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『肥満がバイアグラの効果を下げてしまう3つの理由に関して新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説』

肥満がバイアグラの効果を下げてしまう
  •  肥満はバイアグラの効果を下げてしまいます。
  •  そうした理由は代表的に3つ程あり
  • 一つ目は肥満自体がもともとEDのリスクファクターである事
  • 二つ目は肥満が二次的に他のEDリスクファクターをも引き起こしてしまう事
  • 三つ目は肥満が男性ホルモンの活動を抑制してしまう事、になります。
  •  一方、肥満の方の適切なダイエットはEDの加療上も望ましいとされています。

  

肥満はEDを増悪させ、またバイアグラの効果を下げてしまう原因になる事が有ります。 そうした理由には主に3つあり、 理由の一つ目は肥満自体がEDのリスクファクターである事、 二つ目は肥満によって二次的に他のリスクファクターも引き起こされてしまう事、 三つ目は肥満によって男性ホルモンの動きが抑制されてしまう事、になります。 肥満の性機能に対する悪影響に関しては、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医外来でも解説をさせて頂いているものになります。


肥満と判定される方は、アメリカ人では全体の41.9%、日本人では男性の33.0%、女性の22.3%を占めており、 この割合は大規模な統計調査が行われる度に、増加していく傾向にあります。 我々の所属する文化圏において、肥満のある人の方が多数派になろうとしているこの状況において、 幾多の医学会が肥満による健康上の問題に対して警鐘を鳴らしています。


そして、この 『肥満』 は性機能に対しても悪影響を及ぼします、 そうした悪影響の一つには、バイアグラなどのED薬に対する効果の低下も有り、 本稿では、こうした肥満の影響がバイアグラの効果を下げてしまうという理由を3つに分類し、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。 宜しければご一読下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【肥満自体がEDのリスクファクター】
  2. 【肥満により二次的に他のEDリスクファクターも引き起こされる】
  3. 【肥満により男性ホルモンの動きが抑制される】

1.【肥満自体がEDのリスクファクター】

肥満自体がEDのリスクファクター

肥満がバイアグラの効果を下げてしまう、その3つの理由に関して、まず最初にこちらでは、肥満自体がEDのリスクファクターである事に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きます。


実は 『肥満』 は、それ自体がすでに、日本性機能学会によって規定されているEDのリスクファクターの一つになります。 肥満は、EDを発症させ、また増悪させてしまう、EDの独立したリスクファクターである事が、日本人ならびにアメリカ人における研究において、 すでにしっかりと確認されていて、EDの改善を目的とした肥満に対する適切なダイエットはED診療ガイドラインにおいても推奨されているものになります。


バイアグラは例えば、加齢性に発症するEDにもよく使用されている勃起改善薬ですが、 肥満の有る70歳代と肥満の無い70歳代の男性において、バイアグラの薬効を比較した場合、 肥満の無い70歳代の方が、バイアグラの効きが良い可能性が高いです。


それはED自体が、元々、複数の因子、例えば、加齢・喫煙・運動不足・生活習慣病など複数の原因が関わって発症する傾向のある 『多因子疾患』 になるのですが、 肥満はこれらリスクファクターに付加的な増悪要因としてEDに更なる悪影響を与える傾向があるため、 リスクファクターが加齢のみよりも、加齢+肥満と重複している方が バイアグラの薬剤への反応性を低下させる、すなわち、よりその効果を下げてしまうという可能性があります。


2.【肥満により二次的に他のEDリスクファクターも引き起こされる】

肥満により他のEDリスクファクターも引き起こされる

上記に肥満がバイアグラの効果を下げる3つの理由の筆頭として 『肥満、それ自体がEDのリスクファクター』 である事を解説させて頂きました。 こちらでは肥満により他のEDリスクファクターも二次的に引き起こされてしまう事に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。


