レビトラと高所作業に関して



バルデナフィルと落差のある場所での業務

【レビトラと高所作業】

レビトラ高所作業時に、 注意する必要のある薬剤です。 レビトラの薬効時間中は視覚障害またはめまいなど、 視界を障害する副作用が出現する可能性があります。


高所作業、つまり高さのある場所で何か作業をする時があると思われますが、 こうした時に視界を妨げられてしまったら、みなさんはどうしますか? 

  • ・助けを呼ぶ。
  • ・じっとして視界が戻るのを待つ
  • ・可能なら高所から安全な場所へ移動する

このようにいくつか行動の選択肢はあると思われますが、 もっとも大切な事は「高所作業時には視界を妨げられるような状況を避ける」という事だと思われます。
レビトラはバイエル薬品株式会社から開発・生産され、正規の薬剤卸を介して、 我々新宿ライフクリニックに供給される、 処方箋医薬品つまり医師の手を介さなければ患者さんに渡す事の出来ない薬品です。
薬局で売っている薬とこうした処方箋医薬品の大きな違いはなんでしょうか? レビトラのような処方箋医薬品は、お持ちの病気や状態によっては処方する事が出来ない事、 また使用に当たっての注意点が複数ある事、 そしてこうした専門的判断や指示は医師でないと難しいという事などが、 薬局での売られている薬剤との大きな差です。


こうした「レビトラの使用にあたっての注意点」には大小様々なものが有り、 大きいものとしてはニトロ系薬剤など併用禁忌指定になっている薬剤との併用の回避や、 使用が禁忌となっている血液透析の必要な腎機能障害などの疾患患者への使用の回避などがあります。 そのほか、禁忌に抵触しないレベルの日常使用における注意点があり、 レビトラで代表的なのは車のドライブ また危険を伴う機械操作時の使用がそれに当たります。
その禁忌に抵触しないレベルの日常使用におけるレビトラの注意点の中に、 今回のテーマである高所作業時におけるレビトラの使用が入ります。 ただ禁忌に抵触しないこうした日常使用におけるレビトラの注意点は、 レビトラのユーザーであってもご存じない事も多く、 そうした状況をかんがみて本稿では、 「レビトラ使用時の高所作業の注意」を中心にインフォメーションをさせて頂いております。
本稿では

  • 【レビトラの高所作業時の注意に関するアナウンス】
  • 【日常で想定される高所作業】
  • 【高所作業のほかレビトラ運用上気を付けるべき事】
  • 【高所作業時の注意などのインフォメーションについて】

とレビトラと高所作業に関して4項目に分けて記載しております。 ご閲覧下さいませ。


【レビトラの高所作業時の注意に関するアナウンス】

さて、巻頭からレビトラの高所作業時の注意に関して記載しておりますが、 このレビトラの高所作業時の注意はレビトラの開発・生産元であるバイエル薬品株式会社から、 添付文書ならびにインタビューフォームにて正式にこの内容に関するアナウンスメントがあり、 そこには
「臨床試験において,めまいや視覚障害が認められているので,高所作 業,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること.」 と記載があります。
レビトラは精神神経系の副作用として頻度1~10%未満にめまいが報告されており、 また感覚器の副作用として頻度0.1~1%未満に視覚異常、 彩視症、霧視、流涙などの視界の異常にかかわるものが報告されています。


こうした副作用はレビトラ薬効時間中に出現する事が多く、 レビトラは報告によれば8時間ほどその薬効が継続する事があり、 この薬効時間の間はこうした副作用によって視界を妨げられる可能性があります。
高所作業中に視界が妨げられる事が有ったら、どのような危険が考えられるでしょうか? それは高所からの本人の転落の危険性や、 何等かの道具を落としてしまう事による下にいる人への危険性などが危惧されます。
しかし、決してこのレビトラの視界を妨げるような副作用の発生頻度は高いものでは有りません。 当新宿ライフクリニックでも多数の患者さまに長きにわたってレビトラを処方させて頂いておりますが、 レビトラ使用時の高所作業における事故の報告はバイエル薬品株式会社からも、 また処方させて頂いている患者さんからもお伺いした事はありません。
ただ可能性としてこうした事故の発生が想定され、 いざ発生した場合は重大な健康被害に結びつく可能性もあり、 やはりレビトラのユーザーはこれを認識する必要性があります。


