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『あなたもEDに誤解が有るかも? 勃起不全症の代表的な4つの誤解に関して日本性機能学会専門医が解説』

EDへの誤解

EDという疾患は実は誤解のとても多いお病気です。
当院の外来においても、患者さん達からこうした 『間違った認識』 に関してお伺いする事が多々あります。 その内容は代表的には 『診断』 『治療』 『発症年代』 『勃起改善薬』 と4種の内容に及びます。



皆さんは勃起不全症というお病気をご存じでしょうか? 実はこの疾患はとても患者数が多く、日本人男性だけでも1000万人以上存在すると推定されており、 この規模はなんと日本人の糖尿病の総患者数に匹敵するとされています。


そんなポピュラーな疾患なのに、なぜか間違った解釈をされやすい傾向があるため、 EDの専門外来においては、正しい知識をお教えする事も大事なお仕事の一つとなっています。


こちらページでは、当院の専門外来にてお伺いした、この疾患への誤解を 『診断』 『治療』 『発症年代』 『勃起改善薬』 と4つのカテゴリーに分けて日本性機能学会専門医がやさしく解説させて頂いております。 このページをお読みになっているあなたにも、思い当たる勘違いが有るかも知れません。
宜しければご一読下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【診断に関しての誤解】
  2. 【治療についての誤解】
  3. 【発症年代の誤解】
  4. 【勃起改善薬の誤解】

1.【診断に関しての誤解】

診断に関しての誤解

最初に、こちらではEDの 『診断』 に関しての誤解について解説します。


診断に際して 『必ずペニスを出さなければいけない』 というのは誤解です。
実の所、ほとんどの患者さんはペニスを出す事なく、問診主体の診療でEDの診断は完結します。
それは何故かと言うと、ペニスの大きな変形や精巣の極端な萎縮などが無ければ、平常状態のペニスはさほど有用な診療情報にはならないからです。


それよりも、どのような状況で勃起不全症になるのか?などの詳細な発症エピソード、また近年の健康診断の結果、常用しているお薬の服薬状況、 年齢などの身体情報等の方が、本疾患の診療情報として有用な事が多いです。


『必ずペニスを出さなければならない』 と勘違いされている場合、受診へのハードルが上がってしまうのか、 「なかなかクリニックまで来ることが出来なかった・・・」 と後々お伺いする事も有ります。
しかし、それは誤解ですので、これから受診をご検討されている方には是非ともご安心頂きたく存じます。


また診断に際して 『必ず採血などの具体的な検査をしなければならない』 というのも誤解です。 EDの疾患定義は 『満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態』 とされており、 このように、ご本人の把握している 『状態』 を中心に設定されているものなので、必ずしも採血などの具体的な検査をしなければ、 その治療を受けられない訳ではありません。


『必ず採血などの具体的な検査をしなければならない』 と勘違いされている方は、検査費用や針の痛みなどがネックとなって、 受診しにくくなってしまっている状況もあるようですが、それもよくある誤解ですので、どうぞご安心頂きたく存じます。


2.【治療についての誤解】

治療についての誤解

続いて、こちらではEDの 『治療』 についての誤解に関して解説します。


この治療に関して、本疾患を 『永続的に治す事ができる』 という認識は、誤解と言えます。
現在、医学的根拠がキチンとある本疾患の治療方法の中で、これを永続的に治せるものはいっさい存在致しません。 これらの治療法はあくまで効果がある間、一過性の改善をみせるものが主体です。


人生において最高の性機能がある時期が十代から二十代とされていますが、例えばこの 『永続的に治す』 と言う事が、 四十代以降のご年齢の方を十代から二十代の性機能に戻す事だと言われれば、皆様も 「それは難しいのではないか?」 とお感じになるでしょう。


勃起不全症は、多くの原因が関わり発症する多因子疾患ですが、本質的には年齢が増すにつれて病状の程度と頻度が増していく、 『加齢性の疾患』 です。年齢に応じて、勃起機能などの性機能が低下していくのは人間だけでなくあらゆる生物の宿命なので、 これを永続的に治す事は、再生医療などが超高度に発達しないかぎり不可能です。


