毛じらみ症は 『毛じらみ』 という、とても小さな昆虫が陰毛あたりに住み着いて、 これが血を吸う事で、蚊のようにかゆみを引き起こすお病気です。
ほとんどのケースで、ひとの陰毛から陰毛へと移っていくので、性行為感染症:つまりセックスに伴い、 移っていくお病気の中に加えられています。
ただ距離感の近いお母さんと小さな子供などで、共用のタオルやシーツなどを介して移ってしまう事もあるので、 性行為だけでなく、家族内で流行しやすい事もあります。
こちらでは日本性機能学会専門医が毛じらみ症に関して、やさしく、平易に、かつ詳しく、解説させて頂いております。 宜しければご一読下さいませ。
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一般的に、毛じらみ症の症状は 『激しいかゆみ』 です。
『毛じらみ』 という小さな昆虫が陰毛に住み着いて一ヶ月くらいすると症状が始まります。 個人差はありますが、余りのかゆさに陰毛のあたりの皮膚を搔き壊してしまう事もあって、そこに二次的な細菌感染を起こすこともあります。
また、長い事、毛じらみに血を吸われていると、陰毛のあたりの皮膚が色素沈着し、 『青灰色』 になってしまう事も有ります。
かゆみを感じるのは、主な感染部位の 『陰毛のあたり』 が中心ですが、頭の毛、まつ毛、まゆ毛、肛門の毛、わき毛、むな毛、ヒゲなど、全身のあらゆる体毛にうつりうるので、 こうした所にかゆみを感じる事もあります。
一般的には、どなたかとセックスして、1ヶ月後くらいに陰毛のあたりの皮膚に激しいかゆみを覚える場合、毛じらみ症が疑わしい状況となります。
しかし、毛じらみ症でも、かゆみがあまり無い場合もあって、自分が感染しているとは知らずに人にうつしてしまう場合も有ります。 あなたとしかセックスをしていない方が、あなたとのセックスの1ヶ月後くらいに毛じらみ症と診断された場合、 ご自身が毛じらみ症の 『もと』 かも知れません。こうした場合もご自身の毛じらみ症が疑わしい状況です。
また、あなたが奥様以外の 『疑わしい』 お相手とセックスをして、 1-2ヶ月後くらいに同居している、いずれかの家族に毛じらみ症が診断された場合も、 ご自身が毛じらみ症の 『もと』 かも知れません。こうした場合もご自身の毛じらみ症が疑わしい状況と言えます。
これらの状況に身に覚えがある場合、まずは皮膚科の先生にご相談に行きましょう。
毛じらみという虫の特徴は、まず、おとなの虫でも体長1㎜前後しかなく、とても小さな虫である事です。 おとなの虫は体が円形で、二本の触角と左右合計6本の脚が出ています。 ヒトの陰毛の毛根にかぎ爪で張り付いて暮らしています。
実はこの虫は、ほとんど人間にしか住み着かず、人間から離れると2日しか生きられません。 あまり移動もしないため、人間によってヒトの陰毛からヒトの陰毛へと運ばれて行きます。
よく誤解があるのですが、特に不潔なヒトに住み着く訳では有りません。 毛じらみの住んでいる部分が、他の 『毛の生えている部分』 に濃厚に接触すると、 清潔・不潔に関わらず、そこに移り住みます。
毛じらみの卵は1週間で孵化して、生まれて2週ほどでおとなになります。 おとなになって4週くらい生きて、その間に交尾をして、メスが1回当り40個ほどの卵を産みます。 つまり放っておくと、この虫はどんどん増えてしまいます。
毛じらみ症の診断は、虫もしくは虫卵を発見する事が主体です。 また虫の糞のあとも診断の参考になります。
ただ虫も卵もとっても小さく、肉眼では見にくいので 『ダーモスコピー』 と呼ばれる皮膚を拡大して見る事の出来る拡大鏡を使って、 お医者さんがこれらを探します。
ちなみに前述のように毛じらみによる感染だったとしても、陰毛部分でなく、 頭髪など他の毛の部分がかゆくなる事も有ります。
それでは 『頭じらみ』 と この『毛じらみ』 などはどのように診断を分けているのでしょう?
これは、しらみの間でも種類が変わると、①体の形、②爪の形、③卵の突起の数、④卵の接着部分、がそれぞれ違ってくるので、 虫や卵さえ見つかれば、これをよく観察する事で、容易に診断を分ける事ができます。
毛じらみ症の一番シンプルな治療方法は、感染部分の毛を全体的に剃ることです。 毛じらみは人間から離れたら2日しか生きていけないので、 その住処をヒトから無くす事で卵も虫もいなくなります。
でも剃りたくても、感染部分が頭や眉毛の場合などは、剃るに剃れないですよね?
こうした剃ることが出来ない部分の感染ケースでは、殺虫剤を治療につかいます。
いわゆるピレスロイド系殺虫剤です。
でもこの殺虫剤は虫には効いても、虫卵には効かないので、卵がかえる周期に合わせて、
複数回使用する必要が有ります。
感染しているヒトのセックスのパートナーは既に感染している可能性がとても高いので、症状が無かったとしてもすぐに受診するべきです。 また、毛じらみ症は家族の間でも移りやすいので、時には家族全員に治療が必要な場合もあります。
感染者が使った衣類、タオル、シーツなどからも、他の人にうつってしまう可能生があるので、 これらの物品は使用後に熱湯につけるなどの加熱処理が必要です。
毛じらみ症はとても再発しやすいので、治療が済んでも油断せずに、 完治したかどうか、お医者さんにキチンと見て貰いましょう。
毛じらみ症はセックスでうつるお病気、いわゆる 『性行為感染症』 ですが、 残念ながら、他の性行為感染症のようにコンドームは有効な予防策にはなりません。 コンドームは装着してたとしても、セックスの時には自分の陰毛と相手の陰毛がふれあってしまいますので、 毛じらみ症の予防にはならないのです。
毛じらみ症の一番の予防は、もちろん 『疑わしい相手』 とはセックスをしない事です。 しかし、そうも行かないという事で有れば、 毛じらみ症の住処になりうる、ご自身の陰毛を事前に剃っておく事です。
ただし剃りたての皮膚は防御力が低いので、毛じらみ症以外の他の疾患に感染しやすくなる事にくれぐれもご注意下さい。 また、毛じらみ症が疑わしいヒトは、梅毒やHIVなど他の性行為感染症にも罹患している可能性が高いので、 毛じらみ症には、意味が無いとしても、必ずコンドームなどの感染予防措置をするようにしましょう。
( ※当、新宿ライフクリニックはED、AGA専門の保険外診療のクリニックです。
本ページは性に関連した情報提供の一環として記載しておりますが、
当院では毛じらみ症の加療をしていないので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
毛じらみ症でお悩みの際はお近くの皮膚科にてご相談下さいませ。)
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-03-09)
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