時に、バイアグラと精力剤との併用に関しての質問を受ける事が、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医外来にてございます。
EDの方が初めて、勃起不全の症状に遭遇した時、連想する事が多いその原因としては 『精力の不足』 すなわち、 自分の体の中の性的なエネルギーの低下がその原因であると、そのように考えられる方が割と多く、 新聞や雑誌、あるいはインターネット上に広告のある、 いわゆる 『精力剤』 と呼称される高価なサプリメントをまず購入してしまう、 そういったケースがまま見うけられます。
しかしEDとは実はペニスの血管における機能的な問題から発生する事が主体で、 その発生原理は、動脈硬化を母体とした脳梗塞・心筋梗塞などの疾病に共通したものがあり、 いわばEDは 『血管のお病気』 と言う事が出来ます。 つまりEDは精力不足といった曖昧な概念が主因の疾患では元々無いのです。
そしてEDを改善するバイアグラなどのPDE5阻害薬と言われる薬剤は、いわゆる精力剤ではなく、 その実質はペニス局所の血管拡張薬であり、 自然な性欲の発生を元に、ペニスの血管拡張を手助けする事で、この血管の機能的な問題を一時的に改善する役割のお薬になります。 つまりバイアグラは、上述したような性的なエネルギー不足や精力を改善すると言ったものでは全く無いのです。 その機能としては、全身の血管を拡張する事で血圧を下げる 『降圧薬』 などの方が、 概念としては精力剤よりもバイアグラに近いモノが有ります。
ただ、こうしたバイアグラが機能するシステムを知らない人にとっては、 広告上にある 『精力剤』 とバイアグラとの区別は付きにくいものと思われ、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医外来でも、バイアグラとこうした精力剤との併用による相乗的作用の有無などについて、 質問を頂く事がよく有ります。
しかし、残念ながら、これら精力剤と呼ばれるものとバイアグラとを併用したとしても、 バイアグラの薬効を助ける事にはならず、 これらの併用には特に意味が無いと言えます。
もしバイアグラの作用を助けるものが有るとしたら、 一つはバイアグラによるペニスの血管拡張効作用を補助する力のあるもの、 もう一つはバイアグラの作動に必要な性欲を発現・亢進する力のあるもの、 以上、この2つが想定されます。
こちらのページでは、患者さんからのバイアグラと精力剤との併用に関しての質問に対応すべく、
精力剤成分として代表的な、マカ・ヨヒンビン・ガラナなどをサンプルとして、
バイアグラと精力剤との併用に、特に意味が無いという、
その2つの理由を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説させて頂いております。
よろしければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
バイアグラと精力剤の併用に関して、この併用には意味が無いという、その2つの理由から、 こちらではマカ・ヨヒンビン・ガラナなど精力剤と呼ばれるものがバイアグラの血管拡張作用を補助する可能性が無い、 もしくは、とても弱い事について、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
併用する事でバイアグラの機能を補助する薬剤を想定した場合、 バイアグラのペニスに対する局所的な血管拡張作用を増強するものなどが検討されますが、 マカならびにガラナには、前提として、こうした血管拡張に関わる効果自体が全く有りません。
その一方でヨヒンビンには、血管拡張作用が確認されてはいますが、 まずその作用がとても微弱である事、 またその作用にペニスへの局所性がない事、 以上からヨヒンビンにもバイアグラのようなPDE5阻害薬の血管拡張作用を増強する力は明確には無いものと思われます。 科学的検証上もヨヒンビンの勃起改善効果は有意なものではないとも報告されております。
このように代表的な各精力剤における検討上では、 血管拡張など血管への作用から、併用をする事でバイアグラを補助する精力剤というものは、現在の所、明らかなものは存在せず、 血管への機能上の理由においては、バイアグラと精力剤の併用には全く意味が無いと言えるかと存じます。 こうした解説内容は新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医外来でも、ご提供させて頂いているものになります。
バイアグラと精力剤との併用に意味が無いという2つの理由の内、 こちらではマカ・ヨヒンビン・ガラナなど精力剤と呼ばれるものが性欲の発現・亢進に関連しない事に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
併用する事でバイアグラの機能を増強する、もしくは発現させやすくする薬剤を検討した場合、 バイアグラの最大の効果出現機転である 『性欲の発現・もしくは増強』 を司るような薬理成分にも、 そうした可能性が有ると言えるかと存じます。
性欲とは、脳で発生する神経学的な興奮なので、これが発現・増強されるという事は、 精力剤がこうした脳の中枢部分に影響を与え、人の情動をコントロールする事ができるという事になります。 仮にこれら気軽に手に入れる事が出来る 『精力剤』 によって、人の性欲を発現させたり増強させたりする事ができるのだとしたら、 そこには極めて高い社会的危険性があり、性犯罪への利用が危惧される事もあって、もしそうした機能が本当に有るとしたら、 高い確率で脱法ドラッグ同様、販売規制のある薬剤になってしまうものかと存じます。
しかし、ご安心頂きたいのは、これら精力剤には、こうした脳の性欲中枢に作用するといった科学的根拠は一切ございません。 それはマカ・ヨヒンビン・ガラナいずれの精力剤も同様になります。
このように代表的な精力剤での検討においては、 性欲の発現・亢進から、バイアグラの機能を補強するという根拠について明らかなものは全く無く、 このように性欲への影響がない事は、バイアグラと精力剤の併用には意味が無いという、もう一つの理由になり得るかと存じます。 上記の 【精力剤は血管拡張を補助しない】 同様、 こうした解説内容は新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医外来でも、ご提供させて頂いているものになります。
それでは、勃起に関わる血管機能において補助にならない、また性欲の亢進にも関連しない、 これらマカ・ガラナ・ヨヒンビンと呼ばれる 『精力剤』 とは一体何なのでしょう?
まずマカに関しては、これは栄養価がとても高い食用の根菜の一つと言えます。イメージとしては高麗人参に似ています。 つづいてガラナに関しては、タンニンやカフェインが豊富に含まれている木の実ですので、コーヒーによく似たカフェインを飲用するための果実というイメージです。 そして最後にヨヒンビンに関しては、生薬由来の成分として一部の受容体への作用を持ち、マカ・ガラナと違い、血管機能に作用するものでは有りますが、 その効果自体がとても軽微なので、やはりEDに効くという根拠に関してはこれも希薄かと存じます。 正直、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医としては、 これら精力剤が提示している値段に見合う、EDへの有用性は全く無いと思われます。
以上、新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医がバイアグラと精力剤との併用をメインテーマに、 バイアグラと精力剤の併用に意味が無いという、その2つの理由に関して解説をさせて頂きました。
効果に客観性がなく、かつ高額な精力剤には、くれぐれもお気をつけ下さい。
これらがEDに作用するという科学的な根拠はとても希薄です。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2024-09-17)
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