もちろん、原因となる疾患の治療、生活習慣の改善、精神状態の改善などによって、EDが一過性に良くなる事はあります。 しかしその方の年齢が10年経ったら、10年経ったなりの性機能の低下は必ず有り、 それによって本疾患が顕在化しやすくなるのは実はとても自然な事なので、 本疾患を治療によって完全に治し、生涯にわたって同じような性機能を維持できるというのは誤解なのです。


3.【発症年代の誤解】

発症年代の誤解

続いて、こちらではEDの 『発症年代』 の誤解について解説します。


この発症年代に関して 『若い人はEDにならない』 という考えは誤解です。 実は当院の古参の再診患者さんでも、10代、20代の若い方は本疾患を発症しないと、 間違えて認識されている方がいらっしゃいます。


上述させて頂きましたが、本疾患は本質的には 『加齢性の疾患』 なので、 若い方よりも中高年の方の方が出現しやすい状況は否めません。 しかしリスクファクターが有れば、たとえ10代の方であっても本疾患は発症します。


こうしたリスクファクターは 『喫煙』 『心理的要因』 『肥満と運動不足』 などが代表的です。 喫煙習慣、高度の精神的ストレスもしくはプレッシャー、あるいは過ぎた肥満や運動不足などのリスクファクターが有ると、 お若い方であっても本疾患を発症しやすくなるので、 『若い人はEDにはならない』 というのは勘違いなのです。


ただ、お若い方の場合、中高年の方と比較して、ダイエット、定期的運動習慣の導入、プレッシャーやストレスのマネジメント、禁煙など、 生活上の工夫によって本疾患が改善しやすい傾向は有ります。 しかし、この改善はあくまでも一過性で、これも上述させて頂きましたが、 10年経過すれば10年経過しただけのベースの性機能の低下は必ず見られるため、 いずれは年齢を重ねるに従い、生活上の工夫で改善しにくい勃起不全が発症するようになって行きます。


4.【勃起改善薬の誤解】

ED薬の誤解

最後に、こちらではEDの治療薬であるバイアグラなど 『勃起改善薬』 に関する誤解に関して解説します。


これら勃起改善薬に関して 『依存性がある』 というのは誤解です。 何故か、睡眠薬などとイメージが被るのか、これらの薬剤に肉体的な依存性があると、 間違って認識されている方がいます。


しかし、 バイアグラの生産・販売元であるファイザー株式会社は、一般薬理試験また反復投与毒性試験において、 中枢神経系への影響が確認されなかった事から、 本剤には依存性は無いと公式かつ明確に報告しております。


また、これら勃起改善薬に、媚薬のごとき 『催淫効果・性欲増進作用が有る』 というのも誤解です。 催淫作用・性欲増進作用、つまり 『その気がない人をその気にさせる効果』 とでも言いましょうか、 本剤がセックスに関連した製剤がゆえに、こうした勘違いをしやすいのかとも思われますが、 ファイザー社は公式かつ明確にこうした作用に関しても否定しております。



以上 EDという疾患への 『診断』 『治療』 『発症年代』 『勃起改善薬』 と4つのカテゴリーに渡る代表的な誤解に関して解説をさせて頂きました。 本ページを読まれている、あなたにも思い当たる勘違いがあられたのでは無いでしょうか?


EDは性に直結した問題だけに、流言飛語が多く、 特にインターネットにおいて、一般の個人さんが発信している情報にその傾向が強いです。


外来において、こうした間違った認識を是正するのに苦労する事もありますが、 日本性機能学会専門医として正しい情報を啓蒙する事はとても重要な責務ですので、 皆様には、どんな些少な事でも、ご遠慮なく申し上げて頂きたく存じます。


みなさまのご相談を心よりお待ち申し上げます。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-11-25)


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