上記したように肥満はEDの独立したリスクファクターになるのですが、 この 『肥満』 が他のリスクファクターよりたちが悪いのは、 二次的に他のEDリスクファクターをも引き起こしてしまう所にあります。


肥満は、血圧の平均値を上げる事で 『高血圧』 の発症に関与し、 またインスリンの動きを抑制する事で 『糖尿病』 の発症に関与し、 また気道周辺の脂肪の蓄積によって 『睡眠時無呼吸症候群』 の発症にも関与します。


これら 『高血圧』 『糖尿病』 『睡眠時無呼吸症候群』 はいずれも肥満同様、EDの独立したリスクファクターになりますので、 肥満は、肥満単独だけでなく、他のEDリスクファクターをも引き起こして、EDの多重リスク化を招く事で、 肥満単独よりもさらにEDを増悪させ、その結果バイアグラの薬剤反応性を低下させる、 つまり多角的にバイアグラの効果を下げてしまう怖れが有るのです。


こうした肥満による多重リスクへの誘導は、動脈硬化の形成に関してはすでに広く認知されているものであり、 いわゆるメタボリックシンドロームと、それに対する成人検診は、 まさにその肥満を主軸とした動脈硬化への多重リスク化の抑制に対応した社会的アクションの一つになります。


3.【肥満により男性ホルモンの動きが抑制される】

肥満により男性ホルモンの動きが抑制される

肥満がバイアグラの効果を下げてしまうという3つの理由の内、肥満が単独で、 また二次的にも、EDを増悪させてしまう傾向がある事に関して解説をさせて頂きました。 最後にこちらでは 『肥満により男性ホルモンの活動が低下する』 事に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きます。


上記の 『肥満により二次的に他のEDリスクファクターが引き起こされてしまう』 という解説の中で、 「肥満はインスリンの動きを抑制する事で糖尿病の発症に関与する」 と記載させて頂きましたが、 これは肥満がインスリンという血糖をコントロールするホルモンの動きを抑制してしまう 『インスリン抵抗性』 という状態を引き起こす事で、 そうした環境を作り上げてしまうといったものになります。


実は男性ホルモンにおいても、インスリンと同じように、肥満がホルモンの活動がしにくい環境を作り出すとされており、 近年、肥満状態になる事によって、男性ホルモンの動きも抑制されてしまうという事が臨床研究によって分かり始めています。 男性ホルモンは男性らしい肉体の維持や認知機能の保全など、性機能だけにとどまらず、様々な役割を担っているホルモンですが、 実は勃起という生理現象においては、男性ホルモンは 『性欲の亢進』 という、 その作用の根幹に関わる重要な役割も持っています。


バイアグラはあくまで性欲有りきで作用するペニスの局所血管拡張薬なので、 肥満によって男性ホルモンの動きが抑制される事で性欲が低下した場合、 やはりその効果が下がってしまう事が危惧されます。


このように肥満は上記のような一次的、かつ二次的なEDリスクファクターの発生による勃起不全症の増悪からだけでなく、 男性ホルモン作用の抑制という理由からもバイアグラの効果に対して悪影響を与える事が想定されています。



以上、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から、肥満がバイアグラの効果を下げてしまうという3つの理由に関して解説をさせて頂きました。


肥満に関連して発生する、様々なバイアグラ効果への悪影響を上記に解説させて頂きましたが、 その一方で、肥満は勃起不全症を増悪させバイアグラの効果を下げてしまう 『EDリスクファクター』 の中においては、 『改善ができるもの』 にも分類されています。


例えば 『老化』 によるバイアグラ効果への悪影響などは、どんなに工夫を凝らしても、完全にその悪影響を打ち消せるものでは有りません。 しかし 『肥満』 はたとえ難しく見えたとしても、適切な方法とやる気さえ有れば、改善が可能なものでも有ります。 肥満はいまや日本人の国民病でも有ります。皆様もぜひ適切なダイエットを行い、肥満の改善に取り組んでいきましょう。




(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2024-07-03)

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