【日常で想定される高所作業】

レビトラのユーザーの中には「高所作業なんてしないよ」と言う方もいらっしゃると思われますが、 そもそも高所作業とはどのようなものを指すのでしょうか?
この場合の「高所」はまずは転落する事で何等かの事故が想定される高さだと思われ、 例えば脚立から転落しても頭部外傷や頚椎損傷などの重大な外傷の発生する可能性はあります。
日常生活においては電球の付け替え、庭の木の選定、屋根の修理、パラボラアンテナの調整、 箪笥の上の掃除など脚立レベルの高所作業は無数にあり、 こうした作業はレビトラの薬効時間中は避けるようにすべきと言う事です。
これらの作業を全くした事のない方はとても少ないと思われ、 「高所作業なんてしないよ」と言う方も考えてみれば、 高い天井の電球の交換などはされた事があるのではないかと存じます。
また職務上、高所での作業がある方もいらっしゃると思われ、 代表的には消防士、ビルの窓の清掃業、建物の解体業、建築業、看板などの付け替え業など、 こうした業務は日常生活で想定される高所作業よりも、より高所での作業になると思われ、 重大な事故を避けるためにもレビトラの使用時は、 その薬効時間を勘案しながら職務に従事する必要性がより強くなります。


【高所作業のほかレビトラ運用上気を付けるべき事】

上記の高所作業時におけるレビトラの注意をご覧になった方は、 そのほかの日常におけるレビトラの注意に関しても気になるのではないかと思われます。
上記【レビトラの高所作業時の注意に関するアナウンス】にも記載されておりますが、 車の運転時に視界を妨げるような副作用が出現したらどうでしょうか? この状況においては交通事故の発生が危惧され、 ご自身の身も危険ですが、その事故に巻き込まれる歩行者や他のドライバーへの危険性もあり、 レビトラの薬効時間中の運転はやはり避けるようにするべきです。
また裁断機やプレス機などの機械作業をしている時はどうでしょうか? こちらは重大な労災事故の発生が危惧され、やはりレビトラの薬効時間中は避けるべきと思われます。
バイエル社のアナウンスメントはその状況において限定的な内容となっておりますが、 高所作業だけでなく視界の妨げに関連して危険であると判断される行動・行為は、 レビトラの薬効時間中にはさけられた方が望ましいと言う事です。


【高所作業時の注意などのインフォメーションについて】

以上、高所作業におけるレビトラ使用上の注意に関して記載させて頂きました。 これらの注意は冒頭でも述べましたが禁忌指定までには至らない、 ある意味限定的な勧告なのでレビトラの服薬指導上、 他の重要事項にプレスされて、印象が希釈されてしまう側面は否めません。
特に発生頻度が高くない副作用が元になっている危険性のシュミレーションが、 ベースにある話でもありますので、 この注意事項はレビトラユーザーに浸透しにくい傾向が元々あると存じます。
しかし、如何に低頻度であっても、そこに関連しているのは命や健康であり、 とても重要なお話である事は間違いありません。 レビトラのユーザーにおいては、高所作業時の注意など、日常生活における注意点を把握し、 慎重に行動して頂きたいと強く思われます。
実はこうした処方箋医薬品にかかわるインフォメーションは、 一般の方にお届けするのが難しい傾向があります。 処方箋医薬品はその広告表現に大きな規制がある関係上、 ユーザーに届けたい重要な情報も伝達させにくくしまっている側面があります。
ゆえに当新宿ライフクリニックではこうした重要だけど見逃されやすい、 例えば本テーマである高所作業時のレビトラの注意など、 こうしたインフォメーションの発信を継続的に皆様に提示していきたいと考えています。
新宿ライフクリニック はレビトラ処方に関してはトップクラスの保健所認可正規診療所です。 皆様の疑問にも多角的に対応可能ですので、ぜひ一度ご相談にいらっしゃって下さいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)



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