『 EDと前立腺肥大症による排尿障害は一緒に起きやすいの?日本性機能学会専門医が解説する勃起不全と前立腺肥大の症状との4つの共通原因』

前立腺肥大の排尿障害とEDは伴い易い

EDと前立腺肥大症の主症状である排尿障害は一緒に起きやすいです。 それはこの二つが、共通の原因を4つも持っているからです。 その4つとは 『自律神経の乱れ』 『骨盤内の血流の悪化』
『酵素の感受性の亢進』 『一酸化窒素の低下』 です。


元々、前立腺肥大と勃起不全は、似ている点が多いです。 どちらも男性だけのお病気で、患者さんがとても多く、また年齢を重ねるにつれて出現しやすくなる傾向が有ります。


そして、前立腺肥大症の主症状である排尿障害が始まると、インポテンツもまた始まり易くなります。 これは、どちらも複数の原因がありますが、その内、4つもの原因が共有されている事に由来します。


また、そうした原因の共通性の高さから、バイアグラなどのインポテンツに使用される薬剤は、 この疾患による排尿障害を改善する効果も有ると言われています。


こちらページでは、EDと前立腺肥大の症状が一緒に起きやすい理由である所の、 4つの共通した原因に関して、日本性機能学会専門医が分りやすく解説しております。 宜しければご一読くださいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【自律神経の乱れ】
  2. 【骨盤内の血流の悪化】
  3. 【酵素の感受性の亢進】
  4. 【一酸化窒素の低下】

1.【自律神経の乱れ】

自律神経の乱れはEDも、前立腺肥大症の排尿障害も引き起こします

EDと前立腺肥大の主症状である排尿障害、これらの共有された原因について、最初は 『自律神経の乱れ』 に関して解説します。


自律神経は文字通り 「自律的」 に働く神経で、我々が指先を操作するようには操れないものです。 この神経の命令は交感神経と副交感神経とに種類が分かれて伝わります。 この二つの神経はお互いに補い合いながら、バランスを取りながら、我々の体を日々調整しています。


前立腺肥大では、この交感神経の活動が一方的に強くなる事で前立腺の筋肉を引き締めてしまい、おしっこの通り道を狭めてしまいます。 その結果として排尿障害が発症します。


一方ペニスでは、この自律神経から性的な興奮が伝わる事で、硬く・大きくなる事ができます。
上記の様に交感神経の活動が一方的に強くなると、 副交感神経との作用のバランスが乱れてしまい、結果として神経性の勃起不全を発症させてしまいます。


このように 『自律神経の乱れ』 は前立腺肥大の症状そしてED、どちらの原因にもなるので、これらを一緒に引き起こしてしまう事があるのです。


2.【骨盤内の血流の悪化】

骨盤内の血流の悪化は、前立腺肥大症の症状と勃起不全の共通の原因になります。

前立腺肥大症の排尿障害とEDにおける共通した原因、
次は 『骨盤内の血流の悪化』 についてです。


骨盤は人間のおしりの部分にある、丈夫な骨によって区画された部分で、 そこの中には膀胱や勃起に関連したシステムなど複数の器官が含まれています。


前立腺肥大があると、この骨盤内の血流が滞ってしまう傾向があります。 その影響で前立腺自体が充血して浮腫んでしまい、結果として尿道への圧迫が強くなり排尿障害が引き起こされます。


一方、ペニスは海綿体に血液を集める事で、硬く、大きくなる訳ですが、骨盤内の血流が滞ってしまうと、 海綿体が血液を効率良く集める事ができなくなり、結果としてインポテンツを引き起こしてしまいます。


つまり 『骨盤内の血流の悪化』 もまた、勃起不全と前立腺肥大の排尿障害を一緒に起こし易くしてしまうのです。


3.【酵素の感受性の亢進】

ある酵素の感受性の亢進は、EDそして前立腺肥大症の排尿障害の原因になります

EDと前立腺肥大の排尿障害における、共有された原因、続いては 『酵素の感受性の亢進』 についてです。


Rhoキナーゼ(ローキナーゼ)という酵素が人間の体の中にはあります。 この酵素はカルシウムに反応して内臓の筋肉を収縮させる働きが有ります。


前立腺肥大によって膀胱の出口が狭まり、膀胱内部の圧力が高まると、この酵素のカルシウムに対する感受性が上がってしまい、 膀胱の筋肉が収縮しやすくなる事で排尿障害が更に悪化しやすくなります。


一方、この酵素の活性化は海綿体などの血管の拡張を邪魔することで、ペニスの海綿体に血液を集めづらくさせてしまい、 結果として勃起不全を引き起こしてしまいます。


このようにローキナーゼという 『酵素の感受性の亢進』 が前立腺肥大の排尿障害にとっても、そして勃起不全にとっても、 発生原因となり得ます。 これもこの二つの状態が伴って起きやすくなる理由の一つです。


4.【一酸化窒素の低下】

一酸化窒素の低下は、前立腺肥大症の排尿障害にとっても、勃起不全にとっても原因となります。

前立腺肥大に伴う排尿障害とEDとの共通の原因、最後は 『一酸化窒素の低下』 です。


一酸化窒素(NO)は人間の体の中で重要な役割を持っています。 それは血管を拡張させる主要な物質である事、また内臓の筋肉の緊張を和らげる作用がある事です。


骨盤内にてこの一酸化窒素の合成が低下してしまうと、膀胱や前立腺の筋肉の緊張が和らぎにくくなります。 その結果、尿道が狭まってしまう事で排尿障害が発生しやすくなります。


また骨盤内で一酸化窒素の合成が低下すると、ペニスの海綿体の血管が開きにくくなる事で海綿体が血液を集めにくくなる結果、 勃起不全が発症しやすくなります。


つまり 『一酸化窒素の低下』 は前立腺肥大の症状を悪化させると同時に勃起不全も引き起こしうるので、 この二つの状態が一緒に起きやすくなるのです。



以上、 『EDと前立腺肥大症の排尿障害には4つの共通の原因が有るために、一緒に発症しやすくなる。』 といった内容に関して解説をさせて頂きました。


前立腺肥大症による排尿障害、そして勃起不全、どちらにもお悩みの方は、 まずは前立腺肥大による排尿障害の治療を優先しましょう。 治療が進むにつれて、勃起不全も改善してくる可能性が有ります。


残念ながら、こうした排尿障害の改善にインポテンツの改善が伴わない場合は、 文中でも記載しましたが、 どちらにも良い影響のあるバイアグラなどのPDE5阻害薬をトライしてみましょう。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-11-11)


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