【NAIONの発症とバイアグラ、レビトラ、シアリスの使用】
非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION;non-arteritic anterior ischemic optic neuropathy)
とは痛みを伴わない突然の視野欠損を主兆とする視神経の疾患で、
その発症とバイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED/勃起不全治療薬の使用との関連が検討されています。
・緑内障・眼圧とこれらの薬剤の関連については別ページに記載しております:詳しくはコチラ→緑内障
・バイアグラの他の眼合併症である彩視症に関しても別項にて記載しております:詳しくはコチラ→彩視症とバイアグラ
【NAIONとは】
視神経への血液の供与が停止する事により視神経細胞が機能不全を生じたり、壊死してしまったりします。
こうした状態を虚血性視神経症と呼びます。虚血性視神経炎には動脈炎性のものと、非動脈炎性のものがあります。
この非動脈性のものがNAIONになります。
動脈炎性のものは側頭動脈炎に合併するものが多いとされていて、
側頭動脈炎とは自己免疫疾患の一つとも言われる頭蓋周囲の動脈に血管炎を発症する疾患になります。
一方の非動脈性虚血性の視神経症であるNAIONは原因が不明の疾患になります。
因果関係は不明ですが、
バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED/勃起不全治療薬の使用者にNAION発症のわずかな相関関係があるとされています。
【NAIONの疫学と改善経過】
NAIONは50歳以上の中高年に発症する事が多い視神経症です。
発症の機序は不明なものの、
リスクファクターは明確で高血圧、糖尿病、加齢、心疾患、脂質異常症などが相当するとされています。
これらのリスクファクターはそのままED/勃起改善薬のリスクファクターに相当します。
NAIONは直接的に有効な治療法はいまだ確立されておらず、高血圧、糖尿病、
脂質異常症など視神経への血液供給に影響を与える因子の改善が現状における治療の主体になります。
ただしNAIONは、
約40%のケースが特に治療をしなくても時間の経過とともに改善するとされており、
一度発症し、改善した眼には再発はしないとされています。
発症しなかった方の眼も5年以内に10~34%がNAIONを発症するとも言われています。
【バイアグラ、レビトラ、シアリスとNAIONの関係】
バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED/勃起不全治療薬の使用中にNAIONを発症したという報告があるため、
バイアグラ、レビトラ、シアリスの添付文書には同疾患が低頻度発生する副作用として報告されています。
しかしNAIONの発症システム自体が不明なので、生理学的な機序をもってバイアグラ、レビトラ、シアリスが
NAIONを引き起こしているかも不明です。
ED/勃起不全とNAIONは前述にある通り、ほとんどのリスクファクターが共有されているので、
偶発的に合併発症した可能性も高いと思われます。
少なくとも本邦においては、今のところバイアグラ、レビトラ、シアリスの使用中に、
NAIONを発症したという明確な報告は未だ無い模様です。
written by 新宿でレビトラなら新宿ライフクリニック.