【レビトラの連日投与とED/勃起不全】
レビトラは、
その有効成分名をバルデナフィル塩酸塩水和物と正式には言います。
本剤は世界的製薬会社のバイエル社から製造・販売されているED/勃起不全の治療薬です。
バイアグラ
やレビトラのような薬剤はカテゴリー的にはPDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ5阻害薬)と言い、
NO:一酸化窒素と言う、
人体において血管拡張作用のメインとなる物質をPDE5と言う酵素を阻害する事によって活性化させて、
局所的に血管の拡張を引き起こす、局所的血管拡張薬とも言えます。
つまり、レビトラは基本設計上は短期的にED/勃起不全の改善を示す薬剤であり、
他の疾患の治療効果や連日投与によるベーシカルな勃起機能の長期的改善などは当初の開発上は、
期待されていませんでした。
しかし現在、ED/勃起不全治療薬であるPDE5阻害薬等は、
肺動脈や尿路、血管機能の改善に対する効果がロジカルに認められつつあり、
その一部はED/勃起不全治療を主眼としない薬剤としてリメイクされ、
実際に処方箋医薬品として登録されているものも有ります。
また本項のメインテーマになりますが、
レビトラにおいては、一過性のED/勃起不全の改善が主眼であったはずが、
レビトラはラットに対する連日投与によって、陰茎周辺の血行動態の改善や組織構造の保持に基づく、
基礎的な勃起機能の長期的改善が見られると報告されており、
このレビトラの連日投与の効果が人間に対しても普遍性を持つのならば、
将来的にはレビトラの連日投与によるED/勃起不全の基礎治療が設定される可能性も有ります。
本稿では、こうしたレビトラなどのPDE5阻害薬の良い副次的効果や、
レビトラに期待される連日投与による長期的効果=ED/勃起不全のベーシカルな改善などに関して詳述しております。
是非、ご参照くださいませ。
【レビトラなどのPDE5阻害薬の副次的効果とは】
現在、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどにおける、
ED/勃起不全の改善効果以外の、良い副次的効果がたくさん報告されており、
今、これらの薬剤の認識は、
ED/勃起不全の治療薬からブロードな用途が有る局所血管拡張薬へと移行しつつ有ると言えます。
まずこれらのPDE5阻害薬は動脈硬化
の初期病態であり、
また発症原因にもなる血管機能障害を改善させる作用や、
動脈硬化の経過中に発生するプラークを改善させる作用などが、
報告されており、初期動脈硬化の治療や動脈硬化の予防に良い作用を示す可能性が検討されています。
また、前立腺肥大に伴う症候である下部尿路症状は非常に多くの男性が苦しんでいる病態の一つですが、
これらPDE5阻害薬にこの下部尿路症状を改善させる作用があると報告されています。
将来的に下部尿路症状の主たる改善薬であるα1受容体遮断薬の補助的な役割を果たす可能性が検討されています。
また、これらPDE5阻害薬は肺動脈の血管平滑筋を弛緩させる作用が有り、
肺動脈性高血圧症の改善効果が認められました。
この効果は既にED/勃起不全の改善効果とは独立したものとして公的に認証されており、
レバチオという商標名で既に処方箋医薬品として登録されている状況です。
そして後述致しますが、
レビトラに関しては短期的な勃起改善の効果以外に、
連日投与による長期的なED/勃起不全のベーシカルな治癒効果が、
ラットレベルで確認され始めています。
【レビトラの連日投与による長期的効果】
レビトラは、設計上は短期的効果を主眼として開発されたED/勃起不全の改善薬になります。
本稿のメインである、レビトラの連日投与による基礎的な勃起機能の改善とは、
この短期的効果の対極にあたる、言わば連日投与による長期的効果と言えます。
まずレビトラのED/勃起不全に対する短期的効果とは、
これは製剤のバルデナフィル含有量によって変動する薬効の持続時間に基づくもので、
おおよそレビトラの10㎎が5時間前後、20㎎が8時間前後、効果を示すとされています。
これは、性欲の刺激に応じて陰茎を勃起しやすくさせる効果で、
レビトラはこの短期的効果の発現に至る時間がとても短いので、
薬剤の使用と効果の因果関係が確認しやすいという、非常にトライアル向きな側面が有ります。
また、最高用量の20㎎は本邦にて最も勃起改善作用が有る薬剤とされています。
一方、今回ラットレベルで確認されたレビトラの連日投与による長期的効果、
すなわちベーシカルなED/勃起不全の治癒効果とは、
レビトラを20日間、1日1回、連日投与する事による、
陰茎周囲の血行動態の改善と勃起機構を支える組織構造の保持の作用が主体です。
つまり、レビトラを毎日飲む事によって、上記した短期的なED/勃起不全改善効果以外に、
基礎的な勃起システムの治療がなされる可能性が有ると言う事です。
この効果は動脈性EDの原因の一つであるsmoothmascle/collagen比の低下を惹起する、
TGF-β1、VEGFの発現がレビトラの連日投与によって抑制された事で、引き起こされたと考えられており、
こうした効果が人間もしくは人間の組織で確認されるようならば、
ED/勃起不全治療のストラテジーがまた大きく変化する可能性が有ります。
今後の研究の進展が非常に期待されている状況です。
ちなみに、このレビトラの連日投与による勃起機能の基礎的治癒は人間において、
その効果がまだしっかりと確認されていない段階のメソッドになりますので、
個人的に本方法を施行したりされないよう、固くお願い申し上げます。
これらの薬剤の用法用量は、良く医師の指示に従われてこそ、
きちんとした効果、高度な安全性が保たれます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)