭心症の重大な悪化の危険性が危惧されます。
ニトロすなわちニトログリセリン、亜硝酸化合物、亜硝酸剤、硝酸剤、 一酸化窒素供与剤等は狭心症や心筋梗塞の特効薬です。 「ニトロ」という名称が一般的だと思われますので、 本稿ではニトロの名称で解説を主に進めます。
ニトロの助けがあって初めて、 心臓カテーテルによるこれらの疾患に対する緊急処置が奏功する側面もあり、 現在の狭心症、心筋梗塞の治療・管理上、ニトロは絶対に欠かせない存在です。 しかしこのニトロはバイアグラと最も相性の悪い薬剤であり、 バイアグラの禁忌指定、 すなわち本剤を絶対に使用できない危険な状況として、 ニトロとバイアグラの併用は筆頭にあげられるものです。
バイアグラが薬効を示す勃起不全/EDは近年、狭心症や心筋梗塞のマイルストーン、 つまり警告疾患的なポジションであるとも言われています。 と、申しますのも勃起不全も狭心症・心筋梗塞も動脈硬化性疾患である糖尿病、 高血圧、脂質異常症、肥満症などの影響を受けて進展、増悪、発症をする疾患だからです。 こうした動脈硬化性疾患による影響の極期が狭心症・心筋梗塞であり、 その前の段階に勃起不全の発症があるため、 勃起不全が狭心症や心筋梗塞の警告疾患と目されているのです。
つまり動脈硬化を母体に勃起不全が発症進展している方は、 そのまま動脈硬化が進展して行くと、 何れは狭心症や心筋梗塞を発症する可能性が高いと言う事です。 これは勃起不全の方がそのまま動脈硬化が進行すれば、 狭心症などの特効薬であるニトロを使用するようになるかも知れないと言う事を示しており、 ここにバイアグラの適応を判断する上で非常に大切なポイントが有ります。
本稿ではこのバイアグラとニトロとの併用の危険性をお伝えする為に6項目に分けて、 これを詳細に記載しております。ご参照くださいませ。 なおバイアグラに関してニトロ併用以外の危険性に関しては別項に詳述してあります、 よろしければ、ご参照くださいませ⇒ バイアグラ危険性の説明
上記にニトロとバイアグラの併用が大変危険であることを記載しましたが、 実際このニトロとはどのようなお薬なのでしょうか?
ニトロは「血管拡張薬」つまり血管を開く事で作用を示す薬剤で、 主に狭心症・心筋梗塞の慢性期管理や急性期治療に使用されます。 このニトロは全身の静脈を開く事、また細い動脈を開く事で心臓の負担を軽減でき、 また心臓に酸素や栄養を送る冠動脈と言われる重要な動脈を拡張する事ができます。
狭心症や心筋梗塞はこの冠動脈が狭窄したり閉塞する事で心臓に酸素や栄養が行き渡らなくなる事で、 心臓の筋肉が死んでしまう事がその疾患の本態です。 つまりニトロは冠動脈を広げる事でこの疾患の本態に有効に作用する事ができます。 ニトロは狭心症や心筋梗塞の方にとっては命を繋ぐ大切なお薬です。
このニトロの仲間には、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、イソソルビド(一硝酸)イソソルビド(二硝酸) などが有ります。
ニトロが如何に重要な薬剤かお分かり頂けたかと存じます。 このニトロとバイアグラの併用がとても危険である事は冒頭でも述べてますが、 実際の所、バイアグラとニトロの併用は具体的にどのような危険状態になるのでしょうか?
バイアグラとニトロつまり硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤との併用は著しい血管拡張による、 全身の血圧低下が強く発生する危険性があります。 こうした血圧低下は全身にショック状態を来す危険性がまずあり、 そして狭心症や心筋梗塞の方にとっては全身の大きな血圧低下は、 ただでさえ少なくなっている冠動脈への血流がより減ってしまう事で、 これらの疾患を重症化する危険性もあります。
すなわちニトロとバイアグラの併用は死に繋がる危険性がとても高いという事です。 実際にアメリカや日本の心肺蘇生法のレクチャーでも、 狭心症や心筋梗塞が疑わしい場合に、最初にバイアグラなどの勃起改善薬を併用していないかどうか、 確認をします。 これは狭心症や心筋梗塞の急性期治療に必要なニトロが併用可能かどうかを早急に判断するためです。
実際にニトロとバイアグラを誤って併用してしまった危険な状況においては、 どのような処置をする事になるのでしょうか?
ニトロとバイアグラ併用によって生じた血管拡張による血圧低下には、 まず下肢を高位に保つようにして、 輸液をすることで循環する血液の量を増加させます。 これによっても血圧が戻らない場合や緊急性を要する場合には、 末梢血管収縮薬の使用を考慮する必要がありますが、 狭心症や心筋梗塞がある状態の方には末梢血管収縮薬は非常に使用しにくい薬剤の一つです。
またバイアグラとニトロを誤って併用してしまった場合は、 どちらの薬をどのタイミングで服用しているのか、 その時間が非常に大切な情報です。 主治医に本人もしくは家族がこの時間を伝える事は治療上とても大切です。
バイアグラ服用からニトロの併用は何時間が危ないのでしょうか?
これは上記の 「主治医に本人もしくは家族がバイアグラとニトロを誤って併用してしまった時間を伝える事が重要」 と記載した事に関連します。
バイアグラ50㎎を内服した場合、その最高血中濃度が192ng/mlですが、 バイアグラ投与の24時間後にはこの血中濃度は定量限界値の1ng/ml付近になります。 このバイアグラとニトロを誤って併用してしまった事における時間的経過には確定証拠はないのですが、 この結果からはバイアグラ服用の24時間以内はニトロの使用は極めて危険であると言えます。
バイアグラを安心して利用するため、また危険を回避するためには、 もちろん狭心症や心筋梗塞の方、またニトロを使用されている方はバイアグラを使用しないのが前提ですが、 それ以外の方においては狭心症や心筋梗塞の前段階であるかどうかのご自身の体への把握が非常に重要と言えます。
いまだ狭心症や心筋梗塞を指摘されていない方が、バイアグラを使用していたとして、 その状況である日狭心症や心筋梗塞を発症した場合、バイアグラの服薬タイミングによっては、 狭心症や心筋梗塞の特効薬であるニトロを使用することができない事もあり得ます。
その場合は心臓カテーテル等の処置まで全身状態の維持が出来ず、 処置前に死んでしまう事もあるかもしれません。 つまりバイアグラを安心して利用するためには、そしてこうした危険を回避するためには、 ニトロを使用しうる事態が発生するかを日ごろの健康診断や人間ドックを介して、 ご自身の体を把握される事が肝要です。
また動脈硬化性疾患である糖尿病、高血圧、脂質異常症などをお持ちの方は、 運動療法、食事療法を積極的に導入して頂き、これらの疾患をコントロールして、 勃起不全の先にある狭心症や心筋梗塞を発症しないように予防的に対処する事も非常に重要です。
当新宿ライフクリニックは糖尿病専門医、内科専門医、 アンチエイジング専門医等を擁する専門医のいるEDクリニックです。 ニトロとバイアグラの併用の危険性など様々な専門的インフォメーションが可能です。 新宿ライフクリニックへ新宿駅にお寄りの際はご気軽にご相談にいらしてくださいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)