『バイアグラなどの勃起改善薬を使用している男性は性病にかかりやすい』 という海外からの報告が有ります。 これは2010年にハーバード大学医学部の研究チームから報告されたものです。
本ページではこの報告を、当院にて実際にED患者さんからお伺いした内容を元に日本性機能学会専門医が検証してます。 ちなみに結論から申し上げると、 『バイアグラなど勃起改善薬のユーザーは性病に罹りやすい』 可能性が高い と思われます。
これは、特に本剤が体の免疫を下げて、性病に罹患しやすくなると言った薬理面の話では全くなく、 本剤ユーザーのセックスに関連した傾向自体が罹患率を上げているという可能性を指摘したものです。
『性病』 という言葉は略称で、正式には性行為感染症、もしくは性感染症 (STD:sexually transmitted disease) と呼ばれます。 これは性行為を通じて人から人へ病原微生物が伝わっていくお病気の事を言いますが、 性行為とは特にセックスだけでなく、セックスに関連した行為も含みます。
代表的にはエイズ (HIV) 、梅毒、淋病、ウィルス性肝炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、疥癬、毛じらみ、伝染性単核症などで、 その種類はとてもたくさん有ります。
こちらのページでは本剤ユーザーが性感染症に 『かかりやすくなる要因』 ならびに、 『かかりにくくなる要因』 を当院で実際にお伺いした内容を元に記載し、 どちらの可能性が高いのかを検討しております。
<当ページの項目リスト>
こちらではバイアグラユーザーが性行為感染症に罹患しやすくなる要因に関して、 実際に当院外来にてお伺いしたケースから説明をしております。
EDの方の中にはコンドーム装着のタイミングで勃起の勢いを無くしてしまう方がいます。 実際にお伺いした内容として、少しでもバイアグラの効果を発揮させようと、 コンドームの利用を止めてしまう方がいました。
もちろんコンドームは代表的な性感染症の予防策ですので、 これを止めてしまう事は疾患をうつされる可能性を高めてしまいます。
本剤の利用によって勃起不全が改善する事で、 セックスの頻度が大きく増加したという方がいらっしゃいました。
性病は性行為を感染契機にしているので、その頻度の上昇自体が性感染症の危険性を直接的に高める事になります。
服薬によってEDが治ることで、 背景をよく知らない女性とのセックスが増えたと言う方がいらっしゃいました。
上記の 『頻度』 と同様に、性行為の 『対象者が増える』 事でも性感染症にはかかりやすくなります。 よく知らない女性なら尚更キケンです。
服薬によって、膣内挿入よりもペニスの硬さを必要とするアナルセックスが、 またできるようになったと言う方もいます。
しかしアナルセックスは通常の性交よりも、 エイズやウィルス性肝炎など一部のSTDにおいては感染リスクを大きく高めてしまう傾向が有ります。
このクスリには昔から 『性病を防ぐ効果がある』 という誤解があり、 この誤解を元にだいぶ無防備な性交をしていた方がいました。
こうした誤解がある方は他にも多くいらっしゃるようで、ファイザー社による本剤の添付文書にも 「本剤には性感染症を防ぐ効果はない」 と明示されています。
こうした効果への誤解も本剤が関連したSTDの危険因子と思われます。
こちらではバイアグラユーザーが性病をうつされ難くなる要因に関して、 当院外来にて実際にお伺いしたケースから説明をしております。
上記1.のA.〔コンドームの使用を止めてしまう〕と全く逆の状況です。 ED患者さんには、まさにコンドームを装着しているタイミングで萎えてしまう方がいますが、 服薬のおかげで状況が改善したため、以前よりもきちんとゴムを使用するようになったとお伺いするケースが有りました。
上述の通り、コンドームには妊娠を防ぐ以外にも感染予防器具としての側面があるので、 これは本剤が関連した性病にかかりにくくなる要因と言えます。
中折れによってコンドームは膣内で外れやすい傾向が有りますが、 本剤の利用によって中折れが少なくなり、ゴムが外れにくくなったとお伺いする事が有りました。
感染予防器具が外れにくくなったと言う事は、 間接的にはその効果によって性感染症をうつされにくくなったと言えます。
バイアグラは医師のみが処方する事ができますので、 本剤のユーザーは、性に関連した知識の豊富な医師と定期的に面会する事になります。
当院の外来でも、処方時に正しい性感染症予防の知識を求められる事があり、 こうした正しい知識の習得機会が増える事は、 この薬剤が関連した性病に罹りにくくなる要因になると思われます。
果たして、バイアグラなど勃起改善薬のユーザーは性行為感染症に罹りやすいのでしょうか、 それとも罹りにくいのでしょうか?
外来にて勃起改善薬のユーザーに面談している実感としては、 『性病に罹りやすい』 可能性の方が高いと思われます。 上記に1. 【かかりやすくなる要因】 、また2. 【かかりにくくなる要因】 を記載しましたが、 頻度で言うと圧倒的に1. 【かかりやすくなる要因】 をお持ちの方が多数派だからです。
特に1.B.〔セックスの頻度が増加する〕、1.C.〔よく知らない女性とセックスする〕を併せ持つ方、 つまり本剤を使用して 『不特定多数と性行為をする方』 が本剤ユーザーには多い傾向があり、 こうした傾向自体が、ユーザーに性病を引き起こしやすくさせているのだと思われます。
しかし本剤の薬効自体に性感染症にかかりやすくさせる要素が有るわけでは無いので、 ユーザーによる予防的対策は十分に可能です。
その対策とは1. 【かかりやすくなる要因】の逆を行う事です。
宜しければご参考にして下さいませ。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-05-06